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放送中

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  • コラム

第49回放送『伊豆大島』

コンシェルジュ沓掛博光の旅しま専科
今年で62回目を迎えた伊豆大島の椿まつり。およそ300万本の椿が咲き乱れ、島を彩る

今年で62回目を迎えた伊豆大島の椿まつり。およそ300万本の椿が咲き乱れ、島を彩る

 都心から南へ120キロの海上に浮かぶ伊豆大島。椿の島として知られ、今年で62回目となる椿まつりが3月26日まで行なわれている。約300万本のヤブ椿が赤い花を咲かせ、1年で1番華やかな季節を迎えている。2013年の土砂災害の復興支援事業として期間中に大島を訪れた観光客へは運賃や宿泊費の補助もあるのでこの機会にぜひ訪ねよう。

東京と大島の間を1時間45分で結ぶ東海汽船の高速ジェット船。まつり期間中は料金が割り引かれる特典がある

東京と大島の間を1時間45分で結ぶ東海汽船の高速ジェット船。まつり期間中は料金が割り引かれる特典がある

 伊豆大島へのアクセスは船または飛行機の利用になる。船は東京・竹芝桟橋から客船または高速ジェット船が出ており客船で途中停泊を含めて8時間、高速ジェット船で1時間45分。料金は片道が2月中はそれぞれ6730円、2等4160円。飛行機は調布飛行場から25分で、料金は1万1800円。これに船なら片道1500円、飛行機は同2500円が割り引かれる。さらに、東海汽船では期間中、東京・竹芝港発12時50分(3月10日まで)または13時10分(3月11日から26日)の高速ジェット船を利用して大島に宿泊(2泊まで可)し、大島発10時40分(3月10日まで)か11時発(3月11日から26日)の便を利用の場合は往復で3000円という破格な料金サービスを行っている。これに宿泊費3000円割引を適用すれば大変お得な旅が楽しめる。この機会にぜひ訪ねたい。

大島公園では連日「あんこの手踊り」などが楽しめる

大島公園では連日「あんこの手踊り」などが楽しめる

 まつりのメイン会場は冬季に船の接岸が多い岡田港からバスで10分ほどの大島公園。その途中には椿の古木が100mほど並ぶ椿のトンネルが続き、咲き誇る花を眺めながら会場に入る。会場では、毎日、あんこさんによる「あんこの手踊り」や「大島民謡」などのショーが1日4回ほどステージで演じられ、ステージのまわりには椿油などのお店も並ぶ。
「あんこ」とは「あねご」が転じた大島の言葉で“おねぇさん、娘さん”の意味。市松模様を思わせるあんこ衣装に椿の花を染めた手ぬぐいで姉さんかぶりした姿は大島独特のスタイル。会場の一角ではこの衣装を無料で貸し出しているコーナーがあり、若い女性客などでにぎわっている。

国際優秀つばき園のひとつに認定された椿花ガーデンからは伊豆半島と富士山を一望

国際優秀つばき園のひとつに認定された椿花ガーデンからは伊豆半島と富士山を一望

 大島公園は都立の公園で、椿園と植物園それに動物園を併設している。ステージの後ろに広がる椿園は東京ドーム1.5個分にあたる7ヘクタールの広い敷地に自生するヤブ椿が5000本と品種改良した園芸種がおよそ1066種、3200本ほどあり、ヤブ椿の赤、園芸種の八重の白い花が美しい都鳥、白と赤のまだら模様の白露錦などカラフルな椿の花が一帯に広がって椿の楽園の趣。椿園としては国内最大級の規模と言われる。道路を挟んで海を望む丘陵には椿資料館と海を一望する植物園がある。資料館では太古の地層から発見された椿の葉の化石や椿油の搾り方などの資料を展示。目を引いたのは期間中毎日取り換えるその日に咲いた100種、100本の椿の花の展示。一輪挿しに活けられた1本1本に椿の精が宿っているように美しく輝いている。
 ここを起点に椿の花の名所を巡ると島の西側、もう一つの玄関口にあたる元町港寄りに椿花ガーデンと都立大島高校椿園がある。実は大島公園椿園とこの2つの椿の施設は2016年の2月26日、1年ほど前に国際ツバキ協会から国際的に特に優秀であると「国際優秀つばき園」の認定を受けた。現在、世界で39か所、日本で8カ所ほどあるが、一島に3か所あるのは大島だけで、しかも教育機関が認定されたのも世界初と言われている。
大島のシンボルの三原山の麓を巡るあじさいレインボーラインから、椿の種(実)の採取目的とした椿の森公園を抜けて車で15分ほど行くとその椿花ガーデン(大人830円)に着く。5万3000平方mの敷地に2000本の椿が咲き乱れる庭園で、愛情込めて手入れされた椿の花を鑑賞した後は紺碧の海を挟んで対岸に伊豆半島や富士山を望む芝生の広場で雄大な風景を楽しみたい。ここからさらに5分ほどで大島高校に着く。校内の農園の一角に椿園があり、生徒達の実習により、昭和52年からの園芸品種を中心におよそ380種、1000本の椿を増殖させて、美しい花を育てている。まつり期間中は一般に公開中(無料)。

黒い砂と青い海が印象的な裏砂漠

黒い砂と青い海が印象的な裏砂漠

 島の中心にそびえるのが三原山。その最高峰が昭和61年に生まれた三原新山(758m)で、三原山山頂口から見ると、その先に剣ヶ峰(754m)、右横に櫛形山(670m)などが一体になって台形状にそびえている。山頂口から山頂までは歩いておよそ45分。山頂にはお鉢巡りの遊歩道が延び、江戸時代の噴火跡や、昭和61年にも噴煙をあげた火口を見ることができる。山頂から反対側の東に下れば裏砂漠と呼ぶわが国で唯一の砂漠が広がる。火山活動で噴出した溶岩の粒や火山灰が黒い砂となって堆積し、山頂から一気に下って砂漠を作り、麓の樹海へと続く。緑の荒涼とした樹海の先は群青の大海原。これを横から眺めると、黒い砂漠の直線と横一面に広がる青い海。線と面の交わりに黒と青の色の交差し、非日常の世界へと引き込まれていくよう。たたずむだけで何故か心が落ち着いてくる。裏砂漠へは島の東側を走る一周道路から月と砂漠ラインに入りその入り口まで車で行くルートや大島温泉ホテルの裏手に広がる樹海から歩いて入るルートもある。

三原山を正面に雄大な風景を眺めながら入る大島温泉ホテルの露天風呂

三原山を正面に雄大な風景を眺めながら入る大島温泉ホテルの露天風呂

 砂漠を歩いた後は露天風呂が湧く大島温泉ホテルで疲れた身体をほぐそう。ホテルは三原山の7合目に立ち、広がる樹海の向こうに三原山が望める。長い裾野とその足元に広がる樹海。視界をさえぎるものがないその風景を眺めながらの温泉は気分を雄大にしてくれる。温泉は自家源泉で、温度84度という熱い湯が豊富に湧き、大浴場と露天風呂で源泉掛け流しの湯浴みが楽しめる。大島にはこのほか、元町港近くに日帰り入浴施設の元町浜の湯と御神火温泉も湧く。

出船と入船が行き交う波浮の港は今も旅情にあふれている

出船と入船が行き交う波浮の港は今も旅情にあふれている

 昭和3年に大ヒットした歌曲「波浮の港」で知られる波浮港は島の南側にあり、今は主に沿岸漁船の港として利用されている。都道脇の見晴台から眺めると、湾はやや丸身おび、波静かな良港であることがわかる。案内板によればかつては波浮池と呼ばれる火口湖であったものが、地震によってその一部がくずれ、寛政12年に外海と通じる湾に切り開いたという。ここはまた、小説「伊豆の踊子」に登場する踊り子ゆかりの地と言われ、港を一望するかつての料理旅館「港屋旅館」には往時のにぎわいを人形によって再現し、かつての港町の姿を伝える写真資料などを展示。露地を歩けば木造2階建ての家々が軒を連ね、昭和初期のレトロな港町風情がただよう。その一角には潮風にのれんがゆれる港鮨がある。大島近海で獲れるカンパチ、イサキ、クロムツなどの地魚を中心に、新鮮な幸が楽しめる。

特産の椿油を使った大島温泉ホテルの椿フォンデュ

特産の椿油を使った大島温泉ホテルの椿フォンデュ

 味覚では新鮮な魚介類は無論のこと、特産の椿を使った料理も楽しめる。大島温泉ホテルでは椿フォンデュが味わえる。これは特製の鉄鍋に椿油と食用油を3:7の割合で入れ、熱くなってきたところで串に刺した伊勢海老やキス、椎茸などを天ぷら粉にまぶして入れ、熱々を食べる。椿油のさらりとした揚り具合が食材の味を引き立ててくれておいしい。
 このほか特産の青唐辛子入りの醤油に漬けたメダイのヅケをにぎったべっ甲寿司も人気だ。色がべっ甲に似ていることからその名があるが、ぴりっとした辛みがメダイにマッチしておいしい。

問い合わせ:大島観光協会 ℡04992-2-2177
交通   :竹芝桟橋から高速ジェット船で1時間45分。
      久里浜、館山寄港の便もある。空路は調布飛行場から25分