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安藤忠雄から某大学へMASACAの挑戦状・・・「なんぼやねん??」

コシノジュンコ MASACA

2017年9月3日(日)放送

ゲスト:安藤 忠雄さん(part 2)
1941年大阪市生まれ。大阪府立城東工業高等学校卒業。建築の専門教育を受けずに独学で建築を学び、建築設計事務所でのアルバイトを経て、建築士試験に合格します。1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。1976年に日本建築学会賞を、1995年には建築界最高の栄誉、プリツカー賞を受賞。日本はもちろん海外で活躍していらっしゃいます。主な建築作品に「水の教会(北海道)」「表参道ヒルズ(東京)」「地中美術館(香川)」「フォートワース現代美術館(アメリカ)」など。東京大学名誉教授。高校時代には、プロボクサーとして活動していた経歴の持ち主でもあります。masaca_170903b

出水:東京・六本木の新国立美術館で、9月27日から「安藤忠雄展~挑戦~」が開催されます。模型やスケッチ、ドローイング、写真、映像など200点以上の資料とともに、半世紀に及ぶ軌跡をおさめたもので、東京でこれだけの規模の展示が行われるのは初めてだそうですね。

安藤:新国立美術館が10周年ということで、青木館長に頼まれましてね。15万人来なきゃいかん、と。ふだんの来場者が2000人ぐらいでしょ、けっこうな数なんです。そこで考えまして、会場の奥に300坪ぐらいのテラスがあるんですけど、そこに1989年に作った光の教会の1/1、実物大をコンクリートでそっくりそのまま作ろう、と。

JK:まったく同じ?!

安藤:まったく一緒のもの。

出水:これは会期中だけの展示ですか?

安藤:いやね、光の教会は3500万で出来たんですよ。今回作って7000万。そりゃあ持って帰らなアカンがな。
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JK:館長は常設にしてほしいって言ってますよ。値打ちが出ますもの。

安藤:やっぱり常設にしたほうがええかなぁ。でも青木館長、なかなか勇敢でしたよ。光の教会を作る言うた時に、美術館の人は「辞めといたほうがいい」って言うたんだけどね(笑)まあ、今はもう工事が始まってますから、もうすぐ出来ます。

JK:私はてっきり、入った入り口あたりに建つのかと思ってた。

安藤:光の教会は十字架が光で浮かび出るんですけれども、私は最初、ガラスを入れたくないって言ったんです。でも信者さんが、寒いと。「寒いからこそ、お互いに心を寄せ合って生きとんねん」と言ったら怒られましたけど(笑)いつかはガラスを抜きたいと思って、行くたんびに牧師に「ガラスは取りませんよ」と言われてたんですが、今度のはガラス入ってないねん。だから、十字架だけはなかなか綺麗。

JK:やっと理想が実現できるのね。

安藤:だいたい理想は、クライアントによって排除されるものなんです。表参道ヒルズの場合は、ケヤキ並木を超えない建物にしよう、というお話をしたんです。でもケヤキを残そうとすると、建物が高くならない。だからだんだん地下へ行くわけです。あの建物は地下30mあるんですよ。ずーっと地下までパーキングが入ってる。でも、お金のことよりも街のことを考えて、了解してくれたんです。

JK:理解がありますね。

出水:地下に潜ると言えば、直島の地中美術館。これも今回、模型が展示されるんですよね。

安藤:あれもね、まさかこんなところに、と思いましたよ! 岡山まで行って、そこから宇野、そこから20分ぐらいの島の禿山に美術館を作ると言い出したのが、ベネッセの福武さんです。私もいっしょに行って、「福武さん、この辺は誰も来ないよ。だから私はお断りします」って言うたんです。 ところが、「こういうところにこそ作るから、世界中の人が来るんだ」と彼は考えたらしい。あの人は凄い!それで我々も彼についていったんですけどね、あれからもう30年。初めは来場者も1~2万かな、そのうちに3万人。島の人たちは外から人が来るのがいやなんですが、7万人ぐらい来出したら、人間て変わるんですね、70歳超える人が「こんなに人が来るんなら、うちも布団出しとこか」とか、「うちはこういうショップでもしよか」とか。

出水:新しいことをし始めたんですね!

JK:街のミュージアムみたい。

安藤:そうそう、そんで自分らが意欲的に働くようになったのが、島の人たちにはよかったんじゃないかと。地方創生の見本みたいなもんで、いまでは年間70万人が来るんです。すごいですよ! でも、福武さんにも失敗があって、あの時船の権利を買おうとしたんですが、買えなかった。買ってたら70万人、往復140万人が毎年来るんだからね。惜しいことをした!

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出水:展覧会では、現在パリで進行中のプロジェクトも紹介されるそうですね?

安藤:パリのルーブルとポンピドゥセンターとの間にレアールという場所があるんです。19世紀に証券取引所があったところで、真ん中に直径70mの公園があるんですが、それを美術館にしようと。

JK:いまあるのを壊すんですか?

安藤:いや、残したままで。グッチやサンローランを抱えるピノーさんがお金を出して、建物はパリ市と政府が共同で50年借りる、というのを作っているんですが、基本的には「思い切ってやろう」ということで・・・

出水:天井はドーム型になってるんですか?

安藤:そうそう。全部ガラス張り。

JK:いつできるんですか?

安藤:それがね・・・私は10年かかると思ってたんですが、向こうも観光客が減ってるんで頑張ろうというので、来年中にはできるらしいですよ! 2019年の春。まさかそんなにスピーディに動くとは思わなかった。

出水:新しい名所になりそうですね!

安藤:場所がいいからね。IPSの山中先生にパリで会ったときに、ポンピドゥ行ったことないって言うねん。学者ってそういうもんやなあ。研究ばっかりで。そしたら1か月前ぐらいに、「行ってきましたよ~! “安藤忠雄”と書いてある看板が出てるの、見てきました!」っていうて。面白いねえ、あの人。

JK:さあ、安藤さんのMASACA。いままでどんなMASACAがあったのか?

安藤:MASACAばっかりですよ! 私は大学行ってないのに、ある大学から教授になってくれって言うてきたんですよ。交渉する余地はあるのか、と聞いたら、「ない。ないけれども頼みます。だけど、博士論文は書いてもらわなあかん」。私は論文なんか書けない、だから設計事務所やってるんですよ、というたら、「心配ない、助手に書かせますから」と言うんですよ!インチキな先生やな~と思って、すぐ断ったんです。

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安藤:そしたら2年後に、また別の国立大学から、教授として大学に来てほしいと言われて。嫁と母親に相談したら「大阪におったらいいけれども、東京で、しかも公務員はイメージ悪いからやめておいてくれ」と言われました。なるほど、と思ったんですが、自分が勉強してなかったんで、優秀だと言われている学生と一緒にやりたいと思って、話を聞いてみたんです。公務員ですからね、悠長な給料はもらえませんから、給料はいくらですかと聞いたら、「そんなことを聞いた人はいない」と驚かれました。おかしいじゃないですか! 人を招聘したら給料いえ! ちゃんと経済を考えてくれ! と言ったら、それから3か月経って額面が出てきた。こんな安い給料じゃ私はできない、といったら、学会賞というのがあって、ひとつ獲るごとに70万ずつ上がっていくからこれだけの額になる、と言われましたが、それでもダメ。しかも外国の賞は該当しない。国際的な大学だと言うてるわりにはどうなんだ、と言ったら、結局それから2年半ぐらい経って、いくらいくらです、と連絡がきた。「これ以上は出ません」っていうから、なんでです?と聞いたら、「副学長の給料よりも上になってしまうから」。

出水:いまのMASACAだと、東大の給料がMASACAの安さだった、みたいな話になっちゃいますが(笑)

JK:お給料なんて聞く人もいないし。といったところがすごい!

安藤:「やっぱり大阪人ですね~」って言われたんですけど、大阪人でなくてもふつう聞くと思うんやけど・・・設計を頼みに来る人でも、「ぜひ、50坪ぐらい家を作りたい」「予算はいくらです?」「予算は・・・考えてないんだ」。予算がなかったら建てられへんやろ?たまにそういう人から電話がかかってくる。困るで~! 私が作っている家はほとんどが直接依頼です。

出水:へ~! 事務所に「安藤忠雄さんいらっしゃいますか?」って電話がかかってくるんですか?

安藤:前に、アルマーニから本社と劇場を作ってくれって言うてきた。事務所の人間が「アルマーニという人から電話がかかってますよ」っていうねん。そりゃきっとおかしなおっさんやろ、と思って。一週間後にまた電話が来て、「本人だと騒いでる」と言うから出たら、本人やった! いっぱい変わった人が出てくるねん。

出水:個人の住宅を建てることもあるんですね。

安藤:1年に1~2回ね。

JK:私の周りにも何人かいますよ。そりゃ住みにくいですよ!

安藤:そりゃ住むというのはね、住みにくいというけれども、本人にとって住みやすいかどうかが問題でしょ? コシノヒロコさんの家も住みにくいというけれども、暖房をキッチンに入れれば、ジュンコさんがいうほどそんな寒くない(笑)

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JK:これからの若い建築家にメッセージはありますか?

安藤:建築家に限らず、一般の社会の人たちも含めて・・・日本の国は世界でもまれにみる文化的な国であるな、と。春夏秋冬があって、そこに季節感を感じて、考えてみれば先のある国なんですけれどね、若者が元気がない。なんで元気がないかというと、親が子供を怖がってる。子供の天下じゃないですか。でも、時間がたったら親の面倒見てくれる子供はできませんよ。だから親は少々鬼になって子供を鍛えないと。そうしたらいい子供ができますよ。

JK:貧しい時代は苦労を知ってるけど、いまはもう潤ってるからね。なんでもあって。昔貧乏生活なんて、いまはもう聞かないもんね。やっぱり平和ボケですかね。

安藤:完全に平和ボケですよ。平和ボケでそのままいければいいですけれど、そうはいかない。これからどんどん攻められますよ。日本の国を大変だと思ってないところが、一番大変。このまま平和に行ってくれればいいけどね。

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=OA楽曲=
M1.  Desire / U2