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【相談】老けてみられないためには、どんなファッションをすればいいでしょうか?

ジェーン・スー 生活は踊る

ラジオパーソナリティであり、作詞家・コラムニストでもあるジェーン・スーさんが皆さんの悩みにお答えする人生相談コーナー。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」の中で月曜日から金曜日まで、お相手のアナウンサーと共に毎日一緒に考えたり悩んだりしています。

スペシャルウィークの今週、金曜日は特別ゲストに作家の志茂田景樹さんを迎えて悩み相談にお答えします。

TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」
8月25日(金) パートナー:志茂田景樹(作家) 堀井美香(TBSアナウンサー)

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【志茂田景樹の金言】

「行くも地獄返すも地獄、だったら前に進んでやれ」

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【相談】「きみどり」さん(38歳・男性)より

今日は景樹先生もいらっしゃるということで、私の悩みを送らせて下さい。それは、老けて見えないファッションについて、です。

学生のころから服のことに関心がなく、何年か一度まとめて買った物をずっと着回していました。

先日、10数年ぶりに高校の友人たちと集まる機会があったのですが、そのとき、年齢の取り方にあまりに違いがあるのに驚きました。同い年の自分から見ても、「完全におっさんやん」というやつがいたかと思えば、10数年前とほとんど印象の変わらない若々しい友人もいました。

その理由はどうやら、着ている洋服の差が大きいらしいのです。そこで、生まれて初めて、そろそろ洋服に気をつけたほうがいいのかな、と思うようになりました。

が、これまで服について考えたことがないので、どんな服を選び、どこで買っていいのか、わかりません。わたしはどういう洋服を買ったらいいでしょうか? また、ファッションを楽しめるようになるには、どうしたらいいのでしょうか?

くだらない悩みですいませんが、よろしくお願いします。

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【ジェーン・スーさんと志茂田景樹さんとTBSアナウンサー堀井美香さんの回答】

志茂田
体型に関係なく、老けないファッションで若く見える人って、バランスがいいんですよ。たとえばいくらファッションだけ10代が着るような服に身を包んでも、顔の雰囲気が40代50代のままだったらすごくアンバランスで、逆に老けて見える場合がある。年齢が3つ4つぐらいは上に見えちゃうかもしれない。だから、バランスが大切なんですよね。

今の原宿で見かけるような、ああいう感じにすると必ず失敗するので、まず無難なのは、この人30代後半ですよね。だとしたら28、29歳ぐらいから33、34歳ぐらいのファッションにする。

生活は踊る20170825

スー
なるほど。ちょい若いぐらいですね。

志茂田
はい。それで顔を若めにする工夫をしたほうがいいです。メイクで若く見せる方法なんて、今はいろいろありますからね。そんなにどぎつく若く見せなくていいですから。

はじめは、心もち若く、ぐらいでいいですよ。そうするとだんだんファッションと表情の雰囲気があってくるので、そうしたらまたもう一段階若いファッションにすれば、意外と顔のほうもファッションに合わせて変わっていきますよ。ということは、全体の雰囲気が、ひいては感性が変わってきたということですよ。

スー
なるほどなるほど。いや、まさか志茂田先生の口から「無難」という言葉が最初に出てくるとは思いませんでした。非常に戦略的なんですね。

志茂田
そうですね。

スー
いきなりいくんじゃなくて、少しずつ自分の感性を若返らせていくと。

志茂田
ええ。最初からいきなりぴったりバランスはとれないもんですから、まずは10歳ぐらい下のものからでいいんじゃないでしょうか。そういうファッションからはじめて、表情や顔の雰囲気も合わせていけばいいんじゃないかな。あとはもちろん、髪型にも気をつけてくださいね。

スー
ちなみに今のような、志茂田先生のオリジナルのファッションを楽しむようになったのはお幾つぐらいからなんですか? 

志茂田
ええとですね、僕も意外と昔は、カジュアルが流行ればカジュアルに、なんてメンズファッション雑誌の写真を見ながら帽子を被ったりした時期もありましたよ。けど、直木賞を受賞して、本格的に作家としての活動がはじまってから、少しずつ変わっていきましたね。僕の場合は「足」から変わっていったんですよ。

スー
足から? どういうことですか?

志茂田
アパレル業界でデザイナーをやってる知人が、研修でニューヨークへ半年行ってきて、帰国したときにお土産でくれた包みがあったんです。「それ、今開けないであとで開けてね」って。で、当時カンヅメになっていたホテルの部屋に戻って開けてみたら、足首のところから太もものところまで、マリリン・モンローのセクシーな笑顔がたくさんプリントされたロングタイツがふたつ、入っていたんですよ。まったく同じタイツが二足ね。「これが今、ニューヨークっ子の間で流行ってるのよ」って。もちろんそのニューヨークっ子ていうのは女性なんですけどね。

で、なぜこれを僕にくれたのかなと、不思議だったんですよね。だいたいこれは男が履くものじゃないじゃないですか。でも、よく分からないなりに、履いてみたんですよ。ざあっと行水のように風呂に入って、上がって、誰もいない部屋ですから、生まれたまんまの姿で。

生活は踊る20170825

スー
ミステリー小説みたいな展開ですね!

志茂田
で、ベッドの上に放り出したタイツがあるので、それを履いてみて、壁の姿見に写してみたら……「えっ……カッコイイじゃない!!」ってゾクッときたんです。

スー&堀井
おおー!

志茂田
それがはじまりです。

スー&堀井
へぇぇ~~!

志茂田
だからボクのファッションは足からはじまったんですよ。タイツから。それがだんだん上に移ってきた。

堀井
そのまま外に出たりもしたんですか?

志茂田
カンヅメになっている部屋にジーンズを数本持ってきていたので、フロントに電話して裁ちばさみを持ってきてもらって、それでジョキジョキとジーンズの裾を切って、履いて。それが、季候のいい時期だったんですよ。それで気に入っていたTシャツがあったんで、それを着てまた鏡に映したら、「なんか……原稿なんか書いてらんねーな!」って気分になっちゃって……。

スー&堀井
あはははは!

スー
いい話だなー!

生活は踊る20170825

志茂田
それで当時の、高輪にある某「M」というホテルですよ。そこを出て、前の広い道を歩いていたら、すれ違う人すれ違う人がギョッとした顔になるんです。でも、母親に連れられた小さい男の子とか、そういう人たちは面白がってくれてね。当時も今も、一番自分の枠の中に入り込んじゃって、自分の感性とか感覚からはみ出たものを認めようとしないのは、40代の男性が多いんですね。

スー&堀井
ああ~。

志茂田
今でもそうですけどね。あのあたりだとそういうビジネスマンが多いんで、すれ違うときにギョッとした表情をする。で、そのうち3人連れのビジネスマンとすれ違ったんですよ。みんな、スーツの襟にバッジをつけてましてね。当時、会社のバッジをつけている人って多かったんですよね。それでよく見たら、世界中に支店のあるようなM物産の人だったんですよ。

スー
それ言ったらはっきりと分かりますけどね。住友ではないほうの物産ってことですよね。

志茂田
はい(笑)。その3人とも40代半ばなんですけど、当時の40代半ばっていったら、M物産だと課長なんですね。「同期の課長連中かな」なんて思ったんですが、彼らがすれ違いざま、かすかに表情を変えたんです。でもみんな紳士ですから、そのあと何も見なかったようにすれ違っていきました。

でも、あいつらきっと立ち止まってボクを見てるぞと思ったから、7、8歩あるいて、パッと振り向いたんです。そうしたら案の定、立ち止まってこちらを向いてヒソヒソ話をしていて。そのうちのひとりはボクを指差していた。後ろ指を指すっていう言葉がありますけど、これがまさにそれだと思って。

まあ、それでさすがにボクも落ち込んで、ホテルに戻って普通の恰好に戻ろうかと思いましたけど、もう1キロ以上も歩いてきてるんですよ。それで麻布十番の商店街の入口あたりまで来てるんで、ええい、ままよ!っていう感じで、行くも地獄返すも地獄、だったら前に進んでやれと開き直って……というところから、今に至っているんです。

スー
それが40代のころのお話なんですよね。ということで、きみどりさん。これが志茂田景樹先生の、鮮烈なファッション・エンカウンターでございます。なにかひとつ、自分のなかで「これを身に付けたときにゾクゾクっとする」というアイテムを見つけたら、そこから変わるかもしれませんよ。

志茂田
そうですね。それから増殖していきますよ。

堀井
ファッションは増殖です。

生活は踊る20170825-5

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