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日光の天然氷でつくったかき氷に感激!

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
7月15日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、栃木県日光市で100年以上、天然氷をつくっている「氷屋徳次郎」の四代目徳次郎こと、山本雄一郎さんをお迎えしました。

山本雄一郎さん

山本さんは1950年、日光生まれ。ただし四代目徳次郎といっても、実は初代から三代目までとは血縁関係はありません。元々は24歳の時に日光・霧降高原にレジャー施設「チロリン村」を開業し、運営してきました。

スタジオ風景

12年前、チロリン村で使っていた天然氷の業者が廃業するという話を聞きます。それが氷屋徳次郎でした。徳次郎は1912年(大正元年)から三代にわたって天然氷をつくり続けてきましたが、後継者がなかった三代目徳次郎こと、吉新良治(よしあら・りょうじ)さんは高齢を理由にその冬を最後にやめることを決めていました。

天然氷をつくっているところは全国でわずか5軒、そのうち3軒が日光でした。山本さんは地元で育ちながら、そのことを知りませんでした。日光では、氷といえば天然氷が当たり前(だから昔はわざわざ「天然」とはつけなかったそうです)。ほかの地域でも天然氷がつくられていると思っていたのです。日光の貴重な伝統文化をなくしてはいけない…。山本さんは2005年12月、氷池(氷をつくるための人工の池)を訪ね、なんとか続けてもらえないかと頼みましたが、三代目の意思は変わりません。「ならば自分に後を継がせてほしい」 いく日もいく日も通い続けたある日、ようやく三代目が口を開きました。「本当にやるのか? だったら指導はするけど、一切手伝わない。それでもいいなら明日からやってみるか?」。山本さんはひと冬の修業の経て2006年、55歳の時に、四代目徳次郎として後を引き継ぎました。

天然氷

毎年11月上旬でチロリン村の営業を終了すると、そのあと翌年2月までが天然氷づくりの作業。冬の昼間、日光が当たらない山の斜面にヨコ13m、タテ30m、深さ0.5mの氷池が2面、ここに沢の水を引き込んであります。硬くて溶けにくい氷ができるには、水、土、気温、風といった自然の条件と、その変化を見極める人間の知恵が不可欠です。

氷の硬さは、池の水が凍っていく時の速度が関係してきます。水はじっくり凍ったほうが硬い氷になるのです。というのは、水が凍る時には不純物(空気、ミネラル、塩素など)を排除しながら結晶をつくっていこうするのですが、凍るスピードがある程度ゆっくりなほうが不純物は押し出されやすいのです。不純物が少ないと硬い氷になります。

一方、凍り方が急速だと不純物が押し出されるヒマがなく、結晶と結晶の間に残ってしまいます。そうなると池の氷は小さな結晶の集まりとなって、あまりよくありません。この状態を「花氷」といいます。

天然氷

凍り方が遅ければ遅いほうがいいのかというとそういうわけでもなく、あまりゆっくりすぎると今度は「うろこ氷」と呼ばれるやわらかい氷になってしまうのです。「硬い氷をつくれ」というのが初代徳次郎の教え。花氷やうろこ氷の場合は池に張った氷を壊して、良い氷ができるまでやり直します。山本さんは三代目から、大晦日までは何度でもやり直せと教わり、ひと冬で5回もやり直したことがあるそうです。

かき氷をつくり中
かき氷をつくり中
かき氷

この日は山本さんがわざわざ日光の天然氷をスタジオに持ってきて、特製のかき氷をふるまってくれました。人工の氷とは違った独特の食感で、口の中に入れたとたんに舌の上でふわっとなくなります。久米さんも堀井さんも、今まで味わったことのない口どけにびっくりしたり、感動したり。でも、器の中の氷はいつまでたっても溶けないんです。ちなみに、作ってくださったのは山本さんの娘婿、星野さん。

氷池

池の氷は厚さが15センチになると電動カッターでヨコ45センチ、タテ75センチの板に切り分けます。2面の池からひと冬2回、合計160トンの氷を採取できます。その氷の板は氷室(ひむろ)に運び入れ、大量のおがくずを上からかけて保管します。そうするとおがくずが氷から溶けだした水分を吸収し、氷の表面は常に乾燥した状態になるので、常温であっても氷が溶けにくくなるのです。先人の知恵ですね。

久米宏さん

このおがくずは、昔から特産の日光杉を製材した時に出たものを再利用しています。氷室の中には今も50年前のおがくずも混ざっているそうです。日光の天然氷づくりは、地域の環境や産業と実は深く結びついているのです。ほかにも、池の氷を切り出して氷室に運び入れるために毎年、竹でレールをつくっているのですが、こうすることで山の竹林を整備することにもなるのです。そして氷の切り出しの時には地域の人たちが集まってくれます。こうしてみると、天然氷づくりは日光の伝統であり、地域の文化だということが分かりますね。

山本雄一郎さんのご感想

山本雄一郎さん

楽しかったですし、久米さんが勉強熱心だということが話していてよく分かりました。氷のことをよく調べていましたね。

お陰様でこれまでいろいろ取材を受けましたけど、その中でも話し方、楽しさ、話の深さ、トップクラスかなあ。ラジオで話しているということを忘れて、3人で楽しく話している延長のようでした。野球に例えると、まるでバットを振ったところにボールが飛んできたように、マイクを意識せずスムーズに話ができました。ありがとうございました。