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グリ森事件『罪の声』塩田武士さん登場! 小説は社会派、トークはお笑い?!

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
2月11日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、グリコ・森永事件を題材にした小説『罪の声』が話題の作家・塩田武士(しおた・たけし)さんをお迎えしました。作品は昭和の未解決事件の闇に迫る社会派ミステリーですが、書いたご本人は作品の印象とはかなり違って、完全に関西ノリのお笑い系! 高校時代は漫才コンビを組んでいたというそのトークで、スタジオは爆笑の連続でした。

塩田武士さん

塩田さんは関西学院大学に入った19歳の時から小説を書き始め、グリコ・森永事件に着想を得たのが21歳の時でした。でもそれを小説に昇華する力はまだないと判断して、まずはもっと社会を知ることから始めようと2002年に神戸新聞の記者に。10年間で警察回りや行政の問題から、囲碁・将棋、演芸まで幅広く担当。その一方で、小説家を目指して文学賞への応募を続け、入社8年後の2010年、将棋を題材にした『盤上のアルファ』で小説現代・長編新人賞を受賞し、念願の作家デビュー。2012年に神戸新聞社を退職し、専業作家となりました。そしてついに2016年、『罪の声』を発表。事件の真相はこうだったのか! と錯覚するほど生々しい描写で、たちまち話題になり、その年、最も面白いエンターテインメント小説に贈られる山田風太郎賞を受賞。現在、2017年の「本屋大賞」にもノミネートされています。

右手にペン

『罪の声』が読者を一気に引き込むのは、何といっても秀逸なその着想。グリ森事件というと「キツネ目の男」が注目されますが、塩田さんがフォーカスしたのは、犯行に使われた「子供の声」。1979年生まれの塩田さんは、ちょうどその子供と同じぐらいの年代。出身地も事件の舞台となった阪神に近い兵庫県尼崎市ですから、事件の前後、どこかですれ違っている可能性もあるわけです。電話で身代金の取引を指示した幼い子供の声の主は、今どこで何をしているのか。もしあの子供の声が、30年前の自分だったとしたら…! その発想だけで400ページもの物語を一気読みさせられます。放送で当時のニュース素材に残されていた、脱出直後の江崎グリコ社長の声とともに、犯人グループの子供の声を改めて聞き直してみると、懐かしさと戦慄が入り混じった不思議な空気がスタジオに流れました。

久米宏さん

そしてこの小説のもう一つの大きな原動力になっているのが、塩田さんの圧倒的な取材力。事件に関わる現場には全て実際に足を運んだそうです。そこで感じたその土地独特のにおいや雰囲気が小説の行間に深く刻まれて、妙にリアル。 事実とフィクションが混然一体となって読者に迫り、グリ森事件の真犯人が分かった気になってしまうのです!

塩田武士さん

塩田さんは小説家デビューを果たした時に、担当編集者に『罪の声』の原型となったアイデアを話しましたが、編集者から「あなたにはまだそれを書くだけの筆力がない。だからもっとたくさん小説を書いて力をつけなさい。でもそのアイデア、よそでは書かないでくださいね!」と言われたそうです。そして様々な人間を描いた小説が8作を数えた時、いよいよ次こそ書きましょう! となりました。最初に構想してから15年が経っていました。

スタジオ風景

当初、講談社の「小説現代」電子版で連載していた時は、原稿を送るたびに「塩田さん、これスゴイです!」「傑作が誕生しましたね!」と担当編集者に絶賛されたのに、連載が終わっていよいよ単行本化かと思ったら「塩田さん、単行本にするには大手術が必要です」と、まさかの全編書き直しの宣告! おまけに歴代の担当者3人からそれぞれ「朱入れ」(修正)された原稿を送りつけられ、これを2週間で書き直すようにと血も涙もない通達。さすがに塩田さんも激怒したそうですが、ほとんど休む時間もなく原稿と格闘した結果、連載時よりはるかにいい出来になったそうです。七転八倒、阿鼻叫喚だった修羅場を、持ち前のトークで大いに聞かせてくれました。

塩田武士さんのご感想

塩田武士さん

いやあ、緊張しました。でも本当に楽しかったです!
私の姉の話が出てきたときは久米さんに公安的な怖さを感じましたねえ。驚きました。今まで本当にたくさんの取材を受けたりラジオに出させていただきましたけど、これほど事前に私のことを調べていた方はいないです。ぐぐっと迫ってこられるので、群を抜いて怖かったです。それと途中で全く違う話のカットイン! もうびっくりしたというか、本当に素晴らしかったです。もう圧倒されっぱなしの30分で、久米さんに着いていくのに必死でした。

私は新聞記者時代にクラシック音楽を担当していたこともあるんですが、楽譜が同じでもマエストロが違うと演奏は全然違ってくるという言葉があるんです。いいマエストロだと本当にいい演奏になるんです。久米さんは名マエストロだという思いがしました。

今日は話している途中から「ランナーズハイ」みたいに気分が高揚してきて、「今、久米さんと話しているんだ! もっと話したい!」というふうになってきました。こんな経験初めてかもしれないです。ありがとうございました!


2017年2月11日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:塩田武士さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170211140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)