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アニメーターの低賃金問題に立ち向かう「アニメーター寮」▼人権TODAY(7月8日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・『アニメーターの低賃金問題に立ち向かう「アニメーター寮」』

若手アニメーターの平均収入は「月9万円」

昨年あたりからニュースで度々取り上げられている「アニメーターの低賃金問題」。実際にどれくらい安い給料で働いているのか。20代の男性アニメーターに話を聞いてきました。

20代 アニメーターの男性
月3万円位ですね。7時に出社して、夜11時に会社を出るっていう形になっています。時給換算すると100円切るか切らないかぐらいにはなります。食費とかの所で仕送り頼りにはなってます。下請けという所で安い単価でやっているというのもあります。でも下請けの会社なんで、そこの会社で言ったところでどうしようもない。業界全体が変わらないと、どうしようもない所はあると思います。

アニメの制作会社は、固定給ではなく出来高制のところが多いです。アニメを作るには、アニメーターの方が何百枚という絵を書くことで完成するのですが、1枚当たりの単価が200円~400円位。それを月収に換算すると、20代位の若手アニメータの場合は平均9万円。今回話を聞いた男性は月3万ということですから平均と比べても低く、中には研修中で月9,000円という方もいました。
なぜこんなにも低賃金なのか。それは、アニメ業界の仕組みの問題が大きいです。アニメの製作費は、テレビ局や広告代理店などによる「制作委員会」が共同出資することで捻出されていますが、アニメの制作会社に降りてくる額が安いため、アニメーターの賃金を十分に払うことができません。また、たとえアニメがヒットしてもその利益が制作会社には還元されない仕組みにもなっています。さらに、それが下請け会社になってくるとより賃金が安くなってしまい、今回の男性の場合、下請けの下請けの下請けで働いているということでしたから、月3万という額になってしまうようです。そんな低賃金にあえぐアニメーターを支援している組織があります。

月3万円で水道・光熱費込み!「新人アニメーター寮」

NPO法人アニメーター支援機構代表理事・菅原潤さん
入社してから3年目までの新人アニメーターに、住居支援をするという形です。今、寮が全部で3か所あって、阿佐ヶ谷に2か所、荻窪に1か所あります。家賃は水道・光熱費とネット代込みで月3万円です。運営資金を集める方法としてクラウドファンディングを主に利用して集めています。現状でもう300万に達してるので、女子寮を来年度はもう1つ作れるかなという感じです。
アニメーター寮の1室

アニメーター寮の一室

この「新人アニメーター寮」は2014年から始まって、現在は女性3名、男性5名、計8名が3か所に分かれて住んでいます。寮は、まるでトキワ荘を思わせるような昔ながらの民家です。そこに、水道光熱費ネット代込みで月3万円で住めるということですが、この安さがなぜ実現できるのかというと、寮の運営資金をアニメファンの方を中心にネットを通じた「クラウドファンディング」で集めているからです。今年からは、オートロックがかかるなどセキュリティも万全な「女子寮」が稼働。来年はさらにもう1つ女子寮が作れそうだということです。そこで生活している女性アニメーターに、寮生活のメリットを聞いてきました。

同業者が集まる「食事会」で情報交換

20代 アニメーターの男性
東京で一人暮らしとかすると、家と会社の往復だけになっちゃう人が多いと思うんですけど、こういう場所があると、本当にいろんな会社の、同じ同期のアニメーターだけじゃなくて、たまに監督とかプロデューサーの方とか制作進行の方とかも遊びに来られたりするので、いろんな会社のいろんな情報が入ってくるのでそれは嬉しい、有難いです。
食事会では、寮生お手製の料理を囲んで語り合います。

食事会では、寮生お手製の料理を囲んで語り合います。

アニメーター寮では月1回の「食事会」が開かれていて、そこで情報交換をし、自分の労働環境が他と比べてどれ位なのか、知ることもできるということです。ちなみにクラウドファンディングの出資者も、一定の金額以上支援すると参加することが出来ます。今期の募集はつい先日締切になったのですが、多くの支援が集まり、無事、目標額300万円を達成しました。このアニメーター寮の取り組みは、若手アニメーターへの支援策としてうまく機能しているように思いますが、アニメーター支援機構代表理事・菅原さんは、この住居支援はあくまでも第一段階と考えていて、今後さらなる支援を考えています。

アニメ業界の製作費のシステムを変えたい!

NPO法人アニメーター支援機構代表理事・菅原潤さん
次の段階として、もっとシステム自体を変えていこうというのに着手しようと思ってます。クラウドファンディングのノウハウがかなり蓄積されてきたので、この手法を使って短編のアニメーションを作るということをやっていきたいと思ってます。そうすると、極端に安い製作費で作り出すという必要が無くなるので、この仕事に関わる人が十分に報われる製作費が得られる状態で制作に入るということができると。

クラウドファンディングで製作費を十分に確保した状態でムービーを作り始め、それをネットなどで販売し、その利益がきちんと作った人に還元される。この新たな仕組みをロールモデルとして呈示していきたいということで、来年度からクラウドファンディングの募集を始める予定だそうです。この取り組みをきっかけに、アニメ業界全体が改善に向かっていくことを期待します。

(担当:中村友美)