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高齢者の身体的な変化を疑似体験する教材▼人権TODAY(6月10日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・『高齢者擬似体験教材』

「高齢者疑似体験教材」って、何を学ぶもの?

今回は「高齢者疑似体験教材」という福祉指導の教材を紹介します。江戸川区にある株式会社三和製作所が販売している商品を借りました。この教材は高齢者でなくとも身につけることで、高齢者特有の体調・体力・感覚などの変化、生活上、どんなことに不便を感じるかを体感できるサポーター、ベルトなどのセットです。

高齢者擬似体験教材のラインナップ

▼ひじ、膝がが曲がりにくいように固定するひじ当てひざ当てのサポーター。これをしていると、ひじ、膝の動きが制限されて、高低差のある通路、棚などの利用が難しくなります。▼腰が曲がった状態で固定する「前かがみ姿勢ベルト」とステッキ。前かがみだと、ステッキの重要性がとてもよく分かります。▼筋力の低下を疑似体験するための重りつきのベストや手足のバンド▼視覚の変化、衰えなどを体験できるゴーグル。視界が黄色くて見えにくいのですが、これは水晶体が白濁した高齢者の視界を再現しています▼聴覚の変化、難聴の疑似体験ができるイヤーマフ、ヘッドホンのような形をしたものです。

高齢者疑似体験教材はこうしたもので構成されています。これをつけて動いてみると、手足が思うように動かせない、早く歩けない、視野が限定される、呼びかけが聞こえにくい等、高齢者が生活するうえでどんな不便があるか、実際に体感できます。

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三和製作所の小林広樹社長
高等学校の家庭科の先生から高齢者の疑似体験を子供たちにさせたいんだけども 市場にある体験教材は非常に高価なもので、生徒一人一人に体験させられるほど買えないと、それであれば予算に応じた廉価版、キットを自社で開発して。なるべく多くの子供たちが体験できるようにする目的で開発をすすめていきました。

三和製作所はではこれを10年ほど前に発売しましたが、既に先行するメーカーがあって、ワンセット10万円以上したそうです。三和製作所はもともと学校向けの科学教材を販売していた会社なので、学習教材を廉価に製造するノウハウを活かし、それを2万円程度まで値下げできたと。初めの頃には学校からの需要が多く、近年は値段の手頃さもあり、学校よりも企業が購入するケースが多いそうです。

どんな会社が教材を利用しているのか?

介護福祉職、医療介護、ヘルパーなどの施設で、新しく職についた人にこの教材で体験してもらったり、航空会社やタクシー会社などの運輸関係、サービス関係の会社が教材を身につけたスタッフを接客しエスコート時の立ち位置を検討するなど、サービスの質を上げるため活用しています。ユニバーサルデザインを扱う企業全般で使われており、たとえばフォントと呼ばれる看板・標識の文字を開発している会社で、高齢者に見えやすい文字の色、形などを研究開発するために「見えにくくなる」ゴーグルを実際につけたりしています

たとえば実際にイヤーマフを身につけると、呼びかけられてもよく聞こえずに気づきにくいんです。「大丈夫ですか」と小さな声で声かけしても、難聴の高齢者には聞こえないかも、と分かります。企業はこうした体験を通じて、高齢者の感覚で理解しやすい、使いやすい製品の開発やニーズに合った接客サービスの改善に取組んでいるということです。

この教材がモデルにしている高齢者は、想定年齢はないそうですが現状、介護を必要としないけれども、要介護になる少し前の体力、体調を想定しているそうです。

小林広樹社長
この教材は大変さだとか、これはつらいぞというのを知って、何ができるのかを考える教材なんですよね。中高生やサービス業の方々がお年寄りが入ってきた時にどういう対応ができるのかを、自分が体験して知ってもらおうというのが狙いですので、できるだけハードに、こんなに見えないのかと思うかも知れませんが、そう思うからこそ、いたわる気持ちだとか、気づきにつながっていくのが、この教材の狙いなんです

日本は擬似体験教材の後進国?

僕は今回の取材で初めて知りましたが、疑似体験教材は、日本独自の分野かと思ったんですが、実は欧米で教材開発や福祉教育への導入が早く、この教材の原形も、14~5年前にアメリカから輸入されたのだそうです。実は日本は疑似体験を活用した福祉教育は遅れていて、高齢者疑似体験セットも学校教育にとりいれられたり、広く普及したのは廉価な教材が出たこの10年ぐらいのことだそうです。日本は福祉学習への意識が低かったという、私たちの反省材料だと思います。

僕も取材で教材一式をつけて動いてみましたが、腰が曲がった前かがみの姿勢では、前方をまっすぐ見るだけでも大変で、ましてや左右も視界に入りにくい、高齢者が交通量の多い街で移動するのが、いかに大変か分かりました。学校での授業や、一般向けの体験会でも、この疑似体験から周りの高齢者にどんなお手伝いができるか考えるのに役に立っているということです。

この「高齢者擬似体験教材」を購入してみたい方は、三和製作所までお問い合わせください。電話番号は03-5607-7811。なお土曜・日曜・祝日は休業日ですので、ご注意下さい。https://www.sanwa303.co.jp/

また各自治体の社会福祉協議会が教材を所有していて、レンタルしたり、体験会を開くこともあるそうです。お近くの社会福祉協議会事務所へお問い合わせください。

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(担当:藤木TDC)