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ダージリン内紛でダージリンティーはどうなる?

森本毅郎 スタンバイ!

紅茶の中で最も有名な銘柄である『ダージリン』が、茶摘みの最盛期のはずの今、ストライキでまったく収穫されていないというニュースが入ってきました。労働環境をめぐるストライキかなと思ったのですが、実はそうではなく、ダージリンがあるインドの西ベンガル州の州政府と、そこに住むグルカ人(ゴルカ人)の対立が原因だというのです。そこで・・・。「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!8月29日(火)は、レポーター近堂かおりが『ダージリン内紛でダージリンティーはどうなる?』をテーマに取材しました!

★70日以上もストライキ状態!!

30年以上前にインドから来日して、東京・板橋区で紅茶の輸入・販売をしている株式会社ロータスの代表、カマル・ビジャバルギアさんに、ダージリンの紅茶園の状況をお聞きしました。

カマル・ビジャバルギアさん
「70日前からストライキになっていて、茶園がすべて閉まっています。働いている人たちも全部ストライキになって、茶園がとても今、難しいですよ。ダージリンの茶園が始まってからこういう状況になったのは初めてです。茶畑はみんな伸びすぎちゃって、また元に戻るまで何年もかかるかしれません。紅茶というとダージリンが香りのトップですが、お茶業界としても初めてこういうことが起きたかと思います。」
カマル・ビジャバルギアさん。 インド紅茶通販KHORAを畝意しています。

カマル・ビジャバルギアさん。インド紅茶通販KHORAを運営しています。

なにが原因でそんなストライキが起きているのか?西ベンガル州全体では、住んでいるのはベンガル人が多いのですが、ダージリンがある州の北部には、ネパール系のグルカ人が多く、ダージリンの紅茶園の労働者の多くがグルカ人。そのグルカ人たちには、ベンガル州から独立して自治州を作りたいという動きがずっとありました。そんな中で今年、ベンガル州政府が、学校でベンガル語を必修科目として義務付けると発表。ネパール語を母国語とするグルカ人たちはこれに激怒。ついに6月初旬、80以上の紅茶園すべてでグルカ人たちがストライキを始め、2ヵ月以上続いているのです。ダージリンティは本来、6~8月が『セカンドフラッシュ』と呼ばれる夏に摘む二番茶の収穫の最盛期で、去年の6月は133万キロを収穫したのに、今年の6月はわずか14万キロ。深刻な紅茶不足を心配する報道もあります。

★ダージリン不足は世界に影響が・・・!

日本以外でも世界の国々で飲まれているので、どういった国に影響が出そうか、ロータスの石川悦子さんにお聞きしました。

石川悦子さん
「インドからの輸出品としては、量でいえばロシアがいちばん買っているんですが、値段がいちばん安い紅茶を大量に買っています。いちばん高級なお茶をたくさんかっているのはドイツです。どんなに高くてもドイツが買い占めたりします。その次にイギリスがやはり植民地にしていただけあって、ダージリンがイギリスにあると思っている人もいるくらいイギリスのダージリンが有名になっています。」

世界のあちこちで、影響が懸念されるわけです。一方、日本への影響はどうなのでしょうか?

★実は日本への影響は・・・

気になる日本の紅茶への影響はどうなのか、日本紅茶協会の方にお聞きしました。

日本紅茶協会
「今年のセカンドフラッシュは今のところほとんどない状態ですので、来年以降は厳しい状況になるところも出てくると思います。ただ、紅茶会社によっては在庫を持っているところがありますので、すぐに値上げだといった話はありません。インド全体の紅茶は、2016年で、123万9千トン採れています。その中で、ダージリンは8600トンです。1%にも満たない量です。ですから世界的にみると、それ以外のお茶が値上がりするということは考えられないです。」

紅茶=ダージリン、とさえ思うほどのイメージがあるので、すごくたくさん飲まれている、と思っていましたが、量としては実はそれほどたくさんではないそうで、少なくともすぐに大きな影響はなさそうとのこと。(意外でしたが、日本に入ってくる紅茶の23%がダージリン、一番多いのはセイロンで54%、ということです。)

★ストライキで摘み手がいなくなる?

ちょっと安心しましたが、先ほどの紅茶輸入会社のカマル・ビジャバルギアさんに伺うと、ダージリンの紅茶園の状態が心配だとおっしゃいます。

カマル・ビジャバルギアさん
「働いている人たちが、70日間も給料がないので、みんなネパールに行ってしまったんです。もしネパールに落ち着いてしまったら、戻ってこない。元々、グルカ人なので、そちらのほうが落ち着くかもしれませんから。かなりの人数が行ってしまったので、ダージリンの茶園としてはいちばん大変な時期です。」

紅茶園の労働者たちがネパールに行ってしまって、戻ってこないかもしれない!!そうなってしまったら、州政府との対立が収まったとしても、収穫は進まないかもしれないのです!摘み手がいなくなってしまうわけですから・・・。

★ダージリン史上初めての長期間放置、味はどうなる?

それに加えて心配なのが、2ヵ月もほったらかしとなっている茶園の茶葉の状態

カマルさんから頂いた、最新のダージリン畑の写真。

カマルさんから頂いた、最新のダージリン畑の写真。

カマルさんから頂いた、最新のダージリン畑の写真。うっそうとしていますね。

カマルさんから頂いた、最新のダージリン畑の写真。うっそうとしていますね。


紅茶というのは、年明けに最初の茶葉(DJ1などナンバーがついています。ちなみにDJ1がもっともいい出来の初摘み茶葉ということですよ。)を摘んだ後、春摘み、夏摘み、秋摘みとあって、シーズンごとに味も香りも違う。そして冬の3ヵ月だけ畑を休ませて、また茶摘みが始まる。そのサイクルが100年、200年、ずっと続いてきて、今のダージリンの味が確立しているのですが・・・。そこにどんな変化が起きるのか、心配だというのです。石川さんとカマル・ビジャバルギアさんのお話。

石川悦子さん
「それだけ何ヵ月も放っておいたことが誰もないんです。ちゃんとお茶のサイクルの味に戻るかということもありますよね。それぞれのシーズンでお好みがあって、私は春の味が好きといって春摘みしか飲まない方もいれば、濃いめのオータムが好きという方もいますし。」
カマル・ビジャバルギアさん
「2ヵ月も休んでしまったので、もしかしたら味としては良くなるかもしれない。なぜかというと、冬の間、3ヵ月ぐらい茶園が休みに入るんですよ。それからいちばん最初に出てくる年明けのDJ1がすごくおいしい味が出てきますので、もしかするとまたすごくおいしいのが出てくるかもと期待はしてますけど・・・。」

みなさんが、それぞれに好き、と言っている味が果たして戻るのかどうか・・・。畑を休ませたのが、吉と出るのか、凶とでるのか・・・非常に気になります。しかし、それ以前に、そもそも今のストライキが終わったとしても、茶葉が伸び放題になった紅茶畑を、元の状態に戻すだけでも数ヵ月かかるだろうとのこと。そして問題はその後。伝統のダージリンの味が変わってしまうのか、どうなのか。この100年誰も経験したことがないだけにダージリンの人たち、紅茶輸入大国の業者たちは、今後を注目しています。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。