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「肺腺がん」が増加傾向。手術は縮小傾向

森本毅郎 スタンバイ!

喫煙者は、肺がんのリスクが高いことは様々な研究で明らかになっています。一方、肺がんで、最も患者数が多いのは、「肺腺がん」というタイプのもので、これは、タバコを吸わない人にも起きる肺がんで、最近、増加傾向にあります。その原因と治療について?6月26日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★腺がんは肺がん全体の6割

まず、肺がんのタイプによって4種類に分けられるんですが、その中で、たばこを吸う人に多いのは、肺の入り口付近の太い気管支にできやすい、扁平上皮ガンです。一方、今回テーマの「肺腺がん」というのは、太い気管支が枝分かれした、肺の奥=末端部分の、細い気管にできるタイプのものです。「腺がん」は乳がんや胃がんでも多いのですが、体の臓器にある分泌腺にできたがんで、比較的小さいうちから転移を起こす傾向があります。この「腺がん」タイプのものが、実は、肺がん全体のおよそ6割を占めています。 

★タバコを吸わなくてもなる肺がん

肺腺がんの特徴は、他の肺がんに比べると、たばこを吸わない人でも起きることです。その原因として一つ指摘されるのが、大気汚染です。車や地域の工場の排気ガスなどもそうですが、最近では大気中に浮遊しているPM2・5。PM2・5は大きさが非常に小さく、マスクでも遮断しにくく肺の奥深くまで入りやすい。また女性にも多いのが、この肺腺がんの特徴で、女性の肺がんの70%を占めています。現在少しずつ解明されているところですが、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が、肺腺がんのリスクを高めるとも言われています。

 ★軽いタバコこそ、リスクが高い!?

こう言うと、喫煙者は関係ないかと思われるかもしれませんが、もちろん喫煙も原因の一つ。特に、最近の研究でわかってきたのは、「重いタバコ」よりも「軽いタバコ」の方が、肺腺がんのリスクが高いことです。軽いタバコとは、煙の中のニコチンやタールの値が、少ないタバコのことです。アメリカの研究チームが先月22日に発表した研究結果では、軽いタバコのフィルターの構造が、リスクを高める原因になっていると指摘されています。

実は軽いタバコとされる「タール1ミリグラム」というタバコでも、葉っぱの中に含まれるタールが、1ミリグラムというわけではないんです。吸い口のフィルターに付いている小さな穴の量で、吸い込む空気の量を調整して、吸い込む空気の量を増やすことで、煙の中に含まれる、ニコチンやタールを薄めているだけ。だからタバコ会社としては、ニコチンやタールが少ない、軽いタバコと主張してきました。そういうタバコのパッケージには「ライト」や「ウルトラライト」などの表示があります。しかし実際は研究で、軽いタバコは、フィルターの穴でタバコの燃え方が変わり、より多くの発がん性物質を、生み出していることがわかりました。さらに、軽いタバコは深く吸うので、煙が肺の奥まで到達してしまいます。だから、軽いタバコは、肺の奥で起きる肺腺がんの原因になっているということです。

★早期発見したいが、自覚症状が無い

こうした軽いタバコを吸っている人はもちろんですが、タバコを吸っていない人もなる可能性のある肺腺がんは、検査で早めに見つけたいところ。というのも肺腺がんの場合、がんが3センチ以下の早期の段階で、自覚症状はありません。肺の入り口付近の太い気管支に問題のある肺がんであれば、咳や血痰などの症状がでます。しかし、肺の末端部分にできる肺腺がんの場合、空せきや血の混じった痰などが表れるのが、だいぶ進行してからなので、そこからでは根治が難しいです。肺腺がんに有効な検査は、レントゲン検査やCT検査で、直径2センチ未満の小さながんも見つけられるようになっています。

★標準治療はブロックごと切り取る

肺腺がんが早めに見つけられれば、手術が検討されます。肺腺がんは、化学療法や放射線療法は効きにくいことが分かっています。せっかく早く見つけたんだから、小さく切り取るだけで済ませたいところなのですが・・・肺がんでは、がんの部分だけでなく、がんのあるブロックを、まるまる取ってしまうのが、標準手術となっています。肺は、右が3つ、左が2つ、合わせて5つのブロック(肺葉)に分けらます。その1ブロックと、周囲のリンパ節なども取り去り、再発の危険性を減らすわけです。がんの状態によっては、1つではなく、2つ3つとることもあり、そうなると、術後の肺の呼吸機能は極めて低下してしまいます。

★広がりつつある縮小手術

しかし、今は、臨床試験中になりますが「縮小手術」という方法も、選択肢に入ってきます。縮小手術は、5つあるブロックをさらに、それぞれ2つから5つの区域に分け、がんがある区域だけを切除し、取り除く場所を小さくしようという手術です。胸を切り開かず体への負担の少ない胸腔鏡手術で行いますが、縮小手術で収まると、術後の肺の呼吸機能などへの影響は軽くて済みます。今この縮小手術は増えてきています。

★一度は両方を検討すべき!

早い段階でガンが見つけられたのであれば、縮小手術を検討するべきです。中には、検討や説明が足りないまま、1ブロックをまるまる切り取ってしまう、標準手術を薦められる可能性があります。再発のリスクや持病などの関係で、標準手術が適切な可能性もありますが、きちんと両方の手術を検討した上で、どちらにするか判断するべきです。ほかの病気でも言えることですが・・・大事なのはセカンドオピニオンです。セカンドオピニオンは、2人と言わず、時間が許せば、3人でも良いです。中には気を遣う方もいらっしゃいますが、今の時代は、セカンドオピニオンをとるのが当たり前で、医者の方も慣れています。セカンドオピニオンに嫌な顔をする医者がいれば、そこでの治療はやめた方が良い。
 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170626080000

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