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手術数が増えているまぶたの病気「眼瞼下垂(がんけんかすい)」

森本毅郎 スタンバイ!

まぶたが下に垂れさがってくる『眼瞼下垂』という病気。今その病気の保険適用手術を受ける人が増えています。症状が似ている他の病気との判別も大事になります。眼瞼下垂、その手術について。7月24日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

 

★眼瞼下垂とは?

眼瞼下垂は、上まぶたを開けようとしても開かない状態を総称しての病名です。「眼瞼下垂」、「眼瞼」というのはまぶたのことで、下垂は漢字で下に垂れると書きます。この病気の特徴としては、生まれつきの人と、後天性、大人になってからの人がいます。上まぶたが下に下がることは、両側の上まぶたに起きる場合と、片側だけの場合があります。片側に起きたときは気づきやすいのですが、両側のまぶたに起きた場合は、両側とも同じように変化していくため、自覚しづらいということがあります。症状としては、視野が狭くなったり、よく見えない、運転がし辛い、ということが起きます。一方で、「眉毛の位置が上がった」「おでこにしわが寄るようになった」と感じる人も。これは、無意識に、おでこの筋肉を使って、まぶたを上に引き上げているためです。

★どうしてまぶたが下がってくる?

上まぶたは、主に筋肉の収縮で、開いたり、閉じたりしています。その筋肉が、上まぶたと結びつく部分は、膜状の腱で繋がっています。最も多い原因は、この腱膜が薄くなって、伸びてしまうことです。腱膜が薄くなったり、はずれている場合もあるのですが、そうなるとまぶたを持ち上げる、力が働かず、まぶたは垂れ下がってしまいます。極めて重症のケースでは、上まぶたが開かないケースもあります。

★腱膜がなぜ薄くなる?

加齢が一番多いですが、長年、ハードコンタクトレンズを使っている人に起きやすいです。レンズで、上まぶたの内側から力が加わり、腱膜に負担がかかるためです。また目をよくこする癖がある人も、上瞼の外側から力が加わって、腱膜に負担をかけます。

★手術する人が増えている

最近では、年間10万件以上の手術が行われています。年齢的には男性は70代、女性は60代が最も多いのですが、手術を受ける患者さんは、20代から50代と広がっています。手術を受ける基準は、視野が半分以上欠けているかどうかになります。さらに詳しく言うと、黒目のまん中にある瞳孔に、上まぶたがどれだけかかっているかで判断します。

★軽症の場合は、手術いらず!

上まぶたが瞳孔に少しかかり、視野の上の方が少し欠け始めている軽症の場合は、目をパッチリさせ、視界を改善するために、まぶたに貼るテープや専用の接着剤を使います。    そのテープなどは、パッチリ二重まぶたにするときに使われる一般的なもので、ドラッグスストアなどで買うことができます。あとは、「クラッチ眼鏡」という、眼鏡のフレームにばねを取り付けて、上まぶたをあげるものもあり、眼鏡店で買うことができます。

★腱膜を縫い縮める手術

そして、視野が半分以上欠けていて、手術が必要な場合についてご説明します。標準的な手術は、上まぶたを切り開き、はずれたり伸びたりしている腱膜を筋肉の収縮が伝わる位置で、縫い縮める方法です。まぶたの表から切り開く場合もありますし、裏から切り開く場合もあります。局所麻酔で行い、1泊もしくは2泊の入院で済む手術です。

★筋肉を吊り上げる手術

あとは、生まれつきの場合が多いのですが、まぶたの筋肉の力が弱かったり、動きが悪いタイプの眼瞼下垂では、おでこの筋肉を利用して、吊り上げる手術をします。どんなものかというと、患者さんの足の太ももの筋膜を少しだけとり、これをまぶたの方に移植します。眉毛の上とまつ毛の上の2箇所を切り開き、移植した筋膜とおでこの筋肉をつなぎます。ただ、おでこの筋肉でまぶたを持ち上げる形のため、まぶたを開く時には、眉毛を上げる必要があります。移植した筋膜で吊り上げるこの手術は、さきほどの標準的な手術で効果が無かった人や、80歳を超え、筋肉の力が弱くなっている、そして生まれつきの人に対して行われます。こちらも、局所麻酔で行い、1泊もしくは2泊の入院で済む手術です。

★似た症状だけど、手術してはいけない場合も!

ただ、まぶたに異常があるからといって、こうした手術をすればいいわけではありません。腱膜や筋肉が原因ではないのに、眼瞼下垂と似たような症状が起きている場合もあります。その場合、手術をしても、効果が得られないばかりか、逆に悪化するので、注意が必要です。似ているものは、もともと内科的な病気です。そのひとつが『重症筋無力症』という病気で、これは神経と筋肉のつなぎ目に、障害が生じるものです。朝は大丈夫でも、夕方になると筋肉が疲れてきて、まぶたが垂れ下がってきます。重症筋無力症の場合は、神経内科でステロイド薬などを使った治療が行われます。

★まぶたの「けいれん」も違うもの!

このほかには、まぶたが痙攣する「眼瞼けいれん」も間違われやすい症状です。光がまぶしく感じられ、思わず目を閉じてしまうまぶたの病気です。これは顔面神経麻痺と大きく関係していています。顔面神経は頭の骨の中を通っていて、耳の病気が原因となって起きるものです。違いとしては、眼瞼下垂では、まぶたを持ち上げようと、眉毛の位置が上がりますが、眼瞼けいれんでは、目をしかめるように眉毛が下がります。まぶたの異常で、似たような症状だけど、原因が違う病気もあるので、脳神経外科、神経内科などでしっかりそのチェックを受けることが大事です。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170724080000

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