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学校教育におけるアイヌ文化に関する講習会▼人権TODAY(9月9日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・『学校教育におけるアイヌ文化に関する講習会』

先日、中央区八重洲の「アイヌ文化交流センター」で行われた「学校教育におけるアイヌ文化に関する講習会」について報告します。これは公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構、通称・アイヌ文化財団が主催しているもので、小学校、中学校、高校などの教員を対象として行われています。

東京でも授業に使われている副読本「アイヌ民族・歴史と現在」

副読本

アイヌ文化財団は、平成12年に学校教育で学ばせる目的の、「アイヌ民族・歴史と現在」という副読本を作りました。小学生向け、中学生向けがあります。50ページほどで薄手の教科書のようなつくりになっていて、小学生向けの表紙は可愛いイラストが描かれています。

副読本は北海道では小学4年生、中学2年生のすべての生徒に配布され。北海道以外でも、生徒に配布している地域もあります。この副読本を学校でどう使うか実際に授業を行った例を報告して採用を検討している先生たちに参考にしてもらうのが、講習の目的です。

私が取材した講習会では、文京区立明化小学校の木村由貴先生の事例発表がありました。明化小学校では5年生の社会の時間を使って10時間、アイヌ文化の授業を行いました。アイヌ文化財団はそうした授業に、専門知識や技術を持っている人を派遣して指導や助言を行う「アドバイザー派遣事業」を行っています。

ゲストティーチャー・宇佐照代さん

宇佐さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日の講習会には、ゲストティーチャーとして授業に参加したアイヌ文化活動アドバイザーの宇佐照代さんも登壇し、教えた側から報告しました。宇佐さんはアイヌの民族衣装を着て参加したそうです。

宇佐照代さん
明化小学校の子たちは2週間にわたって木曜日と金曜日に、かなり時間を使っていただきました。アイヌ語、地名、関東圏に住んでるアイヌの人と北海道にいるアイヌの人の違いだったり、自分たちのお爺ちゃんお婆ちゃんから聞いた話だったり、今もある差別の話、身近にあるアイヌ文化、意外と触れてるんだよってことを話し、他には楽器を一緒にやったり歌ったり踊ったりしました。

宇佐さんは10歳から東京で暮らしているアイヌ民族で、アイヌ音楽のバンド活動や伝承活動、新宿区でアイヌ料理のお店も経営しています。アイヌ民族は北海道在住のイメージがありますが実は本州や首都圏で暮らしているアイヌの人々も多くいます。明化小学校で行われたアイヌ文化の授業では、前半は副読本や宇佐さんの語りなどから独特の文化があることを気づかせ、後半は生徒自身がインターネットなどでアイヌ文化を調べ、新聞を作って発表し、最後に、これまで学んだ内容から考えたこと、自分ができることを話しあったと報告されました。

明化小学校でアイヌ文化の授業を行った木村先生と宇佐さん
(木村先生)アイヌについて最初に知っていた子はほぼゼロでした。それが学習していく中で自分たちが知らない文化にも素晴らしいものがあるんだ、アイヌの文化はいいなと感じてくれたのが良かったかなと思っています。
(宇佐さん)見たことないものだったり、模様とかを見て「かっこいい」と思ってもらえるのが良かったなと思うし、少数である私たちが自分たちの文化伝承をしていて、少数だから大切なんだなって思えました。

この講習会は平成15年から北海道、東京で毎年開催され、他の地域でも随時行われ年5回程度、150人から200人、多い年は300人以上が参加しています。今回の講習会は首都圏の小中高の先生、約40名が参加していました。関東地区でのアイヌ文化に関する学校の授業も年々増えており、アドバイザーの宇佐さんもひと月に何回もゲストティーチャーをしているそうです。

講習会に来た墨田区の小学校教師
夏休みの研修として、墨田区の小学校から研修でまいりました。多文化、多様性を尊重する、マイノリティである人たちのおかれた立場を歴史から知っていく。で、今どのように活動がなされているか知っていくことが、どの授業にしても展開できるんじゃないかと思ってます。大人になって成長した時にアイヌを詳しく勉強したという経験は、大きくなってから思い出にも残ると思いますし、今の北海道を、日本の文化を見る目が変わってくると思うんですよ。だから授業で扱うのはすごく大事なことだなと思いました。

また、私が取材した日の講習会で講話をされた岡田路明先生はアイヌ文化の授業の意義を「豊かな未来を築くもとになるのでは」と話しています。

岡田路明・苫小牧駒澤大学教授
この日本は世界のグローバル化の中にあって、たくさんの人が、たくさんの地域から人が入ってきている、その中で、小学校中学校、凝り固まった考え方になっていない時期に、違った文化があるんだ、ということを理解する資質を、学校で身につけるべきだろう。アイヌ文化も日本国内にあるんだと教えていけば、大きくなった時に抵抗感なく違った文化があると理解できるんじゃないかと。それこそが豊かな未来を築くもとになるんじゃないかと思います。

この副読本「アイヌ民族・歴史と現在」は学校授業用には無料で配布されていますので、希望される方はアイヌ文化財団にお問い合わせください。今回取材した講習会は参加資格が学校教員に限られますが、アイヌ文化財団は一般の方が参加できるいろいろな講座やイベントを開催していますので、興味のある方はアイヌ文化財団ホームページでイベント情報をご確認下さい。ホームページにはアイヌの歴史や人々、文化に関する情報も掲載されています。

http://www.frpac.or.jp/

(担当:藤木TDC)