お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ
  • 音声あり

「PC遠隔操作事件」を大事件にしてしまった警察とメディアの問題

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
7月22日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、ビデオジャーナリストの神保哲生さんをお迎えしました。

神保哲生さん

神保さんは1961年、東京都生まれ。中学を卒業すると渡米。ハイスクールからアメリカで過ごし、コロンビア大学の大学院でジャーナリズム論を専攻しました。AP通信などアメリカの活字メディアの記者を経て、1994年、フリーに。ペンをビデオカメラに持ち替え、現場の取材、撮影そして編集まで、一人で行うビデオジャーナリストとして活動を始め、日本の報道番組に関わるようになります。久米さんの『ニュースステーション』にも出演していました。ただ、自分が考えるジャーナリズムをやろうとすると何かと制約のあるテレビでは満足したものが出せないと感じ、1999年、日本初のニュース専門インターネット放送局「ビデオニュース・ドットコム」を開局。自前のメディアを持つことで、スポンサーや視聴率におもねらない独自の立場から情報を発信しています。

PC遠隔操作事件

神保さんは今年(2017年)5月、『PC遠隔操作事件』という本を出版しました。2012年に起きた「パソコン遠隔操作事件」の発生から最後まで克明に追った550ページにおよぶルポルタージュです。なぜ今、この事件に注目したのでしょうか。

久米宏さん

この事件は、日本航空機の爆破や小学校の襲撃、人気アイドルグループの襲撃など、2ヵ月の間に14件にのぼる殺害・爆破予告がメールで送信されたり、掲示板サイトに書き込まれたもので、当時、世間を大いに騒がせました。でも、はたして本当に大騒ぎするような事件だったのか? というのが神保さんの問題提起です。

神保哲生さん

一連の犯行予告は、一人の男が4人の一般市民のパソコンを乗っ取り、遠隔操作して書き込んだものでした。ところが警察は、パソコンのIPアドレスや閲覧履歴などの状況証拠だけを根拠に、無実の4人を誤認逮捕したのです。しかもそのうち2人は、過酷な取り調べに耐え切れず、やってもいない犯行を自白してしまったのです。とんでもない冤罪事件です。

警察は誤認逮捕してしまった手前、とても高度な技術を持った知能犯の犯行だというイメージを作らざるを得なくなったと、神保さんは指摘します。しかし実際には、この犯人が使ったパソコン乗っ取りの技術はそれほど高度なものではありませんでした。それでも警察は自らの失態を見せないような犯人像を作り、メディアは事件をミステリーのように煽って報道する。世間は過剰に反応し、それを見た犯人は犯行をエスカレートさせる。当初はネット上によくある実に他愛のない愉快犯事件だったものを“前代未聞の大事件”にしてしまったのは犯人と警察とメディアの合作だと、神保さんは言います。

神保哲生さん

世間を大いに混乱させたPC遠隔操作事件は、犯人自ら墓穴を掘るかたちであっけない幕切れを迎えたために、多くの人々の記憶からあっという間に消えていき、誤認逮捕、自白の強要、警察とあまりに近すぎるメディアの問題といったさまざまな課題まで、忘れさせてしまいました。でも、いわゆる「共謀罪」が整理した今、あらためてPC遠隔操作事件で浮き彫りになった問題を考える必要がありそうです。

神保哲生さんのご感想

神保哲生さん

久米さんとは「ニュースステーション」以来、20年ぶりの再会でした。今日も台本にはない鋭いツッコミで、まったく変わられていませんでした。また呼んでください。

2017年7月22日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:神保哲生さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170722140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)