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原因不明の股関節の痛み。その1つが判明!最新手術も!

森本毅郎 スタンバイ!

股関節の痛みに悩む人は、全国で4百万から5百万人いると言われています。ところがその原因となると「よく分からない」となってしまうことが多いんです。よく「腰痛の80%は原因が分からない」と言われますが、股関節痛も同じ状況。そうした中、近年、原因がわかってきた股関節痛があります。2月13日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★怖い「変形性股関節症」

股関節痛で怖いのは、気がついた時には、手遅れになってしまうことです。股関節が痛い人が病院に行って、検査をしても、原因が分からないことが多い。そこで「様子を見ましょう」となりますが、そのうちに状況は悪化してしまう。そして気がつくと「変形性股関節症」という病気に悪化してしまう、というわけです。

この「変形性股関節症」は、関節のつなぎ目の軟骨が、すり減ってしまった状態です。軟骨がすり減ることで骨と骨が直接こすれ、骨の形が変形して、痛みが出ます。残念ながら一度減ってしまった軟骨は、殆ど元に戻りません。対症療法の他は、人工関節にするという選択肢になります。

そのため「変形性股関節症」になる前に、股関節痛の原因を突き止めることが重要です。

★近年わかった「股関節インピンジメント=FAI」

そうした中、近年、原因がわかった股関節痛があります。2003年にスイスの医師が提唱し始め、日本でも、ここ数年で広がってきましたが、まだ、整形外科などの専門の先生でないと、なかなか知られていない病気です。それは「股関節インピンジメント」、英語の頭文字をとって「FAI」という病気です。

インピンジメントは、「挟み込み」や「衝突」という意味です。生まれつき、股関節部分の骨が特殊な形をしているために、インピンジメント=挟み込みや、衝突が起きて、痛みが発生する、という病気です。通常、股関節痛は50代から増えますが、こちらは、生まれつきなので、若い頃から症状が出るのが特徴です。

★FAIの2つのパターン

股関節は、骨盤側の受け皿に、大腿骨の骨の頭が包み込まれるような形になっています。手の平で例えると、左手でグーを作って、右手のパーで包み込む、そんなイメージです。問題がなければ、骨盤にあたるパーの中で、大腿骨の頭にあたるグーがぐるぐる動きます。ところが、生まれつき異常があると、インピンジメント=挟み込みや衝突が起きます。それは2つのパターンがあります。

1つは、大腿骨に異常があり、「衝突」が起きるパターンです。股関節は、左手のグーを、右手のパーで包んだようなものと言いましたが、グーの手に手首があるように、足の付け根の大腿骨にも、くびれがあります。ところが、生まれつき、大腿骨に異常がある人は、この手首のようなくびれがないんです。そこが寸胴に膨らんでいるため、くびれがある場合よりも可動域が狭い。無理に動かそうとすると、その膨らみが骨盤にガンガン衝突してしまいます。

もう1つは、グーとパーのパーの側=骨盤に異常があり、「挟み込み」が起きるパターンです。パー、骨盤の受け皿の淵の部分に、生まれつき棘のような異物があることがあります。こうなると、ぐるぐる動かすと、大腿骨と骨盤で、その異物を挟み込んでしまい、痛みが出る、というわけです。

さらに、この「衝突」と「挟み込み」の両方を併せ持っている人もいます。

こうした生まれつきの骨の形を知らないまま、激しい運動などを続けると、骨の変形を早め、軟骨が磨り減り、変形性股関節症になってしまいます。そこでFAI=股関節インピンジメントだと気づいて、早めに治療することが重要です。

★こんな症状があったらFAIかも

FAIの自覚症状としては、運動や、重いものを持った時の痛みがあります。具体的には、野球の内野手のように、腰を落として、股関節を深く曲げて構えて、ボールが飛んできた時に、ぐっと腰を伸ばして走る、こうした動きで痛みが出ます。また相撲の股割りのように、股関節を広げると、やはり痛みが出ます。

このほか、若いのに、重い荷物の持ち上げ、車の乗り降り、脚を組む時などで痛みがあれば股関節インピンジメントの可能性があります。

若い頃からこうした痛みが出た場合は「整形外科」を受診して、X線、CT、MRIなどの検査を受けてください。さらに「関節可動域検査」という、関節がどれくらい動くかを調べる検査も重要です。これらによって、正確に診断してもらう必要があります。

★まずは保存療法と運動療法

まずは、保存療法を、だいたい3ヶ月ほど行っていきます。その間には、痛み止めや、患部を温める治療なども行われます。光で患部の深い部分を、温める治療で「キセノン光治療」というものがあります。

あとは、運動や姿勢などを指導することになります。仰向けに寝て、片方の足を10センチあげて、5秒間止める。そして足を下ろして3秒後、再び足をあげる…これを左右の足で20回ずつ、朝晩行う。さらに、横向きで、足を片方ずつ、同じように上げ下げするのも効果があります。

これにより、股関節を支える太ももの前にある筋肉が鍛えられるので、日常の痛みは改善されますし、変形性股関節症への進行も止められるとされています。

★最新の手術は体に負担が少ない「股関節鏡手術」

それでも難しい場合は、手術となりますが、これも、今では進化しています。今主流になっている手術は内視鏡で行います=要するに、腹腔鏡手術の関節版です。

開腹しないで、穴を2、3ヶ所開け、そこから4ミリのカメラなどを入れます。そして、FAI=股関節インピンジメントの原因となっている、大腿骨のくびれの膨らみや、骨盤の淵の異物を取り除きます。

手術は2時間程度で、入院は長くて2週間くらい。手術の翌日から松葉杖で歩けます。その後は、股関節なのでリハビリがかかりますが、だいたい半年後には、スポーツが出来るように復帰できます。東京医科大学などで行われていますが、復帰率は、94%ということです。

★まずは疑うこと

これまでは原因不明とされて、手遅れになることもあった股関節痛ですが、若い頃から痛みがあるようでしたら、生まれつきのFAI=股関節インピンジメントを疑ってみてください。こういった改善策を行うことで、軟骨がすり減ってしまう変形性股関節症になる前に、対処できると考えられます。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170213080000

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