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「ダブルケア」ってご存じですか?▼人権TODAY(5月20日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・『ダブルケア』についてです。

『ダブルケア』

今回は、「ダブルケア」についてです。
ダブルケアというのは“子育てと親の介護が同じ時期に重なること”を言います。つまり1つの家庭の中に2つのケアがあることです。女性の社会進出や、晩婚化・晩産化により出産年齢が上がっていて、初めての子育てと親の介護が重なる人が増えているようなんです。国でも昨年ダブルケアをしている人の数を調査し、全国に約25万人いると発表しています。しかし実際はもっといるだろうと考えられているんです。一般社団法人ダブルケアサポートの代表理事 東 恵子さんの話です。

東さん
実は育児と介護が同時に進行するということは昔から起こっていたことなんです、今始まったことでもない。だた昔からあったんですが、そもそも概念化されていなかった、今回「ダブルケア」という名前が付くことで1つの社会問題であるという認識を世に広めることになったというのは1つとても大きなきっかけかなと思います。

ダブルケアは2012年に横浜国立大学と英国ブリストル大学が共同で研究・調査を始めて今も続いています。ダブルケアという名前もこの2つの大学の先生が付けました。調査方法は、まず横浜国立大学の近くの地域でアンケートや実際に会ってインタビュー調査を行いました。その結果、思っていた以上にダブルケアの人が多くいたこと、そしてその誰もが「ずっと誰かに話したかったけど、誰にも話せなかった。」と涙ながらに語ったそうです。

▲横浜市芹が谷にあるおしゃべりカフェ

▲横浜市芹が谷にあるおしゃべりカフェ

そこで子供連れで気軽に集まれて、日々の悩みも話せる場所が必要だと、3年前・横浜市にダブルケアの当事者同士が話せるおしゃべりカフェが出来ました。子育て支援の場所や介護者の集いとどういった所が違うのか、ダブルケアサポートの理事でおしゃべりカフェスタッフの植木美子さんの話です。

植木さん
例えば子育て支援の場所に行ったら介護の話はしないですし、介護者の集いに行けば子育ての話はしない。今は介護の話をする所だよとか、子育てはみんなしてきたんだから頑張りなさい!って突き放されてしまったりする人もいたので、そういう思いをした人は2度と介護者の集いには行けないって。一概にここに行けばダブルケアの人が受け入れてもらえるよって場所はないのでなかなか難しいと思います。

そこで身近な人に相談しようとママ友に話をしたら、気を使われてしまい「あそこの家は大変だから遊びに誘っちゃダメだよ。」と子供が遊びに誘ってもらえなくなってしまった人もいたそうです。もちろん相談された側も悪気があったわけじゃありませんが、自分も同じ立場じゃないときちんと理解はしきれないのかもしれません。このおしゃべりカフェは月に1度、基本的には第一金曜日に開催しています。朝10時から午後2時までで出入り自由。料金は200円です。ダブルケア以外の人、子育て中のお母さんや、介護をしている人も話をしに来ています。先ほどの植木さん含め、スタッフは皆さんダブルケアだった当事者です。利用者の方に話を聞きました。

利用者さん
ちょっと表現が変かもしれないけど、気持ちがカッサカサに渇いているような砂漠のようなイメージで、そこにお水が注ぎ込まれたような、本当に今までにない嬉しさでした。みんなも頑張ってるんだから自分も頑張ろうって思えたり、自分の求めてたものはこれなんだって思いました。なかなか集まりの場所に行けないんですけど、話せる場所がある、切羽詰まったらあそこで話そうっていう風に思うだけでも乗り越えられるのですごくありがたいです。
▲おしゃべりカフェに集まっていた皆さん。

▲おしゃべりカフェに集まっていた皆さん。

お話を聞いていると、本当に集まる場所が出来て良かった、あって良かったという気持ちが伝わってきました。この方はご自身のお母さんが脳出血で倒れて、その時小学校1、3、6年生の3人のお子さんの子育て中でした。日々の生活に追われて実際には集まりの場所へ行けないのがダブルケアの現実です。そこで去年、ダブルケア当事者向けのハンドブック「ハッピーケアノート」を作りました。1冊300円です。内容はダブルケアの人の日常の流れが細かく書かれていて、実際に利用したサービスや困った時の対処法などが載っています。これを読むことで、集まりに行って誰かに話せなくても、自分の支えにして欲しいという思いが詰まっています。

ハッピーケアノート

ハッピーケアノート

A5サイズで30ページほどのノートです。持ち運びも便利で、ノートという名前の通り、書き込めるページがあります。例えば、介護と育児でこのケースだといくらくらいかかるのかとかお金の話、また家系図を書くページもあって、家族を辿っていくことで今助けてくれそうな人は誰なのか、改めて見直すことも出来るんです。

▲ノートの中

▲ノートの中

最後にこんな利用者の方もいました。

利用者さん
世の中気付いたらダブルケアしてる。周りが「あなた子育てと介護してるけど、それダブルケアじゃない?」とか「無理してない?」とか声をかけて欲しい。生活の一部になっちゃってるから自分がダブルケアってことを思ってないと思います、自分自身が自覚出来てない。それで倒れてから、自分のケアしてないな、こんなにやってるけどこれ普通じゃないんだなって、たぶん麻痺しちゃってるんです。だから周りが言って欲しい。

自分では気付かなくて頑張り過ぎてしまうんです。理事の植木さんは「自分のケアも含めると誰もがダブルケア。ケアする人の体と心のケアがとても大切なので、長く活動を続けたい。」と話していました。また徐々にダブルケアのための集まりの場が全国に増えていて、同じ神奈川の茅ヶ崎や香川県・岩手県でも活動が始まったそうです。これから本当に増えていくであろうことなので、早く全国にサポートの場が広がっていくと良いなと思いました。

(担当:楠葉絵美)