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放送中

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福島第一原発視察/作業環境が改善も問題山積。そして避難者は。

森本毅郎 スタンバイ!

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忙しい朝でもニュースがわかる「森本毅郎・スタンバイ!」
(TBSラジオ、月〜金、6:30-8:30)
7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまるコーナー「現場にアタック」。本日3月16日(水)はレポーター田中ひとみが『震災から5年。福島第一原発はどうなっているのか』取材しました。今回は長文です。

現場にアタック(田中ひとみ)

現場にアタックレポーターの田中ひとみ

★防護服なしで視察可能。敷地内の作業環境は改善していた

東日本大震災から5年が過ぎましたが、きょうは、福島第一原発が今どうなっているか?現地を取材しました。在京ラジオ局の共同取材で、6社およそ30人くらいが現地に入りました。私も、TBSラジオのスタッフとともに、現場へ行ってきましたが、視察の冒頭は、東京電力の広報室長、坂井田健司さんのこんな説明から始まりました。

東京電力 広報室長 坂井田健司さん
ちょうど丸5年が過ぎまして、発電所の中の状況としてはかなり大きく変わって参りました。建屋周り以外は、視察だけであればほぼ装備無しでいける状況になってきています。ようやく現場がですね、いわゆる作業員の方が安心して作業できる状況になってきています。
説明を受ける取材陣

説明を受ける取材陣

広報室長の説明では「作業環境は改善」

広報室長の説明では「作業環境は改善」

広報のお話では、敷地内の環境が大幅に改善したということで、地面などを、モルタルを吹き付けたりして覆うことによって、放射線量を下げることに成功したそうです。ほとんどの区域で、大掛かりな防護服なしで視察できる状況になったと成果を発表していました。確かに、大型のきれいな休憩所が出来て、ローソンなども入っていて、作業員の方も「環境は改善された」「くつろげる」と言っていました。

きれいな大型休憩施設

きれいな大型休憩施設

日替わり定食380円。以前は暖かい食事は食べられなかった。

日替わり定食380円。以前は暖かい食事は食べられなかった。

過酷な作業ですので、こうした改善が進んだのはよかったなとは思ったのですが、、ただ、実際の現場は、私には、かなり緊張感のあるものでした。

★そして福島原発の敷地の中へ。放射線量は・・・

まず、敷地内に入る前には「入退域管理棟」という所で、WBC(ホールボディカウンター)でチェックを受けます。これは、敷地内に入る前と入った後の両方でチェックするもので、体内の放射性物質を測定して、異常がないかどうか調べるそうです。それから、APDという、個人の被爆線量をはかる機械が渡されて、それを持って、敷地内へと入ります。線量の高い場所にいると、アラームが鳴るというので、緊張が一気に高まりました。

重要免震棟へ移動。緊張する田中。

重要免震棟へ移動。緊張するめがねの田中。

これでも軽装備です。

これでも軽装備です。

軽装備と言っても、やはり放射線量のチェックは厳重。さらに、ヘルメット、軍手、長靴とそれを覆う袋を装着してバスへ乗り込みました。敷地内を回る途中、東京電力の担当者は、ポイントポイントで次のように案内してくれました。

バスで敷地内へ。車窓からみえたものは・・

バスで敷地内へ。車窓からみえたものは・・汚染水のタンク

東京電力 担当者
バスはこれから東側、太平洋側を正面向きます。ちょうど正面に赤白の大型のクローラークレーンが立っていますが、その右手に白いカバーで覆われた一角。ここが1号機の原子炉建屋が設置されている場所になります。その右手が1号機2号機の廃棄棟になります。
海抜10メートルのエリアに向けてバス向けて参ります。現在高いところで、20マイクロシーベルト/時、5分の1から10分の1程度に線量も低下してきている状況です。
右手には汚染水を処理した後の、水を貯蔵するタンクです。溶接型タンクで1000立平貯蔵可能です
水素爆発を起こした3号機の今

水素爆発を起こした3号機の今

使用済み核燃料がプールから除去された4号機

使用済み核燃料がプールから除去された4号機

国際的な基準では、一般の人が普段受ける放射線量の限度は、年間1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)。なので、仮にここに1日5時間いるとすると、10日でオーバーしてしまうことになります。作業員については、国の基準で50倍の年間50ミリシーベルトとなっていますが、先ほどの例で言うと、単純計算で500日でオーバー。さらに敷地内では、高いところでは、この10倍のところもある、ということでした。これでも昔の5〜10分の1というので、作業員の過酷さが伝わってきました。私は、線量の低いエリアを1時間程度回っただけだったので、平時の個人の年間上限にもまったく及ばない程度、歯医者のレントゲン1回分程度の線量でしたが、東電の方の言うとおり、見えている部分では整備は進んでいましたが、私は、見えない放射線が気になりました。

★なくすはずではなかったのか?ボルト型簡易タンクを発見

先ほどの説明の中で「溶接型のタンク」というのが出てきましたが、これは、汚染水を入れて置くタンクのこと。これがびっしり並んでいて、こんなに汚染水があるなんて、と驚きでした・・・。一方で気になったのは、溶接ではなく、ボルトでつなぎ合わせて組み立てる簡易型のタンクが見えたこと。

3年前、2013年、簡易型タンクで汚染水がもれて問題になり、溶接型に切り替える、といっていましたが、一体どうなっているのか?東京電力リスクコミュニケーターの岡村祐一さんに聞きました。

東京電力 リスクコミュニケーター 岡村祐一さん
タンクは全体で約1000基ありまして、ボルト型は300基くらい残っています。ボルト型は、今30基の解体が済んだんですけど、放射性物質が飛び散らないような、色んな施策をしながら1つ1つボルトをはずしていきますので、非常にゆっくりしたペースで解体していくしかないんです。そのペースはずっと一定のまま来ています・・。現時点では汚染水を増やさないという施策に取り込んでいます。タンクを作るペースをぐっとスローダウンできる、そういう見込みを我々は期待しています。
溶接方とボルト型。いまだに300のボルト型タンクがある

溶接型とボルト型。いまだに300のボルト型タンクがある

これも、終わっていないことの1つです。しかも、3日で1つ、タンクに汚染水が溜まっていく状況ということで、「今、増やさないように取り組み、期待している」とおっしゃっていましたが、道のりは厳しそうです。

★2号機はブラックボックス…「できていないこと」の情報公開は?

東電の方は、まずは、出来ていることの話を中心に説明しますが、気になるのは出来ていないことです。一緒に取材した人からも、このあたり説明をどうしていくのか?これからの課題は何か?という質問が飛びました。それについて、できていないことの1つ、溶けた燃料などの固まり「燃料デブリ」についてこう説明がありました。

東京電力 リスクコミュニケーター 岡村祐一さん
アドバイスありがとうございます。ここが難しいという情報については、我々も心がけてお伝えしていきますが、まずは、2号機の燃料デブリについて、今年2016年のうちに、何とか、ロボっト、さそり型ロボットといいますが、そちらで映像と調査結果をお伝えしていきたい。これは人類で誰も経験したことがない、経験地がない領域だといわれます。色々試行錯誤して、ロボット技術で、乗り越えて挑戦していくことだと思います。

以前ニュースでは、ロボットが原子炉の中に入って撮影した映像が流れていたので、そこまでは来ているのかと思っている方も多いと思いますが、あれは一部、1号機です。実は、2号機については、まだ中が見られていません。これから廃炉に向けて、燃料を取り出さなければいけないのですが、どこに、どんな状況で、どれくらいたまっているのか、いまだに「わかっていない」ということでした。

結局、取材陣が入れる、目に見えるところは整ってきていましたが、入れないところ、そして目に見えない放射能、こうしたものの状況は、まだまだ厳しいようでした。

大型休憩施設が遠くに見えた

大型休憩施設が遠くに見えた

★東京電力の現場公開・情報公開について避難生活者が思うのは

そして今回は、ラジオ向けの取材でしたが、実は、一般の方の視察も入れるようになっているようです。たとえば、一般社団法人「AFW」という団体などが主催して、福島県の方など、これまで140人以上の一般の方が入ったという報道もあります。では、こうした状況を、福島から関東に避難している方はどう見たのか?視察してみたいか。こちらも取材しました。

福島第一原発の事故により、避難している男性
見ないですね。事故後を見てもしょうがないでしょう。我々当事者だったら「なんか変わりますか?」ですよ。公開する必要ないと思うよ。だったら違ったやり方、やればいいんであって、開放するっていうのは、結局、目くらましみたいね、どっかに、安全ですよっていうのを植え付けさせると思うんですよね。我々わからないじゃないですか。東京電力それなりにプロですよね。だったらもうちょっとそのプロのね、知識を、一般の我々に、こうですよって、国と情報公開をしないと。

この方は、福島第一原発の双葉町出身の方でした。現場の公開もいいけれど、情報公開のほうが大切だという思いが伝わってきました。震災前、そして震災後、安心情報ばかりが流されたことへの不信感が残っていて、まだ信頼関係は回復していないようでした。

今回は、放送ではご紹介できませんでしたが、もう1人、福島県から関東へ自主避難している女性からもお話が伺えました。

避難生活を続けている女性
東電は中への見学みたいなものを、事故前からやってましたよね。で、外から見てですね、素人がわかるものなのか?例えば、ああいう姿をさらしているというのを見たところで、本当に、それが安全へのアピールになっているのかというと、私は違うと思うんですよね。確かに、原発の廃炉作業はすごい大変。作業員の方が、大変だなと思うんですよね。もし原発を導入しなければ全くなかった話なので、だから、それを防ぐために、福島から学んでくださいと言いたい。もっと本当に、きちんと自分たちがしたことを反省してほしいと思います。私たち避難者から見ると見えないんですよね。あと、国には、もっときちんと声を受け止めてほしい、それを言いたいと思います。

 東電が発信したい情報もあるかもしれませんが、それよりも、避難生活を送る人たちが発する声を受け止めてほしいと、国にも訴えていました。

(取材・レポート:田中ひとみ)

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