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ハンセン病問題から学ぶ勉強会▼人権TODAY(9月2日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時15分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…2017年9月2日放送「ハンセン病問題から学ぶ勉強会」です。

担当:崎山敏也(TBSラジオ記者)

 

ハンセン病は、患者を療養所に隔離するという憲法違反の政策が最近まで続き、社会にいまだ差別や偏見が残っています。このハンセン病問題から学ぼうと、東京・台東区で開かれている勉強会を崎山記者が取材してきました。

取材したのは先月の19日で、療養所「退所者」の方の講演が中心でした。ハンセン病だった人の中には、隔離の法律が廃止されたあとに療養所を退所した人もいますが、それ以前に、ハンセン病が治ったので退所し、長年地域で暮らしてきた方がいます。

この勉強会は、「訪問看護ステーションコスモス」の看護師、渡邉怜子さんが呼びかけたもので、渡邉さんは、ハンセン病退所者の話を聴くことについて最初に「『どんな人でも地域で生きていくために』という風に私、チラシのほうには書いたんですけれども、ハンセン病に限らず、病気や障害によって差別されたり、地域の中での選択肢とか、頼れる窓口とか、そういうものが限りなく少ない、ということが多々あります。例えばハンセン病に関して言えば、どのような歴史があって、何に配慮しなければならなくて、何をどう見たらいいのか、わかる人が少ない、地域の中でそんなにたくさんいないという現状があると思います」と趣旨を説明しました。

訪問看護ステーションコスモスのある山谷は高度経済成長時代に出稼ぎの人が集まってきた地域で高齢の一人暮らしの男性が多いんです。また、路上生活者の中には精神障害のある人もいます。困難な状況に追いやられている人が地域で生きるうえで必要なことは何か、渡邊さんは、「どんな人でも地域で暮らせるためには、偏見や差別について学び、人権侵害を見過ごしたり、知らない間に加担してはいけない。そのための視点を学ぶんです」と話していました。

渡邉怜子さん

渡邉怜子さん

この日の勉強会はまず、「ハンセン病の後遺症」についてのDVDを見た後、退所者の川邊嘉光さんが話しました。川邊さんは75歳。小学生の時、ハンセン病にかかり、8年間療養所にいましたが、治ったので18歳で退所、大学を出た後、様々な仕事をしてきました。ハンセン病訴訟の弁護団の内藤雅義さんも加わって、社会に出たときのことについて、川邊さんは「退所してまもなく、友達ができると、飲むといい調子になって、『実はおれ、らい病だったんだよ』とよう言うたもんです。友達になったから理解してもらえるかなというのが基本的にあったかもしれませんね。でも、その友達には逃げられたというか、やはり、だんだん遠くなってしまうというか・・。だから、用心するようになりましたね」と話しました。内藤さんが「ご家族に迷惑をかける、ということは気になりました?」と聞くと、川邊さんは「それがいちばん気になりましたよね。すべて言ってしまえばどんだけ楽かなあ、というようなことを、家族の、周囲の親戚のことを思うとあっこれは我慢しなくっちゃなあと。耐えなくちゃなあと思ってたんです」と答えていました。

家族もまた、周りからハンセン病患者の家族という目で見られていました。らい予防法によって作り出された偏見、差別のある社会が患者も家族も苦しい状況に追い込んだんですね。川邊さんが周りにハンセン病だったことを言うようになったのは15年ほど前のことです。それまでは何かの病気になって病院に行ってもハンセン病の病歴は隠し、後遺症を治療する時は、わざわざ療養所に行くしかなかったそうです。

川邊嘉光さん

川邊嘉光さん

このほか、川邊さんの話は多岐にわたりましたが、最後に、「ハンセン病には真剣に勉強する価値のある問題がまだいっぱい残されています。裁判になると加害者なのか、被害者なのかということで、闘われてきたわけですけど、仮に、過去はそうであったとしても、お互い友達になって話そうじゃないか、これから共に生きて行こうじゃないかという社会をどうやって作っていくんだと。これからの子供たちのためにもですね。なんとか橋渡しが少しでもできればいいかな、と考えている、ハンセン病だった者の一人です」と話して締めました。

およそ40人の参加者は、「いま行なわれている、家族の裁判について詳しく知りたい」とか「退所者が介護サービスなどをどのように利用しているか知りたい」「川邊さんの奥さんの話も聞いてみたい」といった様々な感想をアンケート用紙に書いていました。

 

この勉強会、元々は、渡邉さんが九州の療養所で出会った、入所者で、語り部の上野正子さんに魅せられて、その人を台東区に呼んで話をしてもらいたい、そのために、第一回でハンセン病の基礎知識を学んだんですが、その過程で今度は、退所者の存在を知り、川邊さんを呼ぶことになったそうです。渡邉さんは「まだ細かいことは決まっていないが、ハンセン病問題からはたくさんのヒントが出てくると思うので、勉強会を重ねてゆきたい」としたうえで、「皆さんが来てくれたこともうれしかったんですけど、私自身がこの勉強会をやることによってですね、いろんな人とつながれるんですよね、なんか。たとえば、じゃ、私が台東区で勉強会やりますとか行ったら、こういうDVDやってみたらどうですかとか、いう風にあちら側から連絡をいただいたり、とか。そういう、人とのつながりの中から、自分が行ける先が増えたとか、知っている人が増えた、というのはすごくうれしいし、やってよかったなと思います」と話していました。渡邉さんはさらに、「人のつながりが地域に生まれると、私たち自身や地域が抱える課題を一緒に考えることができるようになるんです。そうしたいです」と付け加えていました。