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「梅干・海苔・納豆で病気防止」地方で続く画期的な研究成果

森本毅郎 スタンバイ!

このところ、身近な食品で、梅干・海苔・納豆で、病気の予防につながる、研究結果の発表が続いています。2月27日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

 

★薬に転用される「梅干」

まずは、梅干から。梅干は、これまでも風邪やインフルエンザ予防などに、良いとされてきました。ただ、実験室レベルでは、様々な有効な成分は特定されていたんですが、実際に多くの人が薬として使えるよう研究されておらず、生産体制が整っていませんでした。

それが今回、実際に薬などに転用される、という段階まできました。梅の産地として有名な和歌山県田辺市と地元の農協が今月、特許の取得を発表したんです。どんな特許かというと、「梅酢ポリフェノール」という成分を使って、インフルエンザウイルスを抑える医薬品や食品を作る、というものです。

★梅酢ポリフェノールとは?

梅酢ポリフェノールは、梅干を作る途中に出てくる、梅酢から取れる成分です。梅干を作る際の、いわば副産物で、年間16トンの梅酢ポリフェノールがとれるそうです。

実は和歌山県の田辺市などは地元の大学と連携し、3年ほど前、梅酢ポリフェノールが、インフルエンザウイルスの増殖を抑える効果がある、という研究成果を出しています。研究では、ある一定の濃度の梅酢ポリフェノールで、ウイルスの増殖が、100分の1に抑えられることが示されました。さらに、ウイルスの感染力が、急速に失われることも分かっています。

この梅酢ポリフェノールをギュッと凝縮し、ウイルス対策の薬を作るわけです。去年、おととしに、臨床試験を行い、あと数年で薬が出来る所まで来ているようです。

ちなみに、この梅酢ポリフェノールは、梅干しを作る過程で、2割が梅酢として絞り出されますが、残りの8割は、梅干に残るそうです。そのため、梅干しを食べても、同様の効果があると期待されています。

★「スジアオノリ」の新しい効能!?

もう1つは「アオノリ」、中でも、高知、徳島、岡山等が産地の「スジアオノリ」です。名前の通り、筋状の細い形をしたノリで、味がよく、養殖もされています。ノリなので、ミネラル・ビタミン・食物繊維が豊富なのは、何となくわかります。

ただ、今回、高知県立大学の研究チームが「スジアオノリ」の新しい効能を発見しました。スイスの学術論文の、今月、発表されたもので、スジアオノリには、「アディポネクチン」を、増やす効果があるということがわかりました。

★アディポネクチンって?

「アディポネクチン」は、日本人研究者が1995年に発見した体内のホルモンです。血糖値を下げる働きを、助ける効果があるとされています。糖尿病や肥満などを抑え、生活習慣病の予防の鍵を握る物質として注目されています。

今回の研究では、スジアオノリを1ヶ月食べると、唾液に含まれるアディポネクチンの濃度が、およそ3倍に増えることがわかりました。今回の研究は1ヶ月と短いので、実際の効果については、長期の研究が引き続き必要ですが、ノリが、体内ホルモンの濃度を変えることを示す研究は、画期的です。

ただ、だからといって、そればかり食べるのも、よくない面もあります。アオノリは、鉄も驚くほど豊富に含まれています。アオノリを摂りすぎると、鉄沈着を起こし肝硬変などにつながります。幼児の場合は、急性中毒を起こすことがあるので注意が必要となります。

★納豆についての大型調査

そして、最後は、納豆についての研究です。納豆は血液をサラサラにして、血管が詰まるのを防ぐ作用があることが分かっていますが、今回、岐阜県高山市で、長期間にわたって行われた研究結果が、発表されました。

どんな結果かというと、納豆をふだんよく食べる人は、そうでない人に比べ納卒中で亡くなるリスクが、およそ「3割低い」、ということがわかりました。

この研究は、岐阜大学のチームが主導して行ったもので、とにかく大型の研究です。岐阜県高山市のおよそ3万人を、納豆を食べる量に応じて4つにグループに分けました。それを、1992年から、なんと、16年間追跡し続けました。この研究期間中に、700人近くが脳卒中で亡くなりましたが、それを分析すると、納豆を普段から食べていたグループで、脳卒中のほか、心筋梗塞の死亡リスクが低い傾向も示されました。

★納豆は週に1、2パックが適量。

研究で脳卒中の死亡リスクが低いとされたグループは、35グラム入りパックなら、週に1、2個食べるペースだったそうです。また、研究では、心筋梗塞の死亡リスクが下がる傾向もわかりましたが、納豆だけでなく、豆腐や味噌など、納豆以外の大豆食品でも、心筋梗塞の死亡リスクが下がることが、示されました。

★でも納豆は薬の飲み合わせに注意!

今回、いろいろご紹介しましたが、健康な方が将来の予防に食べるのがいいという話。すでに、病気になっていて、薬を飲んでいる場合は、食べ合わせに注意が必要です。特に納豆は、血液を固まりにくくする薬=ワルファリンを服用している場合は要注意。薬を飲んでいる人が、急に週4、5回納豆を食べるようになったら、脳塞栓症をおこしたという例もあります。普段から、病院で薬をもらっている方は、医師に食生活についても相談をしましょう。

★地方の食と研究がスゴい!

最後に余談ですが、今回は、日本の食と地方の研究力の見事なコラボだと思います。梅干は和歌山、スジアオノリは高知、納豆は岐阜で研究成果が発表されています。日本の医療や薬は、地方が頑張ると活性化します。こうした各地の地道な研究が全国に広がって、健康が広がることを期待します。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170227080000

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