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バラとワインとピアノの日々 in パリ~ 横山幸雄さん

コシノジュンコ MASACA

2017年8月20日(日)放送

ゲスト:横山 幸雄さん(part 2)
1971年 三鷹市生まれ。1987年、 東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校在学中にパリ国立高等音楽院にフランス政府給費留学生として留学。1990年、19歳で第12回ショパン国際ピアノコンクールに出場し、第3位を受賞します。ワイン通としても知られ、ワインエキスパートの資格を持つほか、「リストランテペガソ」(渋谷)「リストランテキメラ」(祇園)2軒のイタリアンレストランのオーナーでもあります。

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出水:今年はデビュー20周年。そもそもピアノを始めたきっかけをお伺いしたいんですが・・・いつごろ?

横山:それがねぇ・・・覚えてないんです。

JK:え? 覚えてない? 覚えてない?!

横山:自分の覚えている限りの一番小さなころの記憶で、すでにピアノを弾いてるんですね。親が言っていることを鵜呑みにするしかないんですけど。母がピアノの先生をしていたので家にピアノはありましたし、きっと想像するに、自分にとっては「音が出る楽しいおもちゃ」だったんじゃないかと思います。今でもそんな感じですけど(笑)

JK:大人になってもまだおもちゃ、まだ遊び、なのね(笑)

横山:いつの時代もピアノは生活の中心にありますけど、ピアノばっかり弾いてた、という感じでもないですね。

JK:子供の時ってもっと手がちっちゃいですよね。それなのに、大人と同じピアノを弾くわけでしょ?

横山:そう、バイオリンだと1/16とか小さいものもありますけど、ピアノは年齢ごとに、というのはないですね。おもちゃのピアノはありますけど、あそこから勉強するわけではないですから。大人も子供も同じ楽器を弾きます。

JK:しかも小さくても、オクターブを出さなきゃいけない。まるでスポーツ! グランドピアノには大きなものもあるでしょ? 大きければ大きいほどいいんですか?

横山:だいたい演奏会で使われる楽器が、鍵盤の一番手前から一番奥まで2m70~75cmぐらい。それ以上大きな3m近い楽器もありますけど、大きければいいという話でもない。それ以上大きいというのはあまり作られていもいないし。鍵盤は基本88鍵、92鍵ぐらいのもありますけど、それ以上あっても音域の聴き分けができなくなる。

出水:人間の耳の性能的に?

横山:そう。これ以上音域を広げてもあまり意味がない。音量を大きくするため、というのもあるかもしれませんが、小さい音が出なければ意味がない。それを考えると、ピアノという楽器はだいたい100年前に完成している。その時に出来上がった楽器なんです。

JK:最初にパリに行かれたでしょ?なぜパリだったんですか? ウィーンじゃなくて。

横山:僕がパリに行ったのは16歳の時。なるべく早くヨーロッパに行って、若い時に吸収したほうがいいんじゃないか、という流れの中で、当時僕のピアノの師匠はドイツで勉強された方なんですが、だからなのか、フランスに対する憧れもあられたようで。

出水:その時は、フランス政府給費留学、フランス側からお金をいただいて留学していたということですね。

横山:フランスって非常に文化や教育に対して手厚い国といいますか、だからフランスの素晴らしい芸術文化を世界中に広めてくれる人には、フランス政府が奨学金を出しているんです。

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出水:およそ3年間、当時はどのような生活をしていたんですか?

横山:日本だと、音楽を勉強しながら普通の高校生としての勉強も当然しますが、パリ音楽院と言う学校は、EUになってからちょっと変わりましたけれど、当時はなんというんでしょうね、日本でいう音楽の専門学校みたいな感じ。一般教養的なものはないんですね。年齢的にいうと、僕が勉強したころは一番若い人で14歳ぐらい。楽器とか専門分野によっても違うんですが、入学年齢としては平均して20~21歳ぐらい。中学校に通いながら来てる人もいるし、他の大学に行きながら勉強している人もいました。

JK:楽器だけじゃなくて、歌もあったり?

横山:合唱があったり、いわゆる音楽理論、音楽史など、音楽に関連するものがあります。日本の大学のようにいろんなことを勉強できるのがいいのか、突出して音楽だけを勉強するのがいいのか・・・これがモスクワ音楽院になりますと、厳しい体育の授業もあるそうです。やっぱり演奏するのも体力が必要ですからね。

出水:このころに、自分はピアニストとして生きていくんだ、と心を決めたんですか?

横山:いやぁ~・・・決まったんですかねぇ??

JK:でもピアノのいいところは、スポーツマンだったら永遠にはできないけど、ピアノはずーっと永遠にできるものね。

横山:そう、だからコンクールなんかは本当にスタート地点にしか過ぎなくて、そこから自分の音楽、芸術を極めていく。これは一生をかけてのものですね。

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出水:音楽以外のお話・・・ワインエキスパートの資格もお持ちなんですよね? 取得するのはなかなか難しいって聞きますよ??

横山:ピアニストを廃業になっちゃうかもしれないしね(笑)

JK:何をおっしゃる!

横山:もちろん自分で好きなピアノを辞めることはないですけれども、聴いてくれる方がいなければ始まらないですし、ピアノ以外にいろんなものが広がっていくといいなと常に思っていて。ワインはフランスに行った時から生活の中にあり、今でこそいろんなところでワインがありますし、選択の幅も増えましたけれど、フランスに行くとびっくりするぐらいいろんなワインが売ってるんですよね。

JK:フランスは16歳から飲んでいいんでしょ? ワインだけじゃなくて、合わせる料理にも詳しいんですか? たとえばチーズとか。

横山:詳しいというか、自分でやるのが得意、と言うわけでもないんですけど。ただ、僕いろんなことを覚えちゃうほうなんで、チーズとかまで覚えちゃうと、覚えた以上、一番いいものがほしくなるじゃないですか。高くついたり、生産の場に行ったり・・・でもピアノを弾く時間もちゃんと作らなきゃいけないじゃないですか! だから、覚えなくていいものはなるだけ覚えないようにしよう、と思いながら、興味がわくとやっぱり覚えちゃうんですよね。

JK:やっぱりチーズと赤ワインって相性いいじゃない?

出水:ジュンコさん、やたらチーズにこだわりますね(笑)

横山:たしかにチーズとワインって相性がいいんですけれども、チーズも非常に強いチーズと強くないチーズで、ワインに対して影響の与え方が全然違う。

JK:その関連でピアノを弾くんですか? たとえば、このチーズにはこの曲、みたいな(笑) 五感で楽しむっていいじゃない?

横山:遊びでやってくれって言われれば、やりますけど(笑)ただ僕の場合ね、ワインにしても音楽にしてもそうなんですが、なぜこのワインと隣のワインが違うのか、っていうことに興味があるんです。グラスによっても違うし、注ぎ方によっても温度によっても違うし。いろんなことで変わる。そこが興味あるんです。分析魔なんですよ、僕。

JK:横山さんのレストランに行くと、そういうワインの細かい仕組みも教えてくれるんですか?

横山:やっぱり音楽会の時間と食事の時間ってややかぶるじゃないですか。だったら、音楽を聴いて食事をしてもらったら、と思って。

JK:いつもコンサートを聴いて、9:30ぐらいに終わるでしょ、それから食事に行きましょうって意外に難しい。

横山:そんなとき僕にご一報いただければ! お待ちしております。

出水:ピアノサロンのような場所ですかね。貴族の方が楽しんでいたような空間。

横山:食事を食べない人はいないわけで、食事を楽しめる場所で音楽も楽しめれば、食事してリラックスしていただいた後に聴くとか、演奏を聴いた後に食事を召し上がるとか、そういう感じかなと思います。

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JK:横山さんのMASACAは何ですか?

横山:いや、MASACAという番組に呼んでいただけたことがマサカ! ですよ! まあ、僕は「子供のころの夢は何ですか?」と聞かれることもあるんですけれども、僕はとても現実的で、自分が今日やりたいことをやっている。だから、毎日が新鮮、毎日がMASACAの連続。逆に言うと、その状態を素直に受け入れているので、びっくり仰天なこともあまり起きない。ある意味ではMASACAの連続でもあり、ある意味では毎日変化が起きてるのが自然、と言う感じなんですよね。

JK:でも、やっぱりショパンコンクールで入賞したことは凄いことなんじゃないかと思うんですが。

横山:これはMASACAというより、運がいいんですね。努力はみなさんなさってますから、運がいい、としか言いようがないですね。

出水:謙虚でいらっしゃいますね~!

JK:5年に1回だから、それにもれたら次はない、と言う感じでしょ。

横山:そうですね。次の5年間何をして生きていけばいいかわからない、ということですからね。

出水:ひとつのことにハマったら、ぐわーっと探求するタイプだとおっしゃってましたが、今後お時間ができたら何か研究してみたいことは?

横山:うーん・・・例えば、もしそういう時間があれば、いまあまり時間がなくて出来ていない作曲をしたり、音楽以外だったら美術やそういったものを深く知りたいなというのもありますし。演奏っていうことであれば、自分が極めたい、と言う作曲家が出てくるかもしれないし。今の時点ではまず、時間をください、と言う感じです(笑)

=OA楽曲=
M1.  幻想即興曲 / 横山幸雄

M2.  別れの曲によるお別れの作品 (2台ピアノによる8手連弾) /  横山幸雄