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ココロはいつもコトバになりたがっている / きたやまおさむ

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
8月19日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、精神科医で作詞家のきたやまおさむさんをお迎えしました。

きたやまおさむさん

長身でスマート、知的でざっくばらん、今は白髪にメガネ。きたやまさんと久米さんはどこか似ています。年も2歳違いと近い上にともに今年で活動50周年(きたやまさんは京都府立医科大学在学中にフォーク・クルセダーズを結成し「帰ってきたヨッパライ」でレコードデビューしたのが1967年。同じ年、久米さんはTBSにアナウンサーとして入社)。そして二人とも、今は亡き永六輔さんの“門下生”。接点があっても不思議ではないのですが、ちゃんと話をするのは今回が初めて。

これまで共演の話がなかったわけではなく、実は久米さんがきたやまさんを避けていたのでした。というのも、きたやまさんに対してかなり嫉妬の気持ちがあったからなんです。

スタジオ風景

京都の学生アマチュアバンドが解散記念に自主制作した「帰ってきたヨッパライ」が、レコード会社の目にとまり、あれよという間に280万枚の大ヒット。そこからテレビやラジオで大活躍。作詞家として「風」「白い色は恋人の色」「あの素晴しい愛をもう一度」「戦争を知らない子供たち」などヒットを連発。TBSラジオの深夜放送「パックインミュージック」でカリスマ的な人気を博しながら、突然、芸能活動を休止。ロンドンへ留学し本格的に医学の道へ。以来、メディアから長らく姿を消し、精神科のクリニックを開業し、九州大学の教授に就任。そのまま精神科医・大学教授の仕事に専念するかと思えば、1990年以降、芸能活動を再開。そして2000年代には永六輔さんの『土曜ワイド』に頻繁に出演し、隣り合ったスタジオで窓ガラス越しに、久米さんと顔を合わせるようになったのです。

そんなきたやまさんを久米さんは「なんだアイツは…」と思いながら見ていたそうです。自分は地べたを這いつくばるようにしてラジオとテレビで格闘してきたのに、アイツは大した苦労もなく、ずいぶん好きなことをやってくれるじゃないか。そんな複雑な感情が、いつしか苦手意識に変わっていったのでした。

久米さんからの告白に、「そうやってよくうらやましがられるんだけど、私自身は売れたくて売れたわけじゃないんですよ」ときたやまさん。すると久米さんは一気にヒートアップして「そういう話は反感を買いますから、あんまりしないほうがいいですよ!」。きたやまさんは思わず大笑いしながらも、「でも実は、そういう気持ちは大事」と言います。

「うらやましい」と言われる存在があるからこそ、次のフォーク・クルセダーズが生まれるかもしれないし、次のビートルズが生まれるかもしれない。きたやまさん自身、ビートルズがうらやましくて、ビートルズになりたいと思って音楽を始めたそうです。「あんなふうになりたい」「あの人がうらやましい」と思う気持ちはエネルギーになり、人を変える力になる、ときたやまさんは言います。ところがこの頃、若い人たちと話をすると「あんなのうらやましくない」というようなことを言う。「だから、みんなもっとうらやましがったほうがいい。そのためなら僕自身、この先も反感を買っていいと思うようになりました。だってもう70歳でっせ。この年になったらもう構わない!」。

スタジオ風景

そして、きたやまさんはまた、久米さんがきたやまさんに対する苦手意識を告白したように、心に溜め込んでいた思いを言葉にすることもとても大事だと言います。昔は家族の中におじいさんやおばあさん、町内にご隠居、村の偉いお坊さんなど、コミュニティの中に話を聞いてくれる存在がありました。久米さんも、永六輔さんの存在が自分にとっての精神安定剤だったと言います。ところが今は、身近なところに相談相手がいなくなってしまった。ですからそういった人たちに代わって話を聞くのが、精神科医なのです。欧米では気軽に精神科医のもとに通う人が多いのに対し、日本ではまだまだ敷居が高いのが現状です。「知らず知らずのうちに自分が心に溜め込んでいたことを思い出して、言葉にすると人は変わります」ときたやまさん。「心というのは、いつまでも言葉になることを待っている装置なんです。言葉にすると心が少し、風通しが良くなります」。

一方できたやまさんは、相談を受ける精神科医にもまた苦しみがあると言います。日本では精神科に通っていることは内緒にされることが多く、精神科医のことが話題に上る機会は多くありません。内科や外科の医者については「あの先生のところに行って、とても助かった」と言った話を聞いたり、医者の人となりがテレビや雑誌で紹介されることもあります。ところが精神科医について「あの先生に本当に救われた」という話はほとんど聞きません。人前でほめられないのが日本の精神科医なのです。「そんな精神科医の苦しみもわかっていただきたい」ときたやまさん。精神科医だって人間です。良い相談相手をいちばん必要としているのは、精神科医自身なのかもしれませんね。

コブのない駱駝

きたやまさん自身は、医学・学問と歌の世界を行きつ戻りつすることが自分の精神を安定させているそうです。ひとつのことだけをやっていては自分自身がうまくまとまらない。いろいろなことをやることで自分がひとつにまとまっていると言います。そんなきたやまさんがここ数年、ライフワークの一つとしてきたのが、学問と歌やアートを融合させた舞台「アカデミックシアター」。2010年から毎年、いろいろな趣向を凝らして開催してきましたが、今回(2017年10月29日)は清水ミチコさんがご一緒。どんな“公開講座”にするか、いろいろアイデアを練っているところだそうです。

きたやまおさむさんのご感想

きたやまおさむさん

すごかった。弾丸のように、わーっと質問されたねえ。もう弾丸、弾丸(笑)。
でも、精神科医の自己紹介ができてよかった。あんまりそういう話はでないからね。精神科医がどんな存在か、精神科医がどんなことを考えているかというのは認知されていないので、それが言えただけでもありがたいですね。

次回のゲストは、俳優の永島敏行さん

8月26日、スペシャルウィークの「今週のスポットライト」には、俳優の永島敏行さんをお迎えします。20年以上も秋田でコメ作りに関わるなど、ライフワークとしている「農業」のお話を伺います!

2017年8月26日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170826140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)