お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ

せっかく買ったマンション。資産価値を下げない方法は?

森本毅郎 スタンバイ!

★資産価値が下がらないマンションとは?

いま、東京オリンピックにむけて、マンションの資産価値が上がっていて、「今が買いだ」という人もいると思いますが、東京オリンピックの後は、マンションの価値が下がるとも言われています。不動産業界では「オリンピックの崖」なんて呼ばれているそうです。せっかく買ったマンションの価値が下がったら、将来困りますよね?でも、果たして資産価値が下がらないマンションなんてあるのでしょうか?「生き返るマンション、死ぬマンション」などの著書がある経済ジャーナリスト 荻原博子さんに聞きました。

荻原博子さん
「今後、資産価値が上がるマンションは、まずしっかり管理がされていること。そしてマンション自体が、ある程度、余剰を持ってる、積立金とかそういうものを持ってる。そして建て替えの時期がきても慌てないですむ、その管理組合が知恵をつかってあらゆることをし、高齢の方でも安心して住めるような管理をしている。安心感があって、将来も明るい!そういうマンションだとそんなに資産価値が下がることはないと思います。」

ポイントは「建て替え」への備えと、高齢者も安心してすめるような「管理組合の知恵」ということでした。荻原さんは、「これから老朽化するマンションが600万戸以上出てくるというのが一番問題なのに、なかなかその対策できていないのが現実」と言っていました。こうした中、何か知恵をつかった具体的なマンションがないのか?伺うと、京都にある分譲マンション「西京極大門ハイツ」がすごいということでしたので、取材しました。

大門2

西京極大門ハイツ

★資産価値を上げる秘訣1「公共性の充実」

「西京極大門ハイツ」は築41年と古く、7階建てで190戸のマンションです。このマンション、環境は厳しい状況にあります。建て替えようとすると、京都の景観条例に引っかかってしまい、今よりも低い、低層のマンションにしなければならないそうです。そうした問題を抱えているのですが、なぜか資産価値は下がっていない!むしろ値上がりしていて「新築で売り出した41年前の価格の1.3倍」の値がついて、今も満室ということでした。価値が下がるどころか上がっている・・・なぜなのか?このマンションの理事長に伺いました。

西京極大門ハイツ理事長 佐藤芳雄さんのお話です。

佐藤芳雄さん
「このマンションには、棟の横に集会所があります。1階には集会所として使うような会議室と、「日曜喫茶」のための専用のカフェスペースがあるんです。毎週日曜日、ここで「モーニングサービス」をしています。若い人もお年寄りも年齢関係なしに、ゆで卵、トースト1枚とコーヒーか紅茶がセットになって100円。住んでいない人でも利用できる。ほかに、こどもの絵本文庫、これも外部の人に公開していますし、健康マージャンの専用室それ以外にゲストルームがあったりする。」
大門3

「日曜喫茶」の様子

大門4

集会所の建物内の様々な施設

資産価値を上げるアイデアその1=「みんなが楽しめる公共性の充実実」です。

マンションの目の前にある集会所は管理組合が購入した3階建ての建物で、1階に30畳の広い部屋が2つ、1つが会議室などの利用、もう1つが「日曜喫茶」で、ボランティアの住民が毎週日曜運営しています。他にも麻雀部屋、子供向けの絵本がたくさんある部屋、更に友人や家族がマンションに遊びに来た時用のゲストルームが2部屋あります。

また、建物の外ではバーベキューやお花見、餅つきなどのイベントスペースがあり、とにかく年中色々な催し物が開かれていて、住民だけでなく近所の人も自由に参加できるんです。様々な施設やサービスが充実していて、且つそれがオープンになっているところが、このマンションの人気にも繋がっています。

★資産価値を上げる秘訣2!「建て替えの為の特別会計」

では、「この集会所がある建物はどうやって買ったのか?」という疑問。実は、この場所自体にも資産価値を上げるハード面の工夫がありました。

佐藤芳雄さん
「私どものマンションは、「建て替え」は「別の土地にする」という考え方。そこに新しいマンションを建てて、移り住んでから、土地そのものを売却する。それによって建て替え中の1年間くらいの「仮住まい」という問題もなくなる。この、「建て替え」で必要な土地を買い増すための特別会計が組まれている。この特別会計で、買収した物件をつかってマンションでの生活を豊かにしている。このような取り組みをしていて、この集会所もそうなのですが、ここは、もともと「スーパー」だった場所。1階がスーパーで、2階、3階がスーパーの本社が入っていた。」

今の「西京極大門ハイツ」は建て替えるのに高さ制限があるため、同じ場所に建て替えようとすると190戸の住民が住めなくなってしまいます。そこで、今よりも広い別の土地に建て替えよう!ということなんです。そこで、マンション周辺の土地を買収して、新しい大門ハイツが建てられる広い土地を確保しています。この集会所以外にも目の前の銀行の跡地を一部買収したり、将来の建て替えへの「十分な備え」をしているんです。

そこで必要になるのが買収のための費用=特別会計です。様々な取り組みをしてこの特別会計を工面しています。

  1. マンションの駐車場の利用料(30年前から徴収=年間収入「1,200万円」)
  2. 駐輪場利用料(住民以外にも貸し出しています)
  3. 太陽光パネル設置で、関西電力への売電料
  4. 買収した土地の未使用部分を外部に賃貸している賃料

この収入で、建て替えの費用や、買収費用、イベントの費用を工面しています。また、日常的なマンションの修繕や改修工事も管理費で対応してるので、将来への投資だけでなく、現状維持としてのマンション改修もしっかり行っています。

例えばマンションの外壁を外断熱にし、窓も真空ガラス搭載の最新式にして、暑さ・寒さ対策をすることによって、節電につながり、改修前より電気代が20%削減されました。浮いたお金も将来への投資に使えます。

通常、マンションの建て替えは所有者8割の賛成が必要で、なかなかこの賛同を得ることが難しいそうなんです。ただ、ここ大門ハイツでは、既に建て替え費用は積み立ててあるので、住民は特別に徴収される費用がなく、ほとんど反対する人がいないんです。

荻原博子さんによりますと、この京都のマンションは景観条例など特殊な例ではありますが、どのマンションにも共通するのは、管理組合の「創意工夫」。将来、建て替えなくてはいけない時期は必ず来るので、その時のために組合でこうした備えを考えて、東京オリンピックの前からコツコツお金を貯めるのが健全なマンションの姿であり、資産価値を下げない方法だということでした。

荻原さんの本「生き返るマンション、死ぬマンション」には、他にも、マンションの価値を下げないための注意点や工夫が書いてあります。具体例も多くわかりやすいので、ご興味がある方はご一読を!

阿部真澄

取材・リポートは阿部真澄でした