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色覚異常の子どものために、学校や親ができるサポートとは?

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で08:15頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・「色覚異常の子どものために、学校や親ができるサポートとは?」

木の幹が茶色ではなく緑に見える。それでもいいじゃないか。

今回は「色覚異常」、色の見分けがつきにくい方へのサポートを、特に学校に通う子供への支援に特化して取材してきました。まずは、自身が色覚異常で困った経験を生かし「カラーユニバーサルデザイン機構」副理事長としても活動している東京慈恵会医科大学教授・岡部正隆さんに小学校時代のエピソードを伺いました。

東京慈恵会医科大学教授・岡部正隆さん
校庭で写生をすることがあったんですけど、その時に木の幹を緑色に塗っちゃったんですよね。それで周りの同級生たちに「うわなんて色で塗ってるのコレ」というので、僕もあまりの盛り上がり方となぜそれが笑われてるのか分からなくて、その時に先生が「岡部君は他の人と色の見え方が違ってる。それはそれでいいじゃないか」という話を皆を集めてしてくれたんですね。それのおかげで同級生たちが、何かそういう色のトラブルがあった時に気を遣ってくれるというか、手伝ってくれるというか。非常に僕はそれで有難かった覚えがあるのね。

色覚異常は、40人に1人、つまりクラスに1人くらいの割合です。そう聞くと身近な気もするのですが、岡部さんのクラスでも、自分以外のクラスメイトがそもそも色覚異常の存在を知らず、からかわれる場面もあったようです。ですが担任の先生がこのように対応してくれて有難かったということです。色覚異常の子にとって先生のサポートは重要だなと感じますが、子供に一番身近な親はどのように接しているのでしょうか?小学校1年生、6歳の男の子がいるお母さんに聞きました。

夕陽が赤く見えなくても、桜の花がピンクに見えなくても…

小学1年生の息子さんがいるお母さんの声
初めて気づいたときはすごくショックで、申し訳ない気持ち、かわいそうな気持ちになってしまって、でも綺麗なものは綺麗だし、夕陽も赤く見えないはずだけどすごく感動する。だから悲観しないでお母さん達、個性だと思ってほしいなと今思ってますね。でも見えにくい色があるんだよっていうことを伝えないと危険なこともあったりするので、信号だったりそういう普遍的な色のものを教えてあげるようにしていますね。

色覚異常になるかどうかは遺伝子が関係していて、また男性のほうが症状が現れる確率が圧倒的に高いんです。(男性は20人に1人、女性は500人に1人)。なのでお母さんが起因する遺伝子を持っていても症状が出ず、その子供は色覚異常になるということがあります。そうするとお母さんとしては申し訳ないという気持ちを抱いてしまいがちですが、この方はだんだん前向きな考えに変わってきたということです。例えば息子さんは桜の花びらのピンク色が水色に見えるけれど、それで本人が綺麗だと感じているならいいじゃないかと思えるようになったそうです。ただ、信号がある所など危険な場所での対応は、親としてしっかり教えているということです。

そしてこのお母さんは、色覚異常の子供たちが困らないための折り紙を商品化しました。裏に1枚1枚色の名前が書いてあります。この折り紙なら例えば図工の時間、「ポストを作るので赤い折り紙を出しましょう」と言われた時にさっと出せます。最初は1枚1枚手書きで色の名前を書こうと考えていたそうですが、こういうものがお店にあれば、「色覚異常ってこんなに一般的なものなんだな」と他のお母さん達も思えるだろうと思って商品化したそうです。折り紙の色合いも、色覚異常の方がなるべく見分けやすいよう工夫されています。現在ホームページでのみ取り扱ってるので、気になった方は下記リンクからお問い合わせ下さい。

jinken20170204_origami2

色名付きおりがみ『Piece of Cake』の取り扱いホームページ「iro-iro.ink」

そして色覚異常への対応は、学校で使う教科書でも広まってきています。東京書籍株式会社の編集部員、厚見恵名さんのお話です。

リトマス試験紙の色を「赤」「青」とはっきり明記

東京書籍株式会社の編集部員、厚見恵名さん
小学校理科の教科書なんですけれども、リトマス試験紙の色の変化についても、青色と赤色というのも薄い色で非常に見分けにくいために、どこの色が何色に変わったかというのを文字で表記するようにしています。本質ではないんですが、何色になりますか?というようなテストの時に、何色って書けるように情報を負荷しているという部分があります。
「赤色」「青色」など文字で補足説明がされています。

「赤色」「青色」など文字で補足説明がされています。

このように、文字情報を細かく付加することで、色の見分けが付きにくい子でもわかりやすく、そしてテストで不利にならないように配慮がされてます。他にも国語の教科書ではグラフの中に模様も加えるなど、東京書籍では小中学校の教科書76冊で色覚異常の子への配慮を行っていて、その他の教科書会社も工夫して始めています。
そんな中、去年から学校での色覚異常対応にある変化がありました。就職差別を助長するなどの理由で、2003年から原則行われなくなっていた色覚検査が、去年から希望者に限り再開されることとなりました。ただこれについては配慮が不十分だと東京慈恵会医科大学教授、岡部正隆さんは指摘しています。

色覚検査再開よりも、まずサポートの充実を

東京慈恵会医科大学教授・岡部正隆さん
検査を再開して、誰が色弱であるかが分かる。そしてそれを学校が把握する、ということよりも、まずは色弱の子が困らない環境づくりというのを作るのが先かなと僕は思ってるんですね。例えばチョークの色。それから体育で使うゼッケンの色。そういうことも色弱の子に配慮のあるスタイルに変えていくということがまずなされるはずなんだけど、その何してあげるの?が多くの人達が分かってない。学校の先生たちも分からずに困ってる。

現状の対応では、色覚異常の子をあぶりだすだけでサポートに目が向いていない。本来ならサポート面を先に整え、検査はその次では?と岡部さんは指摘していました。

(担当:中村友美)