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波紋を呼ぶニシキゴイの放流!美しい風景の裏側って?

森本毅郎 スタンバイ!

色鮮やかな観賞魚として有名なニシキゴイ。昔から日本各地の河川で魚の放流は行われてきましたが、最近ニシキゴイの放流イベントを巡ってネット上で議論が巻き起こっているようなんです。7月6日(木)は、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の『波紋を呼ぶニシキゴイの放流』について取材報告しました。

★強い影響力を持つコイの放流に注意喚起!

まずは、コイの生態に詳しい、岐阜大学地域科学部の向井貴彦さんに伺いしました。

岐阜大学地域科学部 向井貴彦さん
ニシキゴイの放流がなぜ問題になるかというと、生態系に対する影響が大きいと考えられているからです。小さな川や溜め池などに放流すると水草がなくなったり、小さい生き物が食べられてしまったり、ものすごく影響があるので、むやみに放流するのは良くないと。そして、コイやブラックバスは、“世界の侵略的外来種ワースト100”に含まれています。

他の魚のエサとなる貝や小さな生物を食べてしまう雑食のコイは、生態系などに影響が大きい生物のリスト=世界の侵略的外来種ワースト100に入っています。実は、いま日本にいるコイのほとんどが外来種だそうです。ニシキゴイはコイを人工的に品種改良して生まれた観賞魚。そもそも自然環境には存在していないため、遺伝子交雑の問題や病気の蔓延の危険性もあります。

今回の騒動は、山梨県で行われたニシキゴイの放流イベントについて、環境に及ぼす影響を指摘したあるブログがキッカケでネット上にて大きな話題になりました。

★環境教育として行うのは危険?放流するさまざまな理由

いま、日本全国で行われているニシキゴイの放流イベントは、河川への親しみを持ってもらったり、河川の水質浄化などを意図して行われていますが、実際のところはどうなのか?再び、向井さんのお話です。

岐阜大学地域科学部 向井貴彦さん
恐縮ですが、時代の変化についていけてないんじゃないかと。昔はコイを身近なところに飼って残飯処理としてや、せめて川でコイぐらいは泳げるようになってほしいという気持ちで放流していました。今もそういった時代の感覚でコイを放流しているのかもしれませんが、今はもうそういう時代ではないんです。ただ単に景観的に人工的なものを放してしまっているというのも問題ですし、それで環境教育というのもなにか、ズレている気がします。

コイは雑食で、さまざまなものを捕食し、水質を良くするイメージはしやすいですが、実際は水底のエサを泥と一緒に吸い込むようにして巻き上げるため、水が濁ります。そして、濁った水によって水草が光合成できずに死んでしまうという問題も指摘されています。

一方で、イベントを行う側の意見として、ニシキゴイの放流で河川への注目が集まり、環境改善への動きが起きたり、ニシキゴイで景観が良くなるなど良い面もあることから実際にゴミを捨てたりする人は減ったとの声もあります。

しかし、ニシキゴイ放流の裏で起きてしまうかもしれない問題について、企画した自治体や放流に参加した子供たちが認識しているのかというのはまた別問題で、環境教育の一環として行うのは如何なものかと向井さんはお話されていました。

優雅な見た目ですし、放流イベントは注目されやすいのかもしれません。

優雅な見た目ですし、放流イベントは注目されやすいのかもしれません。

★放流するという”行為”と”鯉”は別問題!

それから今回の件ではもう1つ、問題が起きています。それは、ニシキゴイの問題を指摘する声が多いので、ニシキゴイは悪いものだ!とかニシキゴイ以外の観賞魚や外来種についても危険視する声が出ているようです。この件について、観賞魚の情報誌 月刊アクアライフの山口正吾さんのお話です。

月刊アクアライフ編集長 山口正吾さん
私としてはアクアリストと言って、水槽で魚の飼育を楽しむ立場としてお話しますが、まずは品種改良された魚を外に放すのは良くないと。放流禁止はすごく賛成ですが、魚が悪者だという話になってしまうのはすごく困ります。私たちは水槽で魚を飼うのを楽しみにしている人間ですので、本当は悪かったのは放した人間であって、魚自体が悪いかというとそうではないんです。この問題を併せて考えてしまう傾向があるので、私はそこは魚は魚、放流禁止は放流禁止で分けてもらいたいと思っております。

山口さんは、観賞魚や水生性物を水槽で飼育する者として、放流の是非と魚については分けて考えるべきと警鐘を鳴らしています。ニシキゴイは、昔から長年の年月をかけて努力によって作られてきた日本の伝統ですので、今回の件だけを見て悪く言うのは違うと。悪いのはむしろ人間の方だと訴えていました。

★放流することでの危険性の理解が必要

さて、今回の件でさまざまな議論が起きたニシキゴイの放流ですが、今後こういった放流を規制できないのか?再び向井さんに伺いしました。

岐阜大学地域科学部准教授 向井貴彦さん
いま、放流に使われているのは外来種なんですが、昔から放流していたものを急に禁止するっていうのはなかなか納得してもらえないというのが問題になっています。実際に、愛知県の条例で外来種の放流を禁止するということにした時に、コイも入れようという話になりましたが、愛知県庁はなかなか納得せず、放流禁止にはできませんでした。愛知県は未だにコイを放流したいという人もいる一方で、駆除して自然の川に戻す人たちもいます。むやみに放流するのは病気も流行りましたし、実際に良くないんです。

昔の古来のコイと今の外来種のコイの違いがわからないので、禁止がなかなか難しいんですね。そんな中で、一方で放流して、一方で駆除するというややこしいことにもなっています。河川の水質も良くなり、時代が変わったことでニシキゴイの放流イベントは考え直す必要があるかもしれません。

中矢邦子

中矢邦子が「現場にアタック」でリポートしました!