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見落とされていた亜鉛欠乏症。国内初唯一適用の薬登場。

森本毅郎 スタンバイ!

亜鉛の不足が原因で起きる、亜鉛欠乏症という病気があります。鉄などの欠乏症に比べ、まだ認知度は低いですが、実は、その影響は多岐にわたります。その治療薬も含め亜鉛欠乏症について、5月22日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★亜鉛欠乏症とは?

まず、亜鉛ですが、金属の一つです。金属で体に悪いと思う人もいるかもしれませんが、人にとって必要なミネラルです。ただその量はごくわずかで、成人男子の体の中では、70kgの人で、およそ2グラムしか存在しません。そして、体内では作られないので、必要に応じて外から取り込む必要があります。取り込む量もわずかで、1日の目安摂取量は、成人男子で10mg、成人女性で8mg。そんなわずかであっても、亜鉛が足りなくなると、「元気がない」「食欲がない」「脱毛」「傷が治りにくい」「身長の伸びが悪い」「貧血」「口内炎」・・・体のいろいろなところに症状が出てきます。

★ベジタリアン・高齢者が不足しやすい

身の回りの食品で含有量の多くて有名なのは、牡蠣です。あと亜鉛は、豚や鳥のレバー、牛肩肉など肉類に多く含まれています。ですから、成人や・高齢者で言うと、ベジタリアンの人や、さっぱりしたものを好み、肉などをあまり食べない高齢者が、実は亜鉛不足になりやすいです。

★亜鉛はどのように働くのか?

では、その亜鉛が体のどこで、どのように働いているのか。多く存在するのは、筋肉、骨、皮膚、髪の毛、肝臓。そして特に亜鉛濃度の高いところは、舌にある、「未蕾」と呼ばれる味覚を感知する器官。加えて、生殖機能に関わる前立腺、精巣などです。そういった部分は体の中でも比較的、細胞分裂が盛んな場所です。つまり、亜鉛は体の細胞が、入れ替わり、新陳代謝をするときに必要なもので、体内にある、300以上の酵素の働きに関係しています。

★亜鉛不足で何が起きる?

必要な亜鉛がそれぞれの器官で足りなくなると何が起きるのか、詳しくみていくと、例えば、舌の味蕾という部位で、亜鉛が不足すると、味蕾が機能しなくなり、味がわからない、苦く感じるという、味覚障害が起きます。また亜鉛は、皮膚の入れ替わりにも、関係しています。特に、皮膚に潤いを与えるコラーゲンの合成などに、亜鉛が必要になります。そこで亜鉛が不足すると、皮膚が乾燥し、皮膚炎の原因になります。また、髪の毛も毎日伸びていますが、亜鉛不足によって細胞分裂が低下し、 髪の毛が作られなくなるだけでなく、脱毛の原因にもなります。

★赤ちゃんの亜鉛不足は痛い!

また、亜鉛不足の影響を受けやすいのは、赤ちゃんです。成長のために、日々細胞分裂を繰り返すので、亜鉛不足の影響がはっきり出ます。亜鉛不足の可能性があるのが、低出生体重児=(2500g未満)で生まれたお子さんです。症状としては、体重の増加・身長の伸びの不良、食欲も低下します。そして、赤ちゃんにとって大変なのが、皮膚炎。お尻に湿疹とかができ、真っ赤になって、おむつかぶれのようになります。口の周りや指の間などにも湿疹ができるお子さんもいますが、それがすごく痛いのです。そもそも、あまり亜鉛不足が原因というのが知られておらず、小児科でも診断できない。例えばおしりの赤い湿疹に対しては、原因はおむつの接触や刺激などで起こっているので乾燥・清潔にして軟膏を塗って様子を診ましょう、となります。

★では、亜鉛欠乏症の治療は?

牡蠣などの身の回りの食品で、亜鉛を確保したいところですが、実際、牡蠣の場合、5個食べても、摂取できるのは、およそ8ミリグラム。普段はこれで十分なのですが・・・治療となると、これでは足りません。すでに亜鉛欠乏で色々な症状が出ている場合、治療の上で効果的な亜鉛の量は、成人で1日、50~100ミリグラムとなります。これを薬などで補う必要がありますが、これまでは治療薬がなかったので、検査で亜鉛の不足が確認できても、別の病気の治療薬を使うしかありませんでした。

★亜鉛欠乏症の治療薬

そこに、今年3月、国内で初めて亜鉛不足の治療薬として承認された薬があります、その名前を、「ノベルジン」と言います。いまでは、低出生体重児の赤ちゃんにもこの薬で亜鉛を補充しましょうとなっています。実際、低身長のこどもが、6か月の間、この薬を使うと、身長が伸びるという結果や、味覚障害の人でも、薬を飲んで、改善した人は9割以上と良い結果を残しています。サプリメントではないので処方箋が必要になりますが、はっきりした治療薬がある、というのは一つ患者さんにとっては、不安を和らげてくれるのではないでしょうか。

★過剰摂取だと?

一方で、過剰に摂りすぎるのも、よくありません。サプリメントなどで過剰に摂取してしまうケースがあります。その場合、吐き気や、腹痛、低血圧などが起きます。ただ、亜鉛の上限は、成人男性で40~45mg、成人女性は35~40mgです。通常の食生活をしていれば、亜鉛を摂り過ぎることは、ほとんどありません。上限まで摂取するには、亜鉛の含有量が多い牡蠣でも、20個ほど食べる必要があります。

★普段の食生活ではどうする?

牛肉の赤身を、140グラム食べると、1日の摂取量は十分です。亜鉛は牡蠣や肉類以外の食品にも含まれています。木の実や豆類なども亜鉛が比較的豊富に含まれています。ベジタリアンの人にとっては有効な摂取源となりますので、松の実やゴマ、納豆、アーモンドなどを意識して食べると亜鉛をたっぷりとれます。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170522080000

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