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チバニアン

森本毅郎 スタンバイ!

忙しい朝でもニュースがわかる「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)8時からは、話題のアンテナ「日本全国8時です」。全国ネットで、日替わりゲストとともに放送。毎週木曜日は、東京大学名誉教授、月尾嘉男さんの「賢くなれる雑学コラム」!

月尾嘉男

解説は東大名誉教授の月尾嘉男

7月6日(木)は「チバニアン

★チバニアン

丁度1ヶ月前、茨城大学と国立極地研究所が共同で、ノルウェーにある国際地質科学連合(IUGS)本部に、ある申請を提出しました。内容は房総半島の中央部の千葉県市原市養老渓谷にある特定の地点の地層を地球の磁場が逆転したことを証明する場所として認定してほしいという内容です。これについてはイタリアも同様の申請をしていますので、来年の発表まで、どちらに決定するか分かりませんが、もし日本の申請が認定されれば、地球の歴史の特定の期間を示す年代が「チバニアン」と認定されることになります。そうなれば千葉という名前が一躍国際的な知名度を得るということで期待が集まっています。

★北磁極と南磁極

チバニアンはどのような場所かというと、77万年前に地球の北極と南極の磁極が逆転していたことを証明する地層が残っている場所なのです。

我々は磁石を使うと針が振れて北極と南極を示すと漠然と思っていますが、地図の北緯90度にある北極と南緯90度にある南極と、磁石が示す北極と南極は同じ場所ではないのです。地図の北緯90度の地点は北極点、南緯90度の地点は南極点と言いますが、磁石が示す北極は「北磁極」、南極は「南磁極」と言います。

この北磁極と南磁極は一定の場所にあるのではなく、絶えず移動しています。絶えずといっても地球のことだから何億年という単位で移動していると思われるかもしれませんが、非常に早い速度で移動しているのです。北磁極は西暦1600年頃には北緯75度、西経110度付近にありました。地図の北極点から1660km以上も南です。1900年頃には北緯70度、西経100度付近に移動しており、北極点から2200kmも離れていました。そこから北に向かって移動しはじめ、現在は北緯85度、西経130度の地点に来ています。この120年程度で1660kmも北上したので、平均すれば毎年15kmほど移動していることになります。南磁極も移動していますが、これは逆に南極点から遠ざかっており、1900年から現在まで900kmほど移動していますから、毎年8kmほどの速度です。

★地質年代で大事な「77万年前」

そうすると長い時間の間には北磁極と南磁極が逆になってしまうことがあり、過去2000万年で平均すれば約20万年に1回は北磁極と南磁極が逆転していたということが分かっています。

その最も現在に近い逆転が発生したのが77万年前で、これは京都帝国大学の松山基範教授が1926年に、兵庫県豊岡市にある玄武洞の玄武岩が逆向きに磁化されていることを発見したことから分かりました。その証拠となる地層が千葉県の養老渓谷とイタリアで発見されており、最初に紹介したように名前の争いをしているということです。

地球は46億年の歴史があるとされていますが、その地層やそこに含まれている生物の歴史から115の地質年代に区分されています。その各地質時代の名前は化石などが発掘された場所の地名に基づいて付けられています。

例えば、マイケル・クライトンの小説を映画にした「ジュラシック・パーク」のジュラシックは、1億9960万年前から1億4550万年前までの恐竜の全盛期であった約5400万年の期間を示す名前ですが、その時代を代表する地層がフランスからスイスにかけてのジュラ山脈に存在するために命名されています。

今回の対象となる77万年前から12万6000年前までの期間は現代の人類の祖先が登場する前のネアンデルタール人が生存していた時期で、その時代が「チバニアン」になれば、日本が発見した113番目の元素が「ニホニウム」と命名されたのと同様の快挙になります。

この北磁極と南磁極が逆転することを「ポールシフト」と言いますが、先程ご説明したように、北磁極も南磁極も毎年8km〜15kmも移動していますから、いずれポールシフトは発生します。これは一瞬にして逆転するわけではなく、数千年の時間をかけて逆転するのが普通ですが、77万年前に発生した時は100年くらいで転換したと推定されていますから、今世紀中に発生しないとも限りません。

★ポールシフトで何が起こるのか

問題は、その転換していくときに地球に何が発生するかです。紙の下に磁石を置いて、その紙の上に細かい鉄粉をばらまくと磁力線に沿って鉄粉が縞模様になりますが、地球でも北磁極と南磁極との間に地磁気が形成されます。それは太陽から地球に降り注ぐ電磁波を防いでくれているのですが、ポールシフトの最中には、この能力が低下するので、地表面に強力な電磁波が降り注ぐ可能性があります。

実際、過去120年間で地磁気は10%近く弱くなっています。そうなると携帯電話やGPSが使えなくなることは当然ですが、しっかりと電磁防御をしていないコンピュータも使用できなくなりますから、現代社会を維持している情報システムが作動せず、大混乱になります。また太陽から到達する紫外線を防ぐ能力が弱くなるので、皮膚ガンの可能性が高くなるなど生物の機能にも影響します。

磁極反転の証拠である地層が「チバニアン」として世界に名前が定着することは素晴らしいことですが、これを機に、その反転が人類社会の存続に重大な影響を及ぼすことも覚えておいた方がいいと思います。

 

月尾嘉男の日本全国8時です(リンクは放送後1週間のみ有効ですhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170706080000

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