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利用者が「子ども食堂」の料理を作る、若年性認知症のデイサービス(埼玉県三芳町)▼人権TODAY(7月1日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時15分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…2017年7月1日放送「利用者が子ども食堂の料理を作る、若年性認知性のデイサービス(埼玉県三芳町)」です。

担当:崎山敏也

65歳未満で発症する「若年性認知症」の利用者に特化したデイサービスを崎山記者が取材しました。場所は埼玉県三芳町の社会福祉協議会が運営するデイサービスセンター「けやきの家」です。ここでは、若年性認知症のデイサービスの利用者が週に一回、ここで開かれている「子ども食堂」の料理を作っています。「子ども食堂」は、家庭の事情などで、放課後の居場所がない、十分な食事をとれない子どもに、ここでは、無料で食事を提供している。

「けやきの家」管理者の内城一人さんは、「利用者の方に役割を持ってもらいたいんです」としたうえで、「認知症になると、自分も周りも、あまり役に立たないような人間というイメージを持ってしまう人が多いんですね。そういう状況の中で、ただ単に何かを楽しむという活動だけではなくて、ここですと、子供たちの役に立つ、最終的には社会、地域の役に立つ、そういう場所になればなあと思っています。利用者の皆さんがそういう場所でやりがいを持ってもらえればなあということで、始めたんです」と説明します。

一般的に高齢者のデイサービスは「リクリエーション」、歌や体操、ゲームが中心で、若い人の中には抵抗感を持つ人もいます。楽しい遊びもあってもいいですけど、まだ体力があって、身体が十分動きますし、自分の子供が小さかったりすると、「働かなければ」「家族を自分が守らないと」という気持ちを強く持ってる人も多いんですね。しかし、若年性認知症を発症して、仕事をやめてしまうと家に閉じこもりがちになるので、居場所が必要とされています。そのための「若年性認知症に特化したデイサービス」なんです。

崎山記者が6月23日に「けやきの家」に行くと、お昼過ぎに集合して、メニューを決めて、買い物にいって、料理を開始します。この日は「しゅうまい」を中心としたメニューなので、男性は玉ねぎの皮をむき、女性がそれをみじん切りにするところから始まりました。玉ねぎの皮のむいていた男性は「一週間にいっぺん、ここに来るのが、毎週楽しみです。子どもたちがにこにこして食べる姿をイメージしながらやってます」と話します。また、玉ねぎを包丁でみじん切りにしていた女性は「自宅だとけっこう適当に作ってますけど、ここでは調理できて、ベリーグッドです」と話し、思わず歌も口をついて出ていました。

19477501_1732622537038022_8883357634792377864_o取材した日の利用者は50代~60代前半の男女四人。職員やボランティアと一緒に、この後も玉ねぎとミンチ肉をボール状にして、そこにしゅうまいの皮を巻きつけて、と、料理を続けていました。料理しながらも、しゅうまいの有名な店の話で盛り上がったり、単調な作業の時は、「言葉」のしりとりをしながら、常に笑い声が絶えない調理場でした。

料理が完成したら、自分たちでも食べます。三芳町の「農事組合法人 三芳すこやか部会」から提供された野菜を使ったしゅうまいは、崎山記者も食べましたが、なかなか美味。先ほどの男性は「やはり大勢で作るから楽しいんだよね」と満足そうでした。

提供された野菜は、育ちすぎてしまったり、形が悪いとか、品質には問題ないけど出荷には適さない野菜が週二回来ます。いただいた野菜をうまく使いながらメニューも考えています。利用者も「地域の人たちとつながっている感覚」を実感できるし、農家の方たちも「子ども食堂」や「若年性認知症の利用者」のことを知ることになります。また、「けやきの家」では作業の対価として謝礼を払っていまして、利用者の「仕事をしている」という実感につなげています。

19575150_1732622650371344_4036836536846810928_o食事後にはみんなで卓球を楽しむことが多いのですが、デイサービスの時間の終わりごろに、早めに「子ども食堂」に現われた子供たちと台を囲むこともあるそうです。

もちろん、料理よりほかのことが得意だという利用者もいます。この日の4人の利用者の中には以前は運送会社に勤めていて、10トントラックに乗っていた男性がいます。この男性が「車に関わる仕事をしたい」と内城さんに希望を伝えてきたので、探したところ、すぐ近くの運送会社で、戻ってきた4トンや10トンのトラックを洗う、「洗車」の仕事をする話がまとまっているんです。

週一回行っているそうですが、株式会社「ランドポート」営業部長の水野弘明さんは「自由に洗っていただいます。こっちは車きれいにしていただいているので、助かってます。車見ると目の輝きが違いますからね。ずっと2トンが続くと、ああ、また2トンかという感じですけど、大きいのがあるとわあっという感じになります。そこらへん見てて、うれしいですよね」と話します。自分の得意を生かせて、そして、地域の人に、「若年性認知症」のことを理解してもらういい機会になっています。

若年性認知症に特化したデイサービスはまだどの地域にもあるというような状況ではありませんが、三芳町のデイサービスも一つのやり方として、地域の状況に応じて、さらに工夫したりして、若年性認知症の方の「居場所」が社会の中に広がっていけば、と崎山記者も感じました。