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大人のぜんそくを和らげる新治療「気管支サーモプラスティ」

森本毅郎 スタンバイ!

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熱は下がったけど、咳だけが長引く、かぜだと思いこんで、そのまま気にせず放置していると、ある晩あまりに呼吸が苦しく、実は、ぜんそくだったということがあります。ぜんそくは、大人も注意が必要な病気です。そんなぜんそくの症状を大きく和らげる新しい治療とは?「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「日本全国8時です」11月21日の放送で、医学ジャーナリスト・松井宏夫さんが解説しました。

松井宏夫

★ぜんそくは大人も注意が必要

ぜんそくは、大人とこどもを合わせて、4百万人の患者さんがいるといわれています。ぜんそくというと、小児ぜんそくが有名で、こどもの病気と思う人もいるかもしれません。ただ、小児ぜんそくがそのまま、大人になっても残る人は2割ほど。8割は大人になってから発病するといわれ、特に40代から60代の発症が多いんです。また、ぜんそくは重症になると、命に関わる病気です。最近では、ぜんそくで亡くなる患者さんは、2千人以下で昔よりは減少傾向にあるものの、亡くなる患者さんの、およそ9割が大人で、特に65歳以上の高齢者の割合が高いです。実際には、こどもの頃のぜんそくを自覚していない人も多いです。親から聞かされていなかったのか、聞いたのを忘れたのか、再発している人もいます。そこで、まずはきちんと、ぜんそくかどうかチェックすることが大切です。

★ぜんそくの特徴

ぜんそくの大きな特徴が、その症状=発作です。呼吸が苦しくなり、咳のあとに、ゼーゼー、ヒューヒューといった音が出ます。その発作は、夜間や明け方といった安静にしているときに、起こることが多い。だから、横になっていられず数時間寝つけないし、自分の咳で目覚めることもあります。そうした、発作の症状をうまくコントロールできないと、仕事中に、急にゼーゼー苦しくなって、救急搬送されることもありますし、そんな発作が怖くて、友だちとの外出も控えてしまう、という生活が何十年も続きます。

★そのとき気管支は?

そんなぜんそくで、どこに問題が起きているかというと、気管支です。気管支は、空気の通り道の気道で、網の目のように張り巡らされ、チューブのような、空洞の構造をしています。患者さんの気管支は発作が起きていない時でも、健康な人に比べ細くて狭くなっています。そこに冷たい空気など何らかの刺激が加わると、気管支の周りの筋肉がむくみます。さらに炎症が起きたり、痰などの分泌物がたまってきて、気道が狭くなってしまいます。ゼーゼー・ヒューヒューという音は、空気が通るときの摩擦で、聞こえるわけです。こうした、ぜんそくになる、詳しいメカニズムはまだよくわかっていません。

★ぜんそくの引き金は?

ある要因が引き金になって、ぜんそくを引き起こすことはわかっています。その要因として多いのは、アレルギーによるものです。ハウスダストでダニ・カビ/ペットのイヌ・ネコ・ハムスターなど動物の毛です。こどもの大半、大人の3分の2がそうです。大人の残り3分の1は、アレルギー以外のもの。こちらは原因物質が特定しにくいのですが、大気汚染や香水、かぜやウイルスなど気管を刺激するものから、ストレスや過労、原因になることもあります。こちらの場合は、原因となる物質がさまざまなので特定しにくく、慢性化しやすい。

★基本的な治療

基本的な治療は、発作が起きないよう予防するため、薬を飲み続けることです。症状によって、炎症を抑える吸入ステロイドや、気道を広げる吸入薬を使い分けます。これらの薬を組み合わせた治療で、9割以上の人は、症状をうまくコントロールできます。

★新しい治療「気管支サーモプラスティ」

ただ残り1割の人は、こうした薬などの治療では、発作の症状を抑えられません。そうした人向けに、出てきた新しい治療が「気管支サーモプラスティ」というものです。この治療は、むくんだ筋肉を、温めることで正常な状態に戻していきます。

  • 内視鏡を使って、むくんだ筋肉を直接温め、気道を広げていきます。
  • カテーテルの先端に電極を取り付けた気管支用の内視鏡を、口や鼻から入れます。
  • 電極には高周波電流が流れていて、それで65度で10秒間、気道の筋肉を温めます。
  • 1ヶ所温め終えたら、少し電極をずらし、徐々に温める範囲を広げます。
  • そうして、1時間くらいの間に、50箇所から70箇所を温めていきます。
  • これを右肺の下、左肺の下、両方の肺の上と3回に分けて行っていきます。
  • 1回目の治療からそれぞれ3週間の間隔を置いていきます。

治療した後に、痛みなどはほとんどありませんが、治療の刺激で一時的な発作が起こることもあるので、1週間ほどの入院も必要になります。基本的な薬の治療をやっても発作が続く重症の、18歳以上の患者さんが対象の治療です。

★どれくらい改善されるのか?

海外の臨床試験データでは、発作の頻度が、半分に減ったという結果が出ています。また、救急車で病院に運ばれるなど、救急外来の受診が、8割、減ったといいます。その間、薬を減らすこともできます。根治はできなくても、そうした効果は少なくとも、5年続くとされ、何十年と、ぜんそくに苦しんだ人を救う治療だと思います。ちなみに、この治療は、去年4月から保険適用になっています。高額療養費の、自己負担分で済みます。また、全国80の医療機関で、治療が可能なので、薬の治療で症状が十分に抑えられないという重症の人は、ぜひ相談してみてください。

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20161121080000

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