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「脳卒中週間」に確認したい、最新研究結果と万が一の対応

森本毅郎 スタンバイ!

毎年5月25日から31日までの1週間は、脳卒中週間。日本脳卒中協会の呼びかけで始まったものですが、その脳卒中の年間死亡者数は12万人を超え、3大疾病の1つでもあります。どんな人が発症しやすいのか、万が一発症した場合にすべきことは何か。5月29日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★脳卒中、厄介なのは?

脳卒中は、脳の血管が破れたり、詰まったりすることが原因で、突然起きます。別名を、脳血管障害とも言いますが、脳卒中には、大きく分けて3つの病気が含まれます。

まず、高血圧や加齢が原因で弱くなった、脳の血管が破れる、脳出血。次に、脳を包む、くも膜という膜の内側で、動脈瘤が破裂する、くも膜下出血。そして、何らかの原因で脳の血管が詰まって、脳の壊死などを引き起こす、脳梗塞。脳卒中のうち、75%=4人に3人は、最後の、脳梗塞が占めています。

脳卒中の最大の原因は高血圧ですが、長年の生活の積み重ねが、動脈硬化を進行させます。脳卒中の厄介なところは、積み重ねた結果、ある時突然やってくることです。そのため、どんな人が脳卒中になりやすいのか、予め特定しづらい部分もあります。ただ最近の研究では、脳卒中のリスクが高いのはどんな経験を持つ人か?ということが、いくつかわかってきています。

★失業・転職経験が影響!?

まず最近わかったのが、仕事の転機と、脳卒中リスクの関係です。国立がん研究センターが、45歳から59歳の、およそ4万人の男女を対象に、15年間追跡調査した研究結果が、先月発表されました。これまで気分の低下など精神状態に焦点を当てる短期的な影響を調べたものはありますが、15年間という長期的な影響をみた調査は、国内では、あまりありません。

その調査によると、失業経験のある人では、脳卒中のリスクが高いことがわかりました。失業を経験した男性では、脳卒中を発症するリスクは「1・76倍」、死亡リスクは「3倍」。一方女性では、発症リスクが「1・38倍」で、死亡リスクは「1・98倍」でした。

また気になることとして、女性はそれ程高くないのですが、無職から再就職した男性では、脳卒中の発症リスクは2・96倍・・・さらに死亡リスクは4・21倍にも上っていました。男性の場合、たとえ再就職しても、リスクが高くなるわけとしては、再び得た、仕事を失わないために無理をすることや、その恐れによる精神的ストレスの増加などが考えられています。

★離別も影響が・・・                   

同じ追跡調査では、別の、人生の転機と、脳卒中との関係について、研究がなされています。配偶者との離婚や死別を経験した人は、男女ともに脳卒中の発症リスクが「1・26倍」。失業や配偶者との離別という経験は、避けようと思って避けられるものではないですが、経験のある人は、より意識をして、健康管理に気を付けることが大事です。

★リスクを減らす適度な運動量は?

リスクを減らすために、健康管理でできることの1つが、運動です。こちらも欧米では数多く調査がありますが、日本人に関する報告はあまりありません。そうした中、こちらは、50歳から79歳の、およそ7万5千人を対象に、2012年まで、国立がん研究センターがおよそ10年間の追跡調査をしています。

その研究によると、やや速い速度のウォーキングを、毎日1時間行うと 脳卒中の発症リスクがおよそ「30%」下がるという、結果が出ています。そして、難しいかもしれませんが、運動量が増えればさらに、リスクは減ります。

この研究では、一番、リスクが低くなるのは、ウォーキングを1日、2~4時間。ランニングを1日1~2時間程度に相当する運動量だということです。ただし、それ以上の過剰な運動と、脳卒中リスクとの関係は今のところ不明です。

★脳卒中、実は、夏に注意?

そしてもう1つ気を付けたいのが、脳卒中の症状が出やすい時期。脳卒中と言えば、血管が縮む、冬場に多いと思われがちなのですが、脳卒中で4分の3を占める脳梗塞が発症しやすいのは、実は、7月・8月の夏場。なぜかというと、夏には汗を多くかくので、体内が水分不足の状態になります。すると、血液がドロドロ状態になり、血管が詰まりやすくなるといわれています。

★迅速対応で助かる薬がある!

最後に、その脳梗塞で大切なのが、万が一発症したときの迅速な処置です。ある日、突然襲い掛かってくる脳梗塞は、血栓で血管が詰まると、その後、時間とともに脳細胞が壊死してきますので、これは時間との勝負となります。近年では、迅速な処置を行えば、重症を避けられる治療が進んでいます。

それは「t-PA」という薬の治療で、この薬を静脈内に点滴することで、血管に詰まった血栓を溶かします。この治療は、脳梗塞の発症から4時間30分以内に行うのが有効とされています。実際、病院にたどり着いてから検査時間などがかかりますので、3時間30分以内に病院にたどり着く必要があります。

「t-PA」の治療を受けなかった場合と比較すると、後遺症が残らずに回復したり、後遺症が残っても社会復帰する患者さんの割合が1・5倍増えるというデータがあります。

★迅速対応でカテーテル治療もある!

その薬の治療が間に合わない、または患者さんの体の状況から薬が使えない場合の治療も進んでいます。発症から8時間以内であれば、カテーテルを使った治療となります。どんなものかというとカテーテルを足の付け根の動脈から脳の血管まで入れていきます。そしてカテーテルの先端の医療装置を使って、血栓を取り除いていきます。

この治療が広く行われるようになったのも、効果が証明され始めた、2年程前からで、徐々に、処置が施せる時間が伸びているので、万が一の場合、しっかり対応しましょう。

★万が一の異変をどう察知するのか?

覚え方は、アルファベットで「FAST」。

  • 「F」はFACE=顔で、顔の片側が歪んでいないか?
  • 「A」はARMS=腕で、片側の腕がだらんとさがっていないか?
  • 「S」はSPEECH=お話、簡単な文章を、なめらかに話せるか?
  • 「T」はTIME=時間が勝負

顔・腕・お話の1つでも症状があれば、医療機関へ。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170529080000

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