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病院選びのポイントは?

森本毅郎 スタンバイ!

お盆休みで、故郷へ帰った人がたくさんいると思います。そこで高齢の親に会うと、いざ病気になったときのことが心配になります。万が一行くべき病院をどう選べばよいのか、いい病院はどこなのか?その選び方について。8月14日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★まずは「手術件数」に注目

まずは基本的なことですが、参考にしてほしいのは、病気別の「手術件数」。新聞・雑誌でもよく「手術件数」を基にした、病院ランキングが載っています。日進月歩の医療技術で、本当に病院によって治療方法に違いが出ています。そうした中でも、手術の症例数が多い病院は、他の病院からも患者さんが送り込まれます。地域の医師から信頼されている証拠で、そこには、ノウハウが蓄積されています。

★胃がん、前立腺がんなどは「ロボット手術」に注目

そして主要な病気では、それぞれ「先進医療」が行われているかどうかもポイントです。

胃がんで先進医療というと、ロボット手術=ダヴィンチの導入をしているかどうかです。ロボット手術は、医師が遠隔操作をしてロボットのアームを動かして行います。アームの先端の内視鏡は、患部を10~15倍に拡大した3D画像を映し出し、人間の手にあたる細長い医療機器は、360度動いて手ぶれもありません。

既に、胃がんでは、ロボット手術が先進医療は7月1日に終了し、遅くても来年春までには保険適用となる見込みです。いい病院の選び方のポイントは「保険適用になる前から先進医療として取り組んでいたかどうか」。そういう病院は、保険適用となると、指導的立場の病院となります。

同じロボットという点では、「前立腺がん」もそうです。臓器に癒着がある場合の開腹手術や、高齢で手術が厳しい場合の放射線治療を除き、いまや前立腺がんの手術の、およそ8割が、ロボットで行われています。出血量も極めて少なく、開腹手術では800ミリリットルだったのが、ロボット手術だと、例えばNTT東日本関東病院の場合、平均27ミリリットル。出血量は20倍以下に抑えられます。また、手術の前日入院で、手術時間は、1時間30分、1週間後には退院できます。

日本全国でおよそ240台のロボットが入っていて、大学病院でみると、ロボットの入っていないところは、ほとんどない状況です。ちなみに、ネットで「先進医療・医療機関」で調べると、厚生労働省のホームページが出てきますので、そこでロボット手術などの先進医療を導入する病院が調べられます。ロボット手術ができない病院は、既に患者さんから選ばれない時代だと思います。

 

★がんは「免疫チェックポイント阻害薬」にも注目

がんでは、新しい薬「オプジーボ」、「キイトルーダ」などの、「免疫チェックポイント阻害薬」が使えるかどうかも重要です。

免疫チェックポイント阻害薬は、「肺がん」や「腎がん」「皮膚がん」などの一部で、その効果には、期待が寄せられていますが、どこでも受けられるものではありません。実は、地域の基幹病院クラスでも受けられず、トップクラスの病院でしか受けられません。というのも、免疫チェックポイント阻害薬は、これまでの抗がん剤ではなかった副作用が起きる可能性もあるからです。免疫系に起きるもので、全身のどこに、いつ起こるかわかりません。ただ、その多くは、早く発見すれば、コントロールが可能なものです。ですから、そうした副作用に対応する専門の診療科がある病院である必要があります。

例えば九州大学病院では、15を超える診療科が一堂に集まる、委員会をもっています。治療後に、1日に何度も、お腹を下すような症状が出た場合に、委員会ができる前は、少し様子をみましょう・・・となっていた。それが消化器内科にすぐに相談する体制ができた。また、患者さん向けにわかりやすい言葉で書いた、副作用の確認シートを用意しています。

 

★「先進医療を保険適用の前から行っていたか」もポイント

新しい治療を、その治療が保険適用になってから始める病院は、少し時間を置いた方が良いです。

例えば大腸がんの「ESD」。平たくて2センチ以上の大きなポリープを一括切除する場合、内視鏡で粘膜の下層を剥離する手術が「ESD」です。全国およそ160の医療施設で先進医療として行われ、5年前に保険適用になりました。ただ大腸がんにおける、ESDの届け出は、緩いところがあります。胃や食道などの治療も含めて20例以上行っている医師がいる病院だと、保険適用となる。ところが、大腸は胃や食道に比べ壁が薄く、ESDの手術には高い技術が必要です。壁が薄い大腸に、内視鏡のナイフで穴を空けてしまうと、重篤な腹膜炎を起こします。保険適用になる以前から先進医療として行っていたか?また、大腸についての、ESD治療の実績が多いかどうかを確認した方が良いです。

 

★脳梗塞なら「t−PA治療」に注目

最後に、いざ発症したときに時間との勝負になる病気については、予め病院選びを。その一つが、脳梗塞で、脳の血管が詰まるために、起こる病気です。

脳梗塞の治療で、信頼できるかどうかは、「t‐PA治療」を受けられるかどうかです。「t‐PA治療」は、血栓溶解法といって、脳の血管に詰まった血栓を強力に溶かす薬を静脈に点滴する治療方法です。脳梗塞が起こってから4時間半以内に受けると症状は劇的に改善します。それでも効果が無かったり、4時間半を超えて8時間以内なら、血管内治療があります。脚の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、脳の血管の詰まった閉塞部まで送り込んで、特殊な医療機器で、血栓を取り除きます。時間との勝負になりますので、こうした病院が近くにあるかどうかを、確認しておくことも大切になってきます。

「t‐PA治療」が受けられる病院を調べるには、脳卒中協会の作ったページが便利。「t‐PA治療 医療機関」(東京都を除く)で検索すると出てきます。

https://www.t-pa.jsa-web.org

がんについては「がん診療連携拠点病院」や大学病院で、根本的な治療を。その後の、定期的な通院は地元の病院で診てもらうなど使い分けをすればよいです。

http://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/fTopKyoten

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170807080000

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