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ことし変わる注目医療 「ロボット」と「医療費」

森本毅郎 スタンバイ!

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きょうは、今年、医療の世界で変わることで、注目する「医療ロボット」と「医療費」について。森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「日本全国8時です」1月9日の放送で、医学ジャーナリスト・松井宏夫さんが解説しました。

松井宏夫

 

★介護も楽になる「ロボットベッド」普及へ

まず今年、「医療ロボット」の活用が、さらに進み出そう。その1つが「ベッド」。パナソニックが今月、医療・介護施設向けに新しいベッドを発売します。どんなベッドかというと、ボタン1つで、ベッドがコンパクトな車椅子に変身します。商品名は「離床アシストベッド リショーネ」。介護ではベッドから車椅子に移したり(離床)、車椅子からベッドに移す(寝る)のが大変です。それがロボットベッドだと、移し替えなくても、ボタン1つで車椅子になるので楽になる。(離床と寝るのが楽になるので「リショーネ」)価格は90万円のものですが、これまで試作品段階だったものから、量産体制が整い、今月の発売をきっかけに、どんどん広がりそうです。

★「ダヴィンチ」手術も利用しやすく進化

同じロボットで言うと「ダヴィンチ」と呼ばれる「ロボット手術」にも変化がありそうです。ダヴィンチの手術は、有名ですが、主に腹腔鏡など内視鏡手術で活躍しています。人間が自分の腕ではなく、ロボットの腕を、遠隔操作して手術します。別に人間の腕でやればいいと思われがちですが、ロボット操作でやると、人間の腕より細かい動きができるし、奥の方まで入っていけます。さらに人間の腕と違って手ぶれがありません。またモニターで最大15倍に拡大して見られるので、細かな処置が可能になります。

ただ、これまで、保険適用となったのは、前立腺がんと腎臓がんだけです。他の病気では、先進医療としての扱いで、この手術を受けられる人が限られていました。しかしそれが今年、限られた人から、多くの人が利用できる、手術に変わりそうです。

胃がんが、今年あたり、保険適用になると予想されています。それはどうしてかというと、胃がんの手術でダヴィンチ使う病院の数は14もあります。既に先進医療の症例では、良い結果を収めているので、あとは保険適用待ちの状態。また、これに関係する医師の、厚労省への発言力が強いという背景もあり、今年の秋から年内あたりには、保険適用になりそうです。そうなると、100万人近い患者のいる胃がんなので、利用者数が一気に増えそうです。

ダヴィンチの導入には、1つ2億5千万円かります。この高額なロボットを導入できる病院は、限られていましたが、保険適用で手術数が増えれば、導入しようという医療機関も増えていきそうです。また、ロボットが量産されることで、ロボット自体の価格も、下がる期待ができます。

★セルフメディケーション制度で家計にプラス?

そして、今年変わるもの、もう1つですが「医療費」の見直しも進みそうです。身近なものとしては、この1月から始まった「セルフメディケーション制度」です。セルフ=自分で、メディケーション=薬物治療することを支える制度で、医者に行かずに、薬局で薬を買って自己治療したら、その薬代の一部を税額控除しますよ、という制度です。すでにいろいろ報じられていますが、実は、その薬の種類とか、制度を受ける前提とかが、結構、細かく規定されています。

★対象となる薬に注意

まず対象となる薬はすべての市販薬ではなく、「スイッチOTC医薬品」スイッチOTC医薬品は本来、病院で処方箋がないと出してもらえない「医療用医薬品」だったのが、薬剤師の指導があれば薬局でも買えるようになったものです。ロキソニンSや、ガスター10など、対象は1500品目です、そんなの、よくわからない、という人も安心してください。箱を見ると、「セルフメディケーション、税控除対象」というマークがあります。

★控除を受けるためにやるべきことが沢山ある!

ただ、この制度で税額控除するためには、他にも細かなルールがあります。スイッチOTCを買ったレシートや領収書を、保管しておく必要があります。そして医療費控除と同じように、確定申告をする必要があります。さらに、セルフメディケーションなので、自分で体のメンテナンスをしている必要もあります。具体的には、1年の間に、健康診断や、がん検診、予防接種、メタボ検診など、何か健康を管理する検査を受けている必要があります。

★そして、いくらお金が戻るのか?

ではこれだけやって、いくら、税額控除になるのか?買った薬代、全てが税額控除になるわけではありません。自分と扶養家族の分を合わせて、年間1万2千円を超えたら、その超えた部分が課税所得から控除される仕組みです。また上限もあって、8万8千円分まで(1万2千円を超えた部分が8万8千円ということ)となっています。

これで実際計算してみると・・・人によって条件が違いますが、例えば所得400万円の人が、年間2万円のスイッチOTC薬を購入した場合。まず、2万円のうち、1万2千円を超える部分の8千円が課税所得から引かれます。実際の減税効果は、この金額に、所得税率の20%をかけた数字になるので、戻ってくるのは8千円×20%=「1600円」程度。このほか、翌年の住民税でも減額があります。こちらも、減税効果は、8千円に住民税率の10%をかけた数字になるので、「800円」程度。使わないと損ではありますが、合わせても、戻りは少ない。

★使わないと損だけど、慎重な判断も必要!

この制度の狙いは、医者にかからないで、自分で薬を買ってほしいということ。要するに、国の医療費が大変なので、医者にかからないでね、ということ。制度利用を考えるあまり、実は重い病気なのに、自分で誤った診断をして、OTC医薬品で済ましてしまい、病気が治らない心配もある。そのあたり、判断を慎重にする必要があります。

なおこれまで、医療費の控除には、年間10万円を超えた場合に控除がある医療費控除がありました。こちらの制度と、このセルフメディケーション制度は、どちらか一方しか受けられませんので注意が必要です。

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170109080000

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