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値札もレジもないスーパーが登場!日本のフードロスの背景には思いもよらない事情がある?

森本毅郎 スタンバイ!

まだ食べられるのに廃棄されてしまうという「食品ロス」の問題が深刻ですが、一方で、その対策も兼ねて、「フードバンク」が全国的に拡がりを見せています。9月14日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。

日本でも深刻な食品ロスの問題を受けて、先日、画期的なスーパーマーケットが登場しました。NPO法人シェア・マインドの松本靖子さんのお話です。

★「無料スーパー」登場!値札もなし!レジもなし!

NPO法人シェア・マインド 松本靖子さん
値札もレジもなし、『全て商品が0円』というスーパーです。9月3日(日)が初回だったんですが、これは『フードバンク』活動をより広くたくさんの方に知っていただくために開いたものです。その時に置いた食品が、お米や乾麺・レトルト食品・缶詰・ふりかけ・調味料ですとか、直前に農家さんから寄せられたジャガイモや、お家で持て余されている桃などです。お客さんたちは、どれが一番欲しいか真剣に選んでいて、『これ本当に持っていってもいいの?』とをおっしゃっていました。その様子が楽しそうだったので、このようなイベントができてよかったと思いました。
森本毅郎スタンバイ!

「フードバンク」の食品・食材の流れ(「農林水産省」ホームページより)

そもそも「フードバンク」とは、企業や家で余らせている食品をNPO法人などの専門団体が預り、食品を必要としている人に届ける活動です。食べるのに困っている高齢者やホームレス支援団体などに無料で食料を提供するのが一般的ですが、今回対象となったのは一般の方。

森本毅郎スタンバイ!

「NPO法人シェア・マインド」の松本さんに、寄付された食品の一部を見せていただきました(食品倉庫にて)

森本毅郎スタンバイ!

このコンテナ以外にも食品がどっさり。個人の方や企業から寄付されたもので、もちろん、全て賞味期限内

寄付された食品を「陳列」して持っていってもらう、という形式をとったところ大盛況だったそうで、「1人7点まで」という制限を設けたものの、開店からわずか30分で商品が無くなる程の人気だったそうです。

※9月3日の初回は、多摩市鶴牧1丁目のカフェ「WithCo」で開かれました。当面は、月1回の開催を予定していて(毎月第一日曜日)、いずれは常設店舗の設営を目指しているとのことです。

★日本の食品ロスは、年間621万トン

「食品ロス」の問題や「フードバンク活動」に少しでも感心を持ってもらうため、無料スーパーを開催したということでしたが…、実際のところ、日本の食品ロスの現状はどのようになっているのか。セカンドハーベストジャパン・マネージャーの田中入馬さんに伺いました。

セカンドハーベストジャパン マネージャー 田中入馬さん
いま、年間621万トンの食品ロス(食べられるけど捨てられてる食品)が出ていると言われている(2014年度推計)アフリカなどの貧しい国への、世界全体の食糧支援が300万トンと言われている中、日本はその倍を廃棄しているということになる。先進国の中でも多いと言われています。

一年で廃棄される食品ロスの量「621万トン」とは、「国民全員が毎日、お茶碗一杯分のご飯を捨てている」計算になります。日本では、賞味期限が余裕を持って付けられているので、それも要因の一つということです。

★「防災食品」の廃棄量はカウントされていない

ただ、この計算方法にはちょっとした落とし穴があるようなんです。再び、セカンドハーベストジャパンの田中さんのお話です。

セカンドハーベストジャパン マネージャー 田中入馬さん
先ほどお伝えした621万トンという中に、防災食品の備蓄品は含まれていないんです。防災備蓄品は行政だとか一般的な企業や学校がたくさん抱えているものですが、それは今カウントしていない。特に東日本大震災以降は備蓄するところ増えてきていますし、企業の数とか人口を考えると、相当量が備蓄されているはず。そういった食品は災害がなければ使われないし、中には職員に配って持って帰ってもらうところもあるが、防災備蓄品ということで捌ききれなかった。そういったことで廃棄してしまうところは多いと伺っています。

防災備蓄品も入れるとかなりの廃棄量になり、実際には「潜在的な食品ロス」が発生しているということです。ちなみに、昨年の毎日新聞の調査では、「過去5年で全備蓄食品の1/4の量が廃棄されていた」というデータも出ています。

そんな中、例えば東京都では、今年6月に賞味期限の迫った防災備蓄食品を都民に無料配布するなど、自治体単位でも動き始めています。しかし普段食べ慣れない食品なので、自治体や企業によっては配布仕切れないという現状もあるようです…。

★食べ慣れた食品を「短いサイクル」で回す団体も

災害時の食料供給にも力を入れている、NPO法人「フードバンクかごしま」代表理事・原田一世さんは、備蓄品のあり方に徐々に現れている「変化」について教えてくれました。

NPO法人フードバンクかごしま 代表理事 原田一世さん
私たち『フードバンクかごしま』を知った鹿児島の金融機関は、あえて、従業員の方が普段食べ慣れている缶詰やカップラーメンをそろえて、賞味期限が1年しかないとわかっていても、どんどん入れ替えていっています。賞味期限が間近になったら『フードバンクかごしま』に寄付をして、普段従業員が食べ慣れているものを備蓄するというスタイルも増えています。

東日本大震災以降、フードバンクの存在を企業が認知してきたことで、「フードバンクかごしま」にも、防災備蓄品に限らず寄付が増えてきているということです。また、賞味期限が間近で企業が廃棄するときも、食べ慣れているものであれば捌けやすい、というメリットを感じている団体も出てきていると仰っていました。

★食品の寄付と同時に、使い道も考えて

最後に、原田さんはある問題について指摘しています。

NPO法人フードバンクかごしま 代表理事 原田一世さん
基本的には、食べ慣れていないカンパンやアルファ米、保存水などを、『捨てるよりは』ということで企業がフードバンクに寄付する、というのは、一つの流れとしては有効かと思う。ただ、我々も受け取った食べ物を誰に食べさせるのかを考えると、例えば僕らだとホームレスの支援団体に寄付したり、児童擁護施設に提供したりする際に、『果たしてカンパンとかが必ず必要なのか』という問題も出てくる。『フードバンクかごしま』の私個人の考えで言うと、私たちは“都合のいいゴミ箱”ではないので、僕らは預かるだけでなくて配る役割も担ってますから、『一緒に使い道を考えていく。有効的に使えるかどうかを企業と一緒に考えていく』というのが、一つの方法なんじゃないかと考えています。

これはあくまでも原田さん個人の考えと仰っていましたが、食品を寄付すると共に、食品の使い道についても一緒に考えていくことが、今後の課題ということでした。

田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!