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放送中

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  • コラム

第52回放送『長野県高森町・飯田市』

コンシェルジュ沓掛博光の旅しま専科
今川勢の追手から逃れるため、亀之丞、後の井伊直親が匿われていた長野県高森町の松源寺

今川勢の追手から逃れるため、亀之丞、後の井伊直親が匿われていた長野県高森町の松源寺

 大河ドラマ「おんな城主直虎」の主な舞台は静岡県浜松市だが、実は長野県高森町(たかもりまち)も舞台のひとつになっている。亀之丞(後の直親)がかくまわれていた古刹やお隣の飯田市には飯田井伊家を継ぐ12代目も健在で静かなブームを呼んでいる。

亀之丞を保護した領主松岡氏の居城跡からは眼下に天竜川が望まれ、その背後に南アルプスの山々が連なる

亀之丞を保護した領主松岡氏の居城跡からは眼下に天竜川が望まれ、その背後に南アルプスの山々が連なる

 高森町は長野県の南部にあり、近くを天竜川が流れ背後に浜松市と境をなす南アルプスの山々が連なる。この高森町の飯田市寄りに今からおよそ500年前に創建された松源寺が立つ。こここそが、直虎のかつての許婚、幼名亀之丞、のちの井伊直親がかくまわれていた寺である。亀之丞を保護した領主松岡貞利の松岡城近くにあり、城跡に立つと眼下に春の日を受けた天竜川が一筋の光となって流れ、その背後に南アルプスの山々が望める。この戦国武将ゆかりの地に10年後の2027年にはリニア中央新幹線が走ることになる。隔世の感を覚える地でもある。

亀之丞が愛用した青葉の笛のレプリカ。高森町歴史民俗資料館に展示されている

亀之丞が愛用した青葉の笛のレプリカ。高森町歴史民俗資料館に展示されている

 直親は今川勢の追っ手から逃れるため家臣の背負うかますに身を隠して浜松から山越えしたと言う。松源寺では9才から20才までを過ごし、再び井伊谷(いいのや)へ戻っている。4月上旬には美しい花を咲かせる垂れ桜が枝を広げる松源寺の山門をくぐり、本堂に上がると直親の位牌が安置されている。ご住職の市瀬良樹(いちのせりょうじゅ)氏によるとこの位牌は直親が今川方に謀殺されたことを悲しみ、時の住職泰運が安置したと言う。本堂内では直親の生涯を絵と文章で解説しており、その中には直親が滞在している折に笛を教えてくれた娘と深い仲になり、子供をもうけたとの記述がある。娘とはこの地の代官塩沢氏の娘で、伝聞では男と女の2子を産んだと伝えられている。男子は吉直(きちなお)、女子は高瀬と言い、吉直は飯田に住みついて飯田井伊家の始祖となった。直親が愛用した青葉の笛は高森町歴史民俗資料館にそのレプリカが展示されている。

飯田井伊家の12代目の血を引く井伊徳広氏(左)。現在は麹店を営み、看板に井伊家の旗印の井桁を掲げている(右)

飯田井伊家の12代目の血を引く井伊徳広氏(左)。現在は麹店を営み、看板に井伊家の旗印の井桁を掲げている(右)

 飯田市内の本町にある嶋田屋麹店の当主井伊徳広さんはその飯田井伊家の血を引く12代目(井伊家始祖からは27代目)である。通りに面して紺地に大きく嶋田屋の文字が白く抜かれた大きな幕が張られ、看板には井伊家の旗印の井桁が掲げられている。嶋田屋の屋号は直親の相手であった娘の父塩沢家が住んでいた嶋田村に由来していると徳広さんは言う。店内には飯田井伊家の家系図や家紋が飾られていた。ここでは麹の他、無添加の自家製味噌や同じく無添加の甘酒などを販売、ドラマが始まってからは観光客も訪れ、買い求めて行く人が多いと言う。

「天龍峡十勝」やこれからの季節は緑が萌える峡谷を眺めながら下る飯田市の天竜ライン下り

「天龍峡十勝」やこれからの季節は緑が萌える峡谷を眺めながら下る飯田市の天竜ライン下り

 飯田市の中心部から車で10分も行くと天竜川のほとりにでる。諏訪湖から流れ出た天竜川は南と中央の2つのアルプスから水を集め“暴れ天竜”の名で呼ばれるように急流を作り、奇岩、怪石がそびえる峡谷を形作っている。これが天龍峡で、国の名勝に指定されている。天龍峡には明治時代に書道家の日下部鳴鶴(くさかべめいかく)が選んだ「天龍峡十勝」があり、奇岩、怪石を中心に、烏帽石(うぼうせき)、浴鶴巖(よくかくがん)などの名が付けられ、岩上にその文字が刻まれている。川下りは上流の弁天橋から天龍橋まで流れの速いところを下る天竜舟下りと天龍峡十勝のひとつ姑射橋(こやきょう)からスタートして十勝の多くの奇岩など眺めながら下る天竜ライン下りの2つのコースがある。これからは峡谷の両岸に咲く桜や新緑が水面に映え、切り立つ断崖と共に天龍峡ならではの美しい季節を迎える。

身体をほぐす効果もある天然ラドン湯が湯船に注ぐ峡泉の浴室

身体をほぐす効果もある天然ラドン湯が湯船に注ぐ峡泉の浴室

 天龍峡を望んでは天龍峡温泉が湧き、峡谷沿いに2軒の宿が立つ。その1軒、峡泉の宿を訪ねると、客室はすべて峡谷側にあり、窓からは眼下に天龍峡が眺められる。4月上旬からは桜の花も咲きだし、桜の花びらが舞う中をゆっくりと下る舟が眺められ、風流なひと時が楽しめる。
 温泉は単純弱放射能温泉、一般的には天然ラドン温泉と言われる泉温は低いが効能の高い温泉が湧く。主に打ち身、冷え症、神経痛、関節痛、高血圧などに効能があるという。宿のご主人の話では「舟下りのほか、峡谷周辺を巡る遊歩道もあるので、春のシーズンは散策し、その後温泉でくつろぐ方も多いですね」という。

「南信州いちだ牛飼いの里」のコクのある牛乳とこれから作るヨーグルトは女性に人気

「南信州いちだ牛飼いの里」のコクのある牛乳とこれから作るヨーグルトは女性に人気

 味覚では高森町にご当地丼の“高森アルプスサーモン丼”がある。これはニジマス同士の掛け合わせから生まれた養殖品種で、大きくなっても成熟しない特性を持ち、厚めの切り身には脂が乗り、刺し身や焼物、揚物などにするとおいいしい。この丼を町おこしにと、町中の飲食店ではちらし寿司風に、あるいは刺し身丼風にと色々工夫して出している。国道153号沿いにある米っ子寿司龍巳(たつみ)では酢飯の上に切り身の刺し身と炙りの身をのせた丼で出し、くせのない高森アルプスサーモンと酢飯の相性がうまみを引き出していた。
 もう一つは高森町の市田の地区で作られる「南信州いちだ牛飼いの里」の牛乳とヨーグルト。市田はもともと干し柿の「市田柿」で知られる産地だが、これに加えて乳酸品が女性客に人気が高い。周辺の酪農家で搾られた牛乳を原料にして低温殺菌牛乳とヨーグルトを農業法人の信州市田酪農が製造、販売している。いずれもコクがあり、牛乳本来の風味が楽しめる。

問い合わせ:高森町役場産業課
      ℡0265-35-9405
交通   :新宿から高速バスで松川ICバス停下車。
      飯田市は同高速バスで飯田駅前下車。
      いずれもバス停からはタクシー利用