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早期発見難しい『舌ガン』切除せず残す新治療も

森本毅郎 スタンバイ!

大体のがんの発症年齢のピークは60代です。一方舌ガンは、20代や30代の若年層にもみられ、ピークが50代のがんです。他のがんの入り口にもなる可能性が高く、基本的には舌をある程度切除する必要がある、怖いがんです。どんな病気なのか?舌を残す治療は?7月10日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

 

★舌がんは怖いが、早期発見で治癒できる。

舌がんを含む、口の中の口腔がんが、近年増え続けていると言われます。毎年7千人が、口の中の口腔がんになっていて、そのうち3千人が亡くなっています。その口腔がんの半分以上を占めているのが、舌がんです。そんな舌ガンで怖いのが、舌が身体の入り口にありますが、その近くに、がんができやすい。口の中の他のがんや、咽頭がん、喉頭がん、食道がんなどと、重複している可能性が「30%」と高いです。舌がんの半分近くが亡くなっていて、近くのがんにもなりやすい怖いがんですが、舌ガン自体は、早い段階で見つければ、5年生存率は、およそ9割と治りやすいがんです。

★特徴は、自覚がない・・・

しかし舌ガンは、内臓などと違い直接見える場所にあるがんにも関わらず、気づきにくい。胃がんの場合、早期発見の比率は、70%ほどですが、舌ガンでは、23%ほどです。舌ガンは、初期の段階では、痛みなどの自覚症状がほとんどありません。そして、たとえ異変に気づいても、がんとは思わず、口内炎だろと思う人がほとんどです。口内炎は、傷やストレスから起きる口の中にできる炎症ですが、その大きさが、1センチ以下の数ミリでも痛みを感じます。しかし、舌ガンで痛みを感じるのは、がんの範囲がそれ以上広がって、かなり進行してからになります。

★自覚するためには?

白板症といって、舌の一部が白くなっていたりすると、疑った方がよい、前がん状態です。そこに赤が、混ざってくると半分はすでにガンです。このほか、押すと硬いしこりがあったり、出血や潰瘍などの症状も疑いましょう。これらのサインがあっても、口内炎と済ます人が多いのですが、口内炎だと思っているものが、2週間以上治らない場合は、すぐに病院に行きましょう。

★原因は、酒・たばこ・口内環境

あとは思い当たる、原因を知ることです。舌ガンの原因となるのは、たばこ、お酒などの刺激です。普段はたばこを吸わないのに、お酒を飲むときだけ吸う、なんて人もいますがこれも注意。飲酒時の喫煙は、タバコに含まれている発がん性物質がアルコールによって溶け、舌の粘膜に作用するので、余計にリスクが高くなると言われます。

ただ、たばこやお酒だけが必ずしも大きな原因でありません。舌がんができる場所で多いのは、舌の側面です。舌の先端や表面にはまずできませんが、舌の側面に刺激を与えるものと言えば、歯です。舌に触れる歯がとがっていたり、欠けている。また、部分入れ歯や歯のかぶせ物が、舌に、常に当たって刺激するのも原因になります。舌がこすれ、傷付く刺激を受けると、舌は細胞を修復しようとします。慢性的な刺激で、細胞分裂を急ぐあまり、途中で異常な遺伝子となり、がんになります。

★基本は手術で切除

一たび、舌がんとなれば、たとえ早期でも手術、舌をある程度切除するのが基本となります。これは世界的にも基本の治療方針で、その範囲が大きければ会話や食事にも影響がでます。がんの範囲が、1センチ程度でリンパ節への転移がない早期でなら、部分切除となります。舌の横幅は、大体4センチほどです。がんが深さ1センチの場所にできると、そのがんの周辺を1センチくらい多く切除します。人によっては3分の1で済む人もいますが、半分くらい切ることになります。そんなに舌を切って大丈夫かと思うかもしれませんが、胸やお腹の肉を移植するなどして、日が経つにすれ、舌のサイズは少しずつ戻ってきます。そして、話す機能は90%、食べる機能は100%回復します。

★放射線治療という選択肢も

早期でも手術を希望しない場合や、がんが1センチから4センチ程度になってくると、放射線治療となります。体の外から当てる方法や、舌の中に放射線が出る針を入れる、あるいは、粒子を舌の中に埋め込んで放射線を出す方法で、確率は8割から9割です。4センチ以上、進行している場合、他の部分にも広がっている可能性があるので、舌の半分以上、ときにはすべて切除する必要が出てきます。ただ、ここからは、いかに元の機能を温存するかを考え、手術、放射線治療、抗がん剤治療、すべてを使った治療をしていきます。

★舌を残す「陽子線治療」

ただそうした人の希望になる治療も出て来ています。抗がん剤や放射線治療を5週間程した上で行う治療で、「陽子線治療」というものです。化学の授業を思い出して欲しいですが水素原子から電子をとると原子核の陽子が残ります。その陽子を光の速さの70%まで加速し、がんの病巣に衝突させることで、ガン細胞を、たたきやっつけるという治療法です。舌ガン部分とリンパ節部分を、極力ピンポイントで当てるのを15回、3週間行います。この間抗がん剤も使い続け、大掛かりな治療とはなりますが、最高94歳の患者さんがこの治療を受け、舌を失わずに、舌ガンが治ったという例も。現在これを行っているのは、「南東北がん陽子線治療センター」のみですが、選択肢が広がっている、ということをぜひ知ってほしいです。

★1月に1回チェックしましょう!

何より大事なのは、予防と早期発見で、早期であれば1時間ほどの手術で、治ります。まず予防は、とにかく口の中の環境を整える、キレイにしておくことです。早期発見のためには、1か月に1回は舌を鏡で見てチェックしましょう。そして、下の側面をしっかり触ってみて、シコリのチェックをしましょう。そして何か異変があれば、積極的に耳鼻咽喉科や口腔外科で診察を受けてください。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

森本毅郎・スタンバイ! | TBSラジオ | 2017/07/07/金 06:30-08:30 http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170707075948

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170710080000

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