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インフルエンザ流行入り! 変わる予防の常識。うがいは効かない?

森本毅郎 スタンバイ!

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先週金曜日、厚生労働省が、全国的にインフルエンザの流行シーズン入りを発表しました。去年の流行入り宣言より2ヶ月近く早い、流行入りとなります。インフルエンザでは、予防の常識が少し変わってきています。森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「日本全国8時です」11月28日の放送で、医学ジャーナリスト・松井宏夫さんが解説しました。

松井宏夫

★最新の流行状況

1医療機関あたり「1人」を超えるかどうかが、流行開始の目安となりますが・・・今月20日までの1週間に、全国の医療機関から報告があった患者の数は、1医療機関あたり目安の「1人」を超え、1.38人(東京は1.57人)となりました。多い地域は、沖縄が8.12人、栃木が5.50人、福井が3.50人となっています。また今月20日までの1週間に、学級閉鎖となった学校や保育園は全国で187あります。例年流行入り宣言の後は、感染が感染を呼び、患者の数がドッと増えます。

★ビッグデータでも流行予測

こうした流行入り宣言を、民間企業も行っていて、その精度が結構高いんです。その民間企業はインターネット検索サイトの「Yahoo!」です。その方法は、いわゆる「ビッグデータ」を利用して、膨大な数の検索ワードを分析します。インフルエンザが流行している場所では、よく検索される、ある言葉があるそうです。その言葉は「インフルエンザ」・・・ではなくその「治療薬」の名前だそうです。厚労省が毎週発表する、医療機関での患者報告数も増えると、それと連動するように、薬の名前を検索する数が増える。そうした傾向は、都道府県別でわかり、大体の流行入り宣言の時期が予測できるそうです。

★予防接種は流行情報を参考に

11月16日時点で、近く18日に、流行入り宣言が出ると、予測していました。結果、厚労省の発表は、その1週間後だったので、1週間ズレてしまいましたが・・「去年より2ヶ月近く流行が早い」という予測は当たっていたので、注目すべきです。予防ワクチンは、流行入りする前に打った方が効果が高いので、流行入り宣言のタイミングを事前に知っておくことは、重要な予防対策になるからです。通常、予防接種後、効果が出るまで2週間くらいはかかりますので。また、例年ヤフーは特集サイトで、基本的な対策方法などもあり、参考になります。

★インフルエンザの予防の基本

では、流行シーズンになったインフルエンザですが、予防はどうすればいいのか?まず思いつくのが、ワクチンの予防接種、これは早めに済ませておいてください。予防接種してから、体に抗体ができるまで少し、時間がかかりますので。次は手洗い、これは手についたウイルスをしっかり洗い流すので効果があります。そしてマスク、こちらも飛沫感染を防ぐことが期待されます。このあたりは常識かもしれませんが、ただ、近年、インフルエンザの予防の常識が少し、変わりつつあるんです。効くと思っていたものが、効かない、となってきたんです。

★「うがい」は勧められていない!?

それは「うがい」です。かつては厚労省が毎年発表する基本対策で「うがい」の項目があったのですが、2008年から、インフルエンザの感染予防から「うがい」が消えました。ワクチンの予防接種やマスク、手洗いなどは、引き続き、呼び掛けていますが、うがいについては、基本対策として触れていないんです。

★なぜ「うがい」を勧めなくなったのか?

厚労省の担当者に、番組で聞いてみました。すると「うがいの項目がなくなったのは事実で、当時専門の先生方の議論で、『効果について、はっきりした理由が無い』ということで消した」ということ。そこで専門の先生、国立感染症研究所・感染疫学センターの方に、その時の経緯を、聞きました。すると「インフルエンザ対策としてうがいの有効性を示すエビデンス(証拠)がない。日本ではうがいの有効性を示そうとする論文は多いのだが、効果は示せていない」一般的な風邪などについては、一定の効果を認める研究もあるようですが、インフルエンザを予防する効果については、証拠がない、効果が認められない状態です。

★うがいでインフル予防効果がない理由

先ほどの国立感染症研究所・感染疫学センターの担当者によれば、うがいの効果が出ないのは、ウイルスが体内に侵入する早さのせいだということです。「ウイルスは10分から20分の、とても短い時間で、侵入してくる。20分ごとのうがいで、侵入を防げるという人もいますが、それは現実的でない」20分に1度のうがいは無理ですね。これはウイルスと体の戦いの仕組みによります。ウイルスが体に侵入した時に、戦ってくれるのは、鼻、喉、気管にある繊毛細胞という細かい毛の細胞と、その表面の粘膜です。この毛が1秒間に15回も動いて、ウイルスを粘膜に包み、体の外へ出すそうです。これが正常に機能していれば、ウイルスを吸収しないで、胃まで押し流して、胃液で殺す。だから、健康であれば、体には、インフルエンザをやっつける機能があるんです。ところが体が弱ったりしていると、繊毛の動きが鈍り、おし流す前に、ウイルスが細胞に侵入してしまう、ということなんです。そこで、ウイルスが細胞に侵入する前に、うがいでウイルスを外へ出そうとしても、細胞に侵入するスピードが20分程度、ということなので、難しい。20分に1度、うがいしないと、体が弱っている時はウイルスが細胞に侵入、インフルエンザに感染してしまう、ということになります。

★インフル予防でうがいより大事なのは?

うがいで効果があるとしたら、喉に潤いを与えるというところだと思います。のどを潤すことで、繊毛細胞の状態を良く保てるので、その程度には効果があります。その意味では、現実的な対策としては、うがいよりも、こまめな水分補給が良さそうです喉が乾くと、繊毛の動きも鈍ります。少しずつ、こまめに水分補給するのがポイントです。冬場は、汗もかかないし、ついつい、飲まないで過ごしてしまいますので、意識して飲む必要があるかもしれません。もちろん、喉を守るという意味では、乾燥を避け、暖房をしたら十分な加湿をしてください。

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20161128080000

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