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放送中

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  • コラム

第36回放送『長野県野沢温泉村』

コンシェルジュ沓掛博光の旅しま専科
アンチエイジングの効果が高い野沢温泉の湯を掛け流しで楽しめる外湯(共同湯)の大湯

アンチエイジングの効果が高い野沢温泉の湯を掛け流しで楽しめる外湯(共同湯)の大湯

 もうすぐ白銀が舞う季節を迎えるが、今週はスキーと温泉で人気の長野県野沢温泉村を紹介しよう。北信地域と呼ばれる長野県の北部にあり、山懐を暖めるようにして温泉街が広がる。先週土曜日の26日から全国で封切られたサスペンス映画「疾風ロンド」(東野圭吾原作)の舞台は実はここ野沢温泉村で、例年に増して今冬は注目が集まりそう。

映画「疾風ロンド」の舞台となった野沢温泉スキー場。雪に覆われたこの森林のどこかに生物兵器が隠されているという設定で物語は進行する

映画「疾風ロンド」の舞台となった野沢温泉スキー場。雪に覆われたこの森林のどこかに生物兵器が隠されているという設定で物語は進行する

 野沢温泉村は長野県内を流れる千曲川の東側にあって、標高1650mの毛無山を中心とした山々に囲まれ、ゆるやかな斜面に温泉街が広がる。人口約3600人というこぢんまりとした湯里だが、「疾風ロンド」ではここを舞台にスリルと笑いと親子の人間模様を軸にストーリーが展開する。
 物語の主要な舞台となるのは温泉街の背後に広がる野沢温泉スキー場。山の斜面を巧みに利用して40か所ほどのコースが延び、上級者から初心者まで様々なレベルのスキーやスノーボードが楽しめる。
 ストーリーは、とある大学で秘密裡に研究されていた生物兵器「K-55」が盗まれ、犯人から「3億円よこせ」との脅迫メールが届く。これを密かに探し出せとの研究所長の命令を受けて手探りで捜索をはじめたのが研究員の栗林和幸。この役を阿部寛が演じる。脅迫メールを送った犯人は意外にも交通事故によって死亡し、木に吊る下げられたテディベアの写真というわずかな手がかりをもとにわが国有数のスキー場で知られる野沢温泉スキー場へ向かう。ここで知り合ったのがスキー場のパトロール隊員の根津昇平とスノーボード選手の瀬利千晶。この根津役に「関ジャ二∞」の大倉忠義が、瀬利役に元AKBの大島優子が演じる。
 野沢温泉スキー場では雪のある2月からおよそ1カ月半にわたって撮影が行われ、村長はじめ村民がエキストラで出演。村をあげての撮影に協力した。「K-55」を見つけるべく悪戦苦闘する阿部達だが、ゲレンデやブナ林を猛スピードで滑降するシーンではスキーとスノーボードの追いつ、追われつの迫真ある競演がひとつの見どころと言える。スノースポーツの醍醐味を改めて実感する。

上に登るほどに傾斜がゆるやかになる野沢温泉スキー場の上ノ平ゲレンデ。小さな子供でも安心して滑れる

上に登るほどに傾斜がゆるやかになる野沢温泉スキー場の上ノ平ゲレンデ。小さな子供でも安心して滑れる

 野沢温泉スキー場の特色であり魅力の一つに山に登るほどに初心者が安心して滑れるなだらかなゲレンデがあるという点だ。そこは、3500mという野沢温泉スキー場で最長の長坂ゴンドラに乗って20分で着く、上ノ平(うえのだいら)ゲレンデ。標高が1400mの地点に広がる。山の高いところでは一般的には急な斜面のゲレンデになるが、野沢温泉スキー場にはそれがない。スキー場を管理・運営している野沢温泉スキー場の片桐幹雄社長は「世界的にみてもこうしたスキー場は少ないんです。幼稚園児ぐらいのお子さんでも安心して滑れるし、レッスンも受けられ易いんです。ここがうちの魅力でもあります」という。片桐社長は実はオリンピック選手として滑降部門で2度出場し、2年前のソチオリンピックでは日本の滑降チームの監督を務めたという輝かしい経歴を持つ日本を代表するスキーヤーである。その片桐さんが太鼓判を押すのだから安心である。高所に広がるだけに眺めもよく、正面に妙高山や黒姫山などが一望できる。映画ではこのゲレンデのさらに上に行ったブナ林のどこか、積雪5mの雪中に「K-55」を埋めたという設定になっている。
 長坂ゴンドラの終点のやまびこ駅の2階にあるレストハウスやまびこには今冬からメニューに“疾風ロンドスタッフカレー”が登場する予定になっている。野沢温泉スキー場は映画「疾風ロンド」で大いに盛り上がっているのだ。

江戸時代の湯屋建築を再現した外湯(共同湯)のひとつ、大湯。野沢温泉のシンボル的存在だ

江戸時代の湯屋建築を再現した外湯(共同湯)のひとつ、大湯。野沢温泉のシンボル的存在だ

 スキー場から里に下りれば温泉街が広がる。ここには13か所ある村の共同浴場の外湯が点在し、ロードヒーティングで冬でも雪の無い道を下駄をからころ鳴らしながら湯めぐりするのも楽しみ。
 外湯は無料で入浴できる。昔ながらの木造あり、3,4人入ればいっぱいになるこぢんまりとした湯船ありと外湯のタイプは様々。そのひとつ、温泉街の中央付近に立つ大湯は江戸時代の湯屋造りを模した古風なたたずまいを見せ、観光客の人気は高い。男女別の入り口から入ると目の前に2つの湯船が奥に向かって並び、すぐ横の棚が脱衣用の棚になっている。湯を体にかけて入るのだが、ここの湯は熱いことでも有名。熱くて体にそっと掛けただけで帰ってしまったという人もいるくらいだが、何杯かお湯を足から上半身へと掛けて体を慣らして入れば大丈夫。村の人達の間に入ってよもやま話を耳に入るのも野沢温泉の外湯ならではの楽しみ方だ。

温泉饅頭など売るお店が並ぶ。温泉街。スキーの後はぶらぶら歩くのも楽しい

温泉饅頭など売るお店が並ぶ。温泉街。スキーの後はぶらぶら歩くのも楽しい

 野沢温泉の湯は毎分1550リットルほど湧出し、源泉数は42本と豊富だ。多くの宿や共同浴場では湧き出たばかりの源泉をかけ流しで入ることができる。泉質はアルカリ性の単純イオウ泉で肌がなめらかになる作用がある。さらにうれしいことにここの湯は還元性が高い。つまり、細胞を若返らせるアンチエイジングの働きがあり、肌に弾力性を持たせ、老化防止の作用も併せもっていることが解明されてきた。「これは専門家による調査、分析により科学的に検証された事実です」と野沢温泉観光協会の森行成(いくしげ)さんは強調する。開湯1300年の歴史を誇り、江戸時代には飯山藩主の湯治場であっただけに名湯なのである。現代的な外湯もある。ゲレンデに近い野沢温泉スパリーナは有料(700円)ながら水着着用の大露天風呂や展望風呂があり、夫婦や家族連れ、グループで一緒に温泉が楽しめ、男女別の室内浴室などもあって好評だ。このほか、やはり有料だが、シャワー設備の整った「ふるさとの湯」もある。温泉街にはお土産屋さんや飲食店も軒を連ねている。湯気も暖かい温泉饅頭をお土産に求める観光客も多い。

村人の台所になっている麻釜。100度近い源泉につけて温泉卵を作る

村人の台所になっている麻釜。100度近い源泉につけて温泉卵を作る

 温泉街を抜けた坂の途中に源泉の一つ麻釜(おがま)がある。5つの湯釜に源泉があふれ、100度近い湯が流れ出ている。ここは村民の台所と言われ、毎日、その日食べる野菜や朝食に宿泊客に出す温泉卵などをこの源泉につけて茹でるのである。温泉の作用か葉は緑濃く、しゃきっとして甘みを増すという。こうした源泉の管理や外湯の清掃などは村民の自治組織、野沢組が担当している。行政による管理・運営ではなく住民が相互に協力しながら自分達との財産である温泉を守り、維持しているのである。外湯の清掃、室内の電気料金、水道料金の支払いなどをご近所の皆さんが湯仲間を組織して管理しているのである。これは“殿様の湯”から村民の湯に移った時から続く野沢温泉村ならではの温泉文化である。外湯につかるとそんな村民の気持ちが肌に伝わってくるようだ。

問い合わせ:野沢温泉観光協会
      ℡0269-85-3155
交通:北陸新幹線飯山駅下車。駅より直行バスで25分。
   車は上信越道豊田飯山IC利用