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カール以前に姿を消した”サイコロキャラメル”は、今?

森本毅郎 スタンバイ!

先月、明治のスナック『カール』が東日本で販売終了へというニュースがありました。コーン系のカールですが、ポテト系の勢いに押されてやむなく、という話。ネットでは”カールロス”とか”カールショック”と騒いでいたり、スーパーやコンビニで買い占める人が出たというような話も伝わっています。

そこで、カールショックから10日ほど経った今、ほかのメーカーやお店はどうなっているか、調べてみました。「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!6月6日(火)は、レポーター近堂かおりが『カール以前に姿を消したロングセラー”サイコロキャラメル”は、今?』をテーマに取材しました!

まずは、東京都内のスーパーはどうか。あるチェーン店の店長に、お聞きしました。カールショックでお客さんや商品の棚の動きはどうなっているんでしょうか?

★カールショックある??

スーパーの店長さん
「特段、変化はないです。大きな変化はお店から発注が上げられなくなったことぐらい。きわめて静かですね。(ポテト系スナックが強いと聞きますが?)はい。コーン系って、そんなに新しい商品が出ていなくて、シェア自体はだいぶ下がっていると思います。今回、カールって話題性はあったと思うんですが、今までに、なくなった商品ってほかにも山ほどあって、だからカールも一時的な話題であって、話題そのものもあっという間に消費されてなくなるんじゃないかと思いますね。」

カールが売っているお店を見つけるのは難しくなっているのも事実。ほかのスナックメーカーのお話では、年明けから話題のジャガイモ不足もあり、ポテトチップが種類が減り、カールがなくなるから、棚が空いてしまう。なにか別の商品を増やしてくれ、とお店から声がかかっているところもありました。

しかし、それ一色ということではなく、取材した限りでは、ネットなどから受ける印象ほど実店舗は騒いでいないという感じがしました。お店側は「カールの話題もじきに消費されるでしょう」「ほかにも、なくなったこと自体もう忘れられている商品は山ほどある」と、とても冷静でした。

★サイコロキャラメルも無くなっていた!!

その言葉どおり、同じ明治で、カール以前にすでに終了していたロングセラー商品がありました。そのひとつが『サイコロキャラメル』。

サイコロキャラメル。みなさん一度は食べたことが・・・ありますよね?

サイコロキャラメル。みなさん一度は食べたことが・・・ありますよね?

昭和の子供にはおなじみの、サイコロ状の赤と白のパッケージにキャラメルが2粒ずつ入っているお菓子。実は去年3月に、明治のラインナップから消えていたんです。最後まで唯一、サイコロキャラメルを作っていた、北海道にある明治のグループ会社『道南食品』の本間千絵さんに話を聞きました。

本間千絵さん
「1927年(昭和2年!)から発売を開始していまして、ちょうど89年目だったんです。明治の終売の理由としては、キャラメル市場が振るわないということで中止するという意向に至ったと伺っております。やはりお菓子の種類が昔と違って非常に増えていまして、消費者の選択肢がすごく増えたということだと思います。(歴史から考えたらもっと騒がれてもいいと思うのですが…?)やっぱり、カールはまだなじみがあるということが大きいかもしれないですね。サイコロキャラメルだと年配の方は知っていますけど、若い方はなかなか食べる機会もなかったんじゃないかと思います。」

1927年から89年の歴史!!!カールは1968年発売で49年!!サイコロキャラメルはカールよりもかなりロングセラー。しかし、キャラメル菓子そのものがお店の棚のスペースが縮小する中で、サイコロキャラメルの生産終了は、カールほどの衝撃はなかったのかもしれません。

★数学者の訴え!!

そんな中で、このお菓子だけはなくしちゃだめだ! と声を上げていたのが、なんと数学者。『算数が好きになる本』や『いかにして問題をとくか 実践活用編』の著者として知られる、桜美林大学の教授・芳沢光雄さん。どうして数学者が声を上げたのか、お話を伺いました。

芳沢光雄教授
「私は生まれてからサイコロキャラメルは1000個以上は軽く食べてると思います。食べると同時にこれでいろんなことをして遊んでたんですよ。まず当然、すごろく。あるいは、展開図を作って遊びもしました。それがなくなる、そんなばかな!と思って。それで実は私自身、数学教育のいろんな活動もしていますけど、最近で一番衝撃だったのが、2010年の全国学力テストの中学3年生の問題で、立方体・・・サイコロキャラメルと同じですね、その立方体の2つの対角線が図示してあって、それが等しいか、等しくないかを問う問題だったんです。私は、これは正答率99%だと思っていたんです。でも結果を見たら、55%。これはどういうことかとよく考えたら、「空間図形」の遊びがものすごくおろそかになっているんですよ。」

ただのキャラメル好きだからということではないのでした。(失礼!)

芳沢教授とサイコロキャラメルと。

芳沢教授とサイコロキャラメルと。

芳沢さんは、子供たちの数学の感覚、特に立体や空間図形を認識する力や確率に対する感覚を養うのに、サイコロキャラメルは最適だというんです!今はとてもリアルな3D画像もありますが、実際に手が触れるパソコンやスマホの画面は平面なので、それでは空間図形をつかむ感覚は養えないと言います。

★試行錯誤力も育むサイコロキャラメル!?

でも、それなら、教材で作って子供に与えればいいんじゃないの? と思ったのですが、芳沢教授はもっと大切なことがあるんだと言います。

芳沢光雄教授
「展開図というのは実はものすごく重要で、自分自身で図を書きながら何個、展開図が作れるかというのが大切なの。試行錯誤して作るということがとても大切なんです。日本が戦後、焼け野原からここまで発展した一番のポイントは、日本人は試行錯誤する力がものすごく強かったんです。だから技術立国としていいものを作ってきたんです。ところが最近の教育は、「はい、答え。立方体の展開図は11個。憶えた?」と、こんなことばっかりやっているから試行錯誤する力が弱くなった。私はそこに危機感を抱いていた時に「サイコロキャラメルをやめる」という。また空間図形の認識をやめるようなことをよくもやってくれるなと。空間図形をこういう、遊ぶのか学ぶのか分からない形で楽しみながらやるというのは、日本人の持っている一番の良さ(=試行錯誤力)を復活させるポイントなんです。」

実はこのサイコロキャラメル、明治は去年3月に生産を終了したのですが、生産を請け負っていた道南食品が、北海道限定商品として去年6月に復活させました!道南食品は自分たちの誇りのサイコロキャラメルを続けたいと直談判したそうです。

それを知って、芳沢教授は北海道まで飛んで行って、涙を流して喜んだそう。その芳沢教授のアツイ思いに、道南食品のみなさんも感激しました、とおっしゃっていました。新生サイコロキャラメルのキャッチコピーは『北海道を、ふりだしに。』!!北海道土産として人気が出てきているそうです。それにしても、これだけアツイ思いを持った教育者がいる、というのは貴重なことですね。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。