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お酒や熱いものに注意! 食道がんの難しい治療について

森本毅郎 スタンバイ!

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改正ガン対策基本法が、先週金曜日成立しました。がんでは、オプジーボなど新しい薬も出てきていますが、手術の方も進化しています!食道がんの治療とこの時期注意したいリスク!森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)の「日本全国8時です」12月12日の放送で、医学ジャーナリスト・松井宏夫さんが解説しました。

松井宏夫

★食道がんは冬場と年末年始の過ごし方でリスク増!?

食道がんでは、日本では、毎年1万2千人もの方が命を落とされていますが、食道がんは、ちょっと大げさに言えば、冬場や、年末年始の過ごし方でリスクが高まります。

というのも、まず第1に、この時期は宴会シーズン。そこで出てくる「お酒」が影響します。食道は、他の身体の部分に比べ、アルコールに含まれる発がん物質のアセトアルデヒドを分解する働きが、弱いんです。缶ビール1杯ほどで、顔が赤くなるような、お酒に弱い人は特にリスクが高くなります。そもそも、顔が赤なる人は日本人に多いので、日本人は注意が必要です。日本酒では、1日に1合飲む場合と飲まない場合を比べると、飲む方がリスクは6倍です。

そしてもう1つは「熱い飲み物、食べ物」。寒いからといって、熱いものを、ガッと喉に流し込むのも要注意なんです。奈良県、和歌山県、三重県の県境の伊賀の地域では、食道がんが多かったんです。この地域は、特有の食習慣で、「茶がゆ」を流し込むように食べていました。これが、食道がんに繋がることが研究で明らかになり、茶がゆの廃止が呼びかけられた程。食道が、熱さで、物理的な刺激を受け続けると、がんのリスクが高まるそうです。熱いもので体を温めたい季節ですが、熱いものを急激に流し込むのは注意が必要です。

★転移しやすく早期発見が難しい

とにかく、食道がんは、ガンの中でも、怖い部類に入ります。5年後の生存率は、大腸がんが7割前後に対して、食道がんは男性3割、女性4割と低い。というのも、食道がんは、転移しやすく、早期発見しにくいという特徴があります。食道の、壁の厚さはわずか4~5ミリしかありません。周りに多くある血管やリンパ節などに転移しやすく、さらに他へ転移しやすいんです。また、食道は、大動脈、心臓、気管支という重要な臓器と隣り合って見つけにくいです。内視鏡検査をすれば見つけられますが、X線検診では見つけにくく、発見が遅れがちです

★昔は大変!胸・腹を大きく切り開く手術

早期発見でない場合は大手術で、基本的には、食道の大部分を摘出する手術です。摘出手術は、大きく20センチから、30センチほど、胸やお腹を切り開きます。すると、そこには、大動脈、心臓、気管支という重要な臓器があります。それらを傷つけないように、食道がんの部分を摘出するわけなんですが、切り開いた部分から、右手では胃を持ち上げ、左手では食道を持ち上げないといけません。食道の代わりは、胃を管状に伸ばして代用し、それをまた、縫い合わせ、繋げます。

★今は早期発見なら内視鏡治療で!

ただ、以前はこの大手術が主流でしたが、最近はだいぶ体にやさしい手術になりました。食道がんのレベルによって、少しでも軽い手術で対応出来るようになっています。まず、ガンが食道の表面の粘膜に留まっている早い段階で見つけることが出来た場合。この段階ではリンパなどへの転移の可能性はまだないので、「内視鏡」の治療ですみます。内視鏡を、口から食道がんのところまで入れて、内視鏡の先から針を出して、がんの下にヒアルロン酸を注射します。そうすると、がんが盛り上がるので、内視鏡の先から、小さい電気メスを出して、がんを1回で一気にはがすようにして取ります。この治療で、5年後の生存率は95%ほどとなっています。この治療は、大腸がんや胃がんなど他の臓器の治療でも行われる症例の多い手術です。

★進行しても「切り開かない」ハイテク手術がある!

今度は、もう少し進んでしまって、ガンが粘膜の下の層まで進んでしまった場合です。これも最近、新しい手術が増えていて、「胸腔鏡」と「腹腔鏡」を併せた手術があります。これもまた、非常に難しい手術ですが、傷口は小さく、患者への負担は極めて少ない。まず、胸に1センチ程の刺し傷を5ヶ所つけて、そこから管を入れます。その管から、胸腔鏡や手術器具を出し入れして、モニターを見ながら操作するんですが、手術器具で、他の臓器や神経を避けながら、首の近くで、食道を切り離してしまいます。さらに、緻密な作業で、転移の可能性がある周囲のリンパなどを、取り除いていきます。それが終わると、今度は、お腹の「腹腔鏡」を入れます。 お腹の方には、5ミリの刺し傷を3か所つけて、腹腔鏡などを入れ、さらに、みぞおちの当たり、こちらは5センチほど、横に切り開きます。その切り開いた部分から、手を入れ、先ほど切り離した食道から胃までを取り出します。あとは、胃を食道の代わりに管状にして、元に戻す、という手術です。

こういうと「できれば5センチ切らないで、そこも腹腔鏡でできれば」と思うかもしれません。

実は、今の技術でも、5センチ切って手を入れなくても、5ミリの穴で、器具を入れて食道を取り出すことはできます。ただその場合は、手術時間が2〜3時間、長くなり、体の負担が大きいようです。取材した先生によれば、比較すると、5センチ切る方が、ベターだということでした。問題は、この「胸腔鏡」と「腹腔鏡」の手術を併せた手術は、高い技術力が必要です。その一つの指標は、日本食道学会の食道外科専門医の資格があるかどうかです。学会のホームページで、全国の200人以上の専門医を紹介しているので、ぜひ参考に。

★最後に、食道がんを早期発見するポイント!

最後に、食道がんの早期発見をするための、1つポイントを。胃の内視鏡検査をする際、「ついでに、食道も一緒に見てください」と医師に言いましょう。人間ドッグなどで、胃の内視鏡検査をする際、食道はスーッと通り過ぎてしまいますので

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20161212080000

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