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ただの汗かきではない!『多汗症』その特徴と治療は?

森本毅郎 スタンバイ!

外は暑さで、汗が止まらない時期・・・汗をかくとなると、汗っかき、と片付けられてしまいますが、病気の場合もあるんです。それでも、汗をかくだけだから大したことない、と思われがちですが、仕事にならなくなってしまうことも。悩んでいる人も多い病気、多汗症について。7月31日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★日常生活にきたす支障

この病気で悩む人は、人口の3%から4%と推定されています。特に、わきの下や、手のひら、足の裏、顔の周りなどで、異常に汗をかく病気です。このうち、日常生活をする上で、いろいろと支障をきたすのが、手のひらの多汗症です。握手ができない、ノートや資料が汗で濡れて破れてしまう・・・仕事で制限が出ます。音楽家であれば、楽器をもつ手が汗で滑ってうまく演奏できない。美容師であれば、ハサミが滑ってうまく使えない、という悩みも出てきます。また、成長期に、治療を受けることなく悩みながら過ごし、中には、いじめの原因となり、不登校や引きこもりになるケースもあります。たかが汗ではないのです。多汗症は、本人にとっては非常に辛いことです。

★多汗症の基準は!?

症状の重さは、3段階に分かれます。まず軽度は、手は汗で湿っているものの、光の反射を利用してよく見ないと、汗ばみが分からない程度です。次に、中等度になると、手のひらの汗ばみがはっきり見える状態です。この段階になると、水滴までも見えますが、水滴がしたたり落ちる程ではありません。そして重症になると、手のひらに汗の水滴ができ、汗がしたたり落ちる状態です。一度、手を握って、開くと水滴がしたたり落ちます。

★多汗症、その原因は・・・

暑さに関係なく1年中、そうした状況の人もいますし、夏場に多くなる人もいます。症状は、人それぞれですが、原因も人それぞれです。ふつう、リラックスしているときや、眠っている時には、副交感神経が優位になります。でも多汗症の人は、体の状態や季節を問わず、交感神経の反応が強く過敏になっています。なぜ交感神経の反応が強くなるのかは、人それぞれで、精神的なストレス性のもの、遺伝性のもの、ホルモンバランスの乱れなど様々です。

★治療は悩みの大きさで変わる。

症状の3つの客観的な分け方もありますが、実際に治療をするかどうかは、たとえ重症であっても、あくまでも本人の悩みの原因・大きさによって、変わってきます。治療は、大きく2つ、症状を一時的に抑えるものと、根本的に治すものに、分けられます。

★一時的に抑える治療

症状を一時的に抑えるものとして、一つは、3~4時間、効果が持続する、薬があります。多汗症の人は、交感神経の反応が強く過敏になっています。薬でその交感神経の末端から放出される「アセチルコリン」という神経伝達物質の放出を妨げて、汗の量を減らす方法があります。ただし、喉の渇きや目のかすみなどの副作用がでることや、その効果には個人差があります。また一時的に、汗の出口を塞ぐのも、1つの手です。市販の制汗剤で、アルミニウムが配合された塗り薬があります。寝る前に、手のひらや足の裏に塗り、起きたら丁寧に洗い流す、というのが基本的な使い方です。それで、汗の穴にアルミニウムが詰め、汗を分泌する汗腺に障害を与えることができます。ただし、こちらは、人によってはかゆみやかぶれなどが引き起こされることもあります。

★根本的に治す手術も

重症で悩みが大きい人には、交感神経を切除する手術があります。手術自体は、わきの下の皮膚に小さな傷をつける胸腔鏡手術で、10分程度で済みます。傷口から、カメラのついた細い管を入れて、モニター画面をみながら、背骨の近くにある交感神経の束をみつけて、切断します。そうすることで、手のひらの汗は確実に少なくなりますし、多くの場合は、わきの下や、首、顔まわりの、汗も少なくなります。

★副作用を踏まえ慎重に検討を

いくつか副作用はあって・・・まず汗は体温を下げる、という効果を持っています。だから、手術後に汗が少なくなり、首や顔が暑く感じられるという人が、かなりいます。ずーっと汗が出る悩みとどちらが本人にとって辛いかを、慎重に検討する必要があります。また、手術後に、手や首、顔から汗が出なくなった分、胸や胴や大腿部の汗が多くなったという人がいます。これは「代償性発汗」と呼ばれるもので、その程度は個人差が大きく、代償性発汗が出るかどうかを、手術前に予測することはできません。ただ、気温が高い時や運動をしている時に、代償性発汗が多くなるだけですので、小まめな着替えなど、いろいろと工夫をすることで対応できるという面はあります。手術を受けるときは、主治医とよく話し合い、納得してから受けるのが良いでしょう。

★汗をかく他の病気

そもそも多汗症は、汗を多くかくこと以外は、いたって健康な症状です。ですが、汗をかく症状が、他の病気の、見過ごせない兆候ということもあります。「バセドー病」」や「糖尿病」、「結核」、「白血病」・「褐色細胞腫」・「末端肥大症」など、汗が出る病気があります。代謝の異常や内分泌の異常、循環器や中枢神経の病気など、幅広くあります。ただこうした深刻な病気は、傾向として、全身にわたって、汗が異常に出ます。多汗症の人は、手や足など、一部分に症状が出ることが多いので見分ける際の参考にしてください。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170731080000

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