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「すい炎」急性と慢性、それぞれの特徴と対応

森本毅郎 スタンバイ!

肝臓では肝炎が起こるように、膵臓では「すい炎」が起きます。すい炎には「急性すい炎」と「慢性すい炎」がありますが、急性すい炎では、対応が遅れると、命の危険性もあり、迅速な対応が重要です。一方、慢性すい炎では、近年患者さんの数が増加傾向に・・・それぞれの特徴と対応について9月18日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★急性と慢性で何が違う?

まずは、すい炎について、急性と慢性の違いについて。急性すい炎は、何らかの原因で、消化酵素を含むすい液が、すい臓内で活性化して、すい臓自体を溶かしてしまう自己消化が起こり、突然炎症が起こる病気です。一方、慢性すい炎は、自己消化が突然ではなく、長い時間をかけてゆっくり起こる病気です。

★急性の特徴

では、急性と慢性、それぞれの注意点などをみていきますが、まずは急性すい炎の方です。急性すい炎を発症する患者さんの数は、年間およそ6万人。男女比は2対1で男性に多く、年代的には、男性は50代、女性は70代が最も多いです。急性すい炎の怖いのは、ある時、突然発症し、強烈な痛みの症状をもたらすことです。痛みの場所は、お腹や、背中、暴飲暴食の後、数時間から半日で起こることが多いようです。

★重症の患者がよくする姿勢

症状は軽いものから重症までありますが、重症で救急搬送時、よくみられる姿勢があります。それは、胸と膝をくっつけて座り込んだ姿勢です。すい臓のある場所が関係していて、すい臓は胃の裏側、背中にくっつくようにしてあります。すい臓に異常があると、背中を伸ばすと痛みが強くなるので、痛みを少なくしようと、自然とその姿勢になっているのです。重症の急性すい炎では、大体5人に1人が亡くなっています。患者さんが胸と膝をくっつけて座り込む姿勢になっている場合、重症の可能性もあるので、救急搬送による、迅速な対応が必要となります。

★血液検査をするわけは?

搬送後、すい炎かどうか見分けるために、搬送先でまず行うのが血液検査です。どうして、血液検査かというと、すい臓のすい液は、炭水化物を分解する「アミラーゼ」などの、食べ物を消化するための、消化酵素をいくつか含みます。本来そうした消化酵素は、膵臓内では活性化=機能しないのですが、急性すい炎の場合、膵臓の中で活性化し、血液中に漏れ出してしまっています。ひどいと、活性化し漏れ出した消化酵素がすい臓自体や周りの組織を溶かしてしまいます。患者さんが、急性膵炎であれば、血液に、異常な数値が現れるので、見分けられます。

★原因は?

あとはCTの画像で、すい臓が腫れていないかどうかなどを調べ、診断します。すい炎を発症する仕組みは、まだはっきりとはわかっていないところもあり、特発性=原因不明、の場合も少なくないのですが、ただ男性では「アルコール」、女性では「胆石」が、最も多い原因です。患者さんが、お酒をよく飲む人であれば、原因はアルコールが疑われます。

男性ではおよそ45パーセントを占めています。ビールに換算して中ビン2本程度でも発症する可能性があります。それだけで発症する危険性は、3,1倍に高まり、量が増える程発症しやすくなります。胆石が原因となるのはどうしてかというと、胆のうにできる胆石が、胆管に落ちて、胆管の出口に詰まると急性すい炎が起こります。というのも、胆管の出口と、すい管の出口は、同じなので、すい液がせき止められます。

★治療は即入院!で絶食と点滴

症状の重さや原因によって、対応は違ってきますが、即入院して治療を開始するのは同じ。軽症の場合は、一週間程度の治療で治りますが、治療の第一は「絶食」です。食事や飲み物を絶つことで、すい液を分泌させないようにします。そして急性すい炎になると、血管がスカスカになり血液中の水分が外に漏れてしまいます。そうしたことから水分を補うため、点滴で水分を補います。なお、アルコールが原因の場合は、禁酒/胆石が原因の場合は、内視鏡で胆石を摘出します。一方、重症の場合はICU=集中治療室に入り、ひと月以上の入院が必要になってきます。中には、炎症などで、組織が腐って、すい臓の周りにたまっていることがあります。感染症を防ぐために、以前は開腹手術を行い、3か月程度入院となっていました。それが今は、内視鏡を挿入して取り除きます。入院は3週間程度です。

★慢性は急性の延長ではない?

多くの人は、急性すい炎を繰り返すうちに、慢性膵炎になると思っています。実際はそうではなく、急性すい炎は1回発症して、治ると8割以上の人は、再発しません。慢性すい炎は、ダラダラと、すい臓に炎症が続いていて、少しずつ、すい臓が萎縮して機能が低下していく病気です。慢性すい炎と診断される人は、年間およそ2万人おり、増加傾向にあります。

★慢性の原因は?

慢性すい炎の原因は、男性ではおよそ4人に3人が、アルコールで、その他は原因不明。一方、女性では、3割がアルコールですが、およそ半数が、原因を特定できていません。慢性すい炎でわかっている原因はアルコール。それ以外は、原因不明なんですね。現状では、アルコールを摂りすぎないこと。それと同時に、原因がわからないことも多いので、異変を感じたら、早めに病院へ。よく、お腹の上の部分や背中に痛みがあったとしても、翌朝には問題がなくなっていると、「胃がちょっと悪かったかな」と済ませてしまいます。そうした異変を感じたら、やはりきちっと消化器内科を受診してほしいです。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170918080000

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