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コメ作り24年、永島敏行さん「農業をやっていなかったら傲慢な人間になっていた」

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
8月26日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、俳優として活躍する一方、長年、農業に取り組んでいる永島敏行さんをお迎えしました。農業にのめり込んだきっかけや、東京駅前で毎週開催しているマルシェについてお話を伺いました。気取りがなくて、温かくて、ユーモアと情熱を感じる語り口が印象的でした。

永島敏行さん

1977年に映画「ドカベン」でデビュー以来、映画「サード」「遠雷」で数々の賞を受賞し、テレビや舞台へと活躍の場を広げていた永島さんが、37歳になって農業に関わるようになりました。大学の準硬式野球部の仲間でその後、秋田県十文字町(現・横手市)の役場職員となっていた友人から「秋田で映画祭をやりたいからお前も手伝ってくれ」と話を持ちかけられたことがきっかけでした。永島さんは実行委員となって映画祭に関わることになりますが、注目されるのは東京から連れてきた映画人ばかり。でも、せっかく秋田でやるのだから地元の人たちを主役にしたい。そこで、映画祭を手伝ってくれた地元の農家の人に、東京からの参加者にコメ作りを教えてもらおうと考えたのが始まりでした。

スタジオ風景

永島さんには、当時まだ小さかった娘さんを自然の中で泥だらけにして遊ばせたいという思いもありました。永島さんが生まれ育った千葉県千葉市は、永島さんが小学校低学年の頃までは自然豊かで、東京湾の遠浅の海でアサリやハマグリを採ったり、山で走り回って遊んだそうです。都会で子育てをしているとそんな体験はなかなかできません。秋田の農家の人には「子供を遊ばせるためにコメを作ってるんじゃない」と怒られましたが、本気でやるならということでやらせてもらえることになりました。

スタジオ風景

そして永島さんが農業に取り組んだことには、もうひとつ理由がありました。それは30歳の時に演技の勉強のためイギリスの有名な劇作家、アーノルド・ウェスカーさんの家に3ヵ月間ホームステイしたときの体験。議論好きのイギリス人らしく、ウィースカーさんは週末のホームパーティのあとはいつも様々なテーマで3~4時間議論するのですが、そこでよく「日本人とは何だ?」という話になり、永島さんは何も答えられませんでした。どうしたらその問いに答えられるかと考え、「コメ」のことを知れば何か答えが見つけられるのではないか…。そんな体験も秋田でのコメ作りにつながったそうです。

久米宏さん

1993年から秋田でコメ作りを始めて以来ずっと通っている永島さんは「秋田で何がおいしかって、地元のお母さんたちが作る朝食がいちばんおいしい!」と言います。ごはん、味噌汁、焼き魚、卵料理、山菜、漬け物、そして必ず筋子がついてくる。しかもおかずはどれも手作り。普通の家庭でこんなに贅沢なものが出てくるのかとびっくりするほど。永島さんも初めて出されたときは「こんな豪華な朝食は大変だからもっと簡単なものでいいです」と恐縮したのですが、これがいつもの朝ごはんなのだそうです。「20年以上も通い続けられたのは、秋田の人のおもてなしがあったから。謙虚だけど温かい接し方。みんな気持ちが豊かなんです」と永島さん。

青空市場

永島さんは全国各地の農家と交流が広がるようになって、自分が作るだけでなく、生産者の手伝いをしようと思うようになり、2005年に「有限会社青空市場」を設立して、生産者と消費者をつなぐ活動に力を注いでいます。現在、東京駅前の行幸地下通路で毎週金曜日に、「丸の内行幸マルシェ×青空市場」を開催しています。ヨーロッパなどでは、都会でも週末になると街中に市場が立ちます。永島さんは東京にもそんな場所がほしいと思って、マルシェを始めました。毎回、北海道から沖縄まで20~30軒の農家が参加するマルシェは、多くのビジネスマンたちが立ち寄って話をしています。そこはただ野菜を並べるだけではなく、農家とお客さんが情報交換したり交流を深める場所になっています。

永島敏行さん

マルシェに参加した生産者からは「良いにせよ悪いにせよ、消費者に自分の仕事を評価されることがいちばんの喜びです」という声があがっているそうです。たくさん売上げがあることよりも、消費者と直接いろいろな話ができることが作り手のモチベーションになっているんですね。一方、消費者側にとっても、単なる売り買いだけでなく、作り手の顔を見ることで生産者とその野菜に信用が生まれる。この農家が自分の健康を守ってくれるという安心感が生まれる。そこがマルシェのよさであり、その過程を見ることが何より楽しいと永島さんは笑顔で語ります。

各地の農家を取材することも多い永島さんは「これまで農協に任せきりだった農家の考え方が変わってきています。そしてそこには農家の女性の力がある。新しいものを開拓していく男性の力も大事だけれど、女性ならではのセンス、アイデア、きめ細やかさが農業にはとても大事になってきていると思います」と指摘します。

久米宏さん

また、農業というと生産者の高齢化が問題になっていますが、永島さんは「高齢化といっても農家の80歳は元気。それより高齢の農家が一人亡くなることで、百科事典のような知恵が失われることのほうが心配。農家の知恵をデータ化してそれを若い人たちに分かりやすく伝えていくことができれば日本の農業はまだまだ未来は明るいと思います!」。

お土産でいただいたニンニク

永島さんは30歳になった頃から、芝居をするうえで自分の言葉を持ちたい、自分の体の中から出てくる言葉を持ちたいと思うようになったと言います。そして40歳を前に農業を始めて、いろいろな農家と話をするなかで「自分の言葉」を持てるようになったと感じているそうです。奥さんからは「あなたは農業をやってなかったらいやな人間になっていたと思う。役者だけやっていたら傲慢な人間になっていたと思う」と言われたそうです。60歳を超えて体力的にはきつくなってきますが、秋田でのコメ作りは続きそうですと笑う永島さんでした。

永島敏行さんのご感想

永島敏行さん

僕はTBSラジオを聞いていて、すごく農業に力を入れてくれているなあと感じていましたし、憧れの久米さんと久々にお会いして楽しかったです。

久米さんはいろいろなところから農業の話題を切って下さって、農協の話や高齢化といった問題提起をしてくれましたね。ゲストで呼ばれたときに、どこまで言っていいのかなと思うんですが、久米さんがそういうふうに斬り込んで下さるので、僕も素直に話すことができてよかったです。今日はありがとうございました。

2017年8月26日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:永島敏行さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170826140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

次回のゲストは、「セメント新聞」広報・猪熊夏子さんさん

9月2日の「今週のスポットライト」には、ファッション雑誌のスタイリストから転職して、セメントとコンクリートの業界紙「セメント新聞」の広報になった猪熊夏子さんをお迎えします。

2017年9月2日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170902140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)