お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ

弘兼憲史の漫画人生、映画人生

コシノジュンコ MASACA

2017年6月25日(日)放送

ゲスト:弘兼憲史さん(part 2)
1947年生まれ。子供のころ手塚治虫に憧れ、漫画家を志します。早稲田大学卒業後、3年間大手企業に勤めたあと、1974年『ビッグコミック』(小学館)掲載の「風薫る」で漫画家としてデビュー。サラリーマン時代の経験を活かした作品を数多く発表し、代表作『課長島耕作』シリーズは団塊の世代への応援歌として30年以上現在も連載中。2003年、『黄昏流星群』で第32回日本漫画家協会賞大賞を、2007年には 紫綬褒章を受章しました。

masaca_0618c

出水:弘兼さんは漫画連載だけでなく、多くの著書も出されていらっしゃいます。2001年に出版された「人生を学べる名画座」では、20本の映画を紹介していますね。

JK:いやー、映画といっても見方が違うなと思って。こういう見方をすると映画もためになるし。評論家としても立派ですね。

弘兼:映画監督になりたかった時期もあるんですよ。大学の時、漫画研究会に入るか映画研究会に入るか迷って、そのころから映画が大好きで、もし映画監督になれる道があるならそっちに行ってもいいかなと思うくらい、映画が大好きなんです。

JK:今からでも遅くはないですよ。

弘兼:いやいや、締め切りがあるので(笑)身動きできないぐらい忙しいんですよ!

出水:映画を見るときはどのような視点で見ていらっしゃるんですか?

弘兼:いわゆる一般の人が評価する映画、アカデミー賞とかカンヌで賞を獲ったものはだいたい見ます。高校の時は田舎だったので、上映される映画は全部みました! 大学時代はお金がなくてあまり見られませんでしたが、会社を辞めてデビューするまで失業保険をもらっていた時期は1日8本ぐらい、朝から夜中まで見てました。

JK:ごちゃごちゃにならないんですか? 私、映画の審査員をしたことがあって、どれがどれだかわからなくなっちゃう。

弘兼:僕も漫画の審査員をしていますが、好きな漫画はどんどん読めるけど、少女漫画はなかなか読めなくて、何回も同じところを行ったり来たりする(笑)幼年誌も読めないですね。『少年ジャンプ』は若い人向けの漫画雑誌なんですが、最近はあの辺も読めなくなりましたね。「ワンピース」とか、世界中で大ヒットしてても読めない(笑)

出水:映画を見ているときにはメモをされるとか。

弘兼:漫画家になろうと思っていたので、とにかく映画からいろんなところを盗もうと思って。当時は“光るペン”というのがあって、映画を見ながらメモしたりとか、映画館の外に出てメモして戻るとか。そうやってストックを作るんですね。

JK:そういう風にたまっていったものが、この本ですか?

弘兼:どちらかというと、漫画のほうですね。このシチュエーションなら、あの映画を参考にしよう、とか、ヒントになることがいっぱいあります。

IMG_0926出水:いままで見た膨大な映画のなかで、3本の指に入るお気に入りの映画は?

弘兼:僕はスタンリー・キューブリックが大好き。「2001年宇宙の旅」は普通のSF映画と違ってリアルだったんですよ。「スターウォーズ」は宇宙空間で撃ち合うじゃないですか。真空空間だから音なんて聞こえないのに、バンバン音がする。「2001年~」ではまったく無音状態になりますからね。自分の心臓の音しか聞こえない。そのリアルさがすごかった。「人間の誕生」を描いた映画だったんで、哲学的というか、これまでにない壮大なスケールに圧倒されましたね。それと、「ローマの休日」は10回ぐらい見ました。

JK:どっちかっていうと、“女性のロマン”じゃない?

弘兼:でも、なかなかハラハラするんですよ。記者会見のシーンなんかドキドキでした!どういう顔するんだろう? とか。グレゴリー・ペックともう一人、カメラマンの男がいるでしょ? あれが実は、今度TBSで放映されるドラマ「ハロー張りネズミ」の主人公のモデです。

JK:一つ挙げろと言われたら、私はヘプバーンかアランドロン。アラン・ドロンとは一緒にご飯食べたことがある。もうちょっと若い時が良かったなーと思っちゃった。

弘兼:「太陽がいっぱい」のころなんかカッコよかったですよね。

出水:映画のサウンドトラックで好きなものはなんですか?

弘兼:「アラビアのロレンス」ですかね。最初のティンパニから入っていって・・・いいんですよ。壮大な曲ですよ。

JK:やっぱり映画って自分の人生に関係してきますよね。「男と女」とかね。

弘兼:あれもよかったですね! カメラワークとか、今見ても新しいんですよね!

JK:私、ドゥーヴィルにポロのチームを持っているんですけど、「男と女」のシーンが忘れられなくて。それでハマって。映画見てなかったら興味なかったかもしれない。

弘兼:子供たちが浜辺を走っていると、軍港だから後ろに軍艦が通ったりする。あのシーンが素晴らしかった!

IMG_0925出水:弘兼さんの著書「男子の作法」には、ご自身の人生をふまえて、粋な人生の過ごし方が書かれているんですよね。

弘兼:そうです。一般的な食事のマナー、僕がいろんなところで見聞きしたこと、それから「こうしたほうがいんじゃないか」という提案。あんまり上から目線でエラそうなことを言いたくなかったので、僕はこうしてみてますよ、みたいなことを書いています。

JK:すごくいいと思う。こういうのを若い子に読んでほしい。パンを食べるのでも、ガバっとかじるんじゃなく。

弘兼:海外だと歯形がつくのはダメなんですよね。だから、日本のハンバーガーもがばっとかじるのはダメで、箸でつまむとかしないと(笑)

JK:お皿も、フランスやイタリアではお皿を持つのはいけない。立食のスタイルになれちゃってるんじゃないかしら。

弘兼:食器を持ってもいいのはおそらく日本ぐらいですよね。韓国では小さい食器でも、顔を近づけて食べなきゃいけないんです。日本だと、小鉢でも必ず手で持ち上げる。だから、お蕎麦はそば猪口を口元まで持ち上げなくちゃいけないんだけど、若い人は手前でっすするから、変な食べ方になる。しかも音を出すのが行儀。

出水:いま、そういうことを教えてくださる方が減っていますね。

JK:だからいいのよ。中学生ぐらいからこの本を読んでほしいわね。大人になってからじゃなくて。

弘兼:僕は池波正太郎さんが描かれていたそばの食べ方を若いころに読んで、「こうやって食べればいいんだ」と初めて知っては、実践して自慢してましたね。「東京のそばつゆは辛いから、全部つけちゃだめだよ」とかね(笑)

masaca_0618b

出水:著書のなかに書かれている、弘兼さんの3つの信条――「まあいいか」「それがどうした」「人それぞれ」。

弘兼:これ、あきらめる方法なんです。いちいちこだわってると前に進めないじゃないですか。「まあいいか」と言えばすべて終わりにできる。「それがどうした」と居直ってもいいし、「人それぞれ」の生き方があるから、比較しないで好きな道を生きていけばいい。

JK:納得しますね。そうだそうだ。

出水:自分の作品が世に出ていくと当然評価もあるわけで、他の漫画家さんと比べちゃったりすることもあるんですか?

弘兼:僕はしないですね。自分の書きたいことを描いて、受け入れられなかったら自己責任。人のせいにはしない。

JK:弘兼さんの人生ってオリジナルですよね。自分のやってきたこと体験したこと、残してきたこと。オリジナルのものは永遠に続きますものね。世間から認められる。

弘兼:僕ら漫画家の世界では、個性というのは徐々に固まってきます。僕のも固まってきていると思います。ちょっとエッチな漫画、とかね(笑)

JK:今度、島耕作の会長が終わって、リタイヤして、これから人生をやっていくよ! みたいな。次の漫画はありますか? 人生まだこれからやー! みたいな、元気なシニアというか。

弘兼:僕にとってはそれが「黄昏流星群」がそれなんです。人間いくつになっても恋ができるよ、と。それが若さの秘訣だし、免疫細胞も活発になるし、みなさん恋をしましょう、と。

JK:長年いろんなことをいっぱい経験して、そのキャリアを次に生かすというか、自分だけで終わっちゃうんじゃなくて、次に生かせるような漫画を描いてください。

弘兼:そうですね、だから僕の漫画も、おこがましいんですけど、僕はこういうことをやってきました、ということが作品を通して言えますよね。

出水:TBSでも楽しみなプロジェクトがあって、「ハロー張りネズミ」がテレビドラマとなって7月から放映されます。出演は瑛太さん、蒼井優さん、リリー・フランキーさん。これは80年代の作品ですよね。

弘兼:僕の初期の作品です。初代は唐沢寿明さん、二代目が緒方拳さん、そして瑛太さんで三代目。豪華キャストなのでびっくりしましたね! とくにうちの連中は深田恭子さんのファンが多いので、俺も撮影見に行っていいですかー?みんなで行こうか? とか言ったり。ドラマに合わせて、新作の「ハロー張りネズミ」も書きました。2作だけですが、これから発表されると思います。

IMG_0920

IMG_0919

=OA楽曲=
M1.  アラビアのロレンス / モーリス・ジャール

M2. 男と女 / フランシス・レイ