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ギャルのカリスマから本格派シンガーへ〜安室奈美恵のターニングポイントはここだった!

ジェーン・スー 生活は踊る

引退を発表した安室奈美恵さんの音楽的ターニングポイントを音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんが解説。

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高橋芳朗のミュージックプレゼント 安室奈美恵特集http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170922112243

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

※以下、番組内容書き起こし by みやーん(文字起こし職人)

【高橋芳朗】
本日は安室奈美恵さんの引退発表を受けてこんな企画でいってみようと思います。「ギャルのカリスマから本格派シンガーへ〜安室奈美恵のターニングポイントはここだった!」

【ジェーン・スー】
おー!

【高橋芳朗】
いまBGMとして流れているのは、安室奈美恵さんの最新アルバム、2015年にリリースされた『_genic』収録の「Birthday」です。安室さんは今週20日が誕生日だったんですよね。

【ジェーン・スー】
なるほど。

【高橋芳朗】
そしてその誕生日当日、安室さんの引退発表がありました。安室奈美恵さんというと、いまでは欧米のダンスミュージックの流行を積極的に取り入れた本格派シンガーのイメージが強いと思うんですけど、今日はスーパーモンキーズ時代、小室哲哉さんプロデュース時代を経て、現在に至る安室さん方向性を決定づけたターニングポイントを当時の洋楽のヒット曲を交えながら振り返ってみたいと思います。

【ジェーン・スー】
はい。

【高橋芳朗】
安室奈美恵さんの音楽的な転機となったポイント、いくつか挙げられると思うんですけど、個人的には1996年3月リリースのシングル「Don’t wanna cry」が最初の大きな分岐点になると考えています。安室さんは当時19歳でした。「Don’t wanna cry」で大きな方向転換があったことは、この前のシングル、1995年12月リリースの「Chase the Chance」と聴き比べてみればよくわかると思います。「Chase the Chance」、いまうしろでかかってますね。

【ジェーン・スー】
これはユーロビートって感じだもんね。

【高橋芳朗】
うん、スーパーモンキーズ時代の流れを汲んだサウンドになってる。じゃあ、これを踏まえて「Don’t wanna cry」を聴いてもらいましょう。

M1 Don’t wanna cry / 安室奈美恵

【高橋芳朗】
「Chase the Chance」との違いとしては、もう明確にテンポが落ちている。そしてファンキーになっているというか、ブラック・ミュージック度が増しているのがよくわかると思います。

【ジェーン・スー】
当時の時代っていうのもありますけどね。

【高橋芳朗】
そうですね。あとこれは音楽的な話とは別なんですけど、ずっとバックダンサーを務めていたスーパーモンキーズが離れたのもこの「Don’t wanna cry」からなんですよ。きっとそれまでのイメージを払拭しようという意図があったんじゃないかと。

【ジェーン・スー】
そうだったんですね。

【高橋芳朗】
ただ、こういうブラックミュージック志向、曲のテンポが落ちていった傾向は安室さんの作品に限ったことではなくて、1990年代半ばあたりから世界的にそういう流れになっていたんです。たとえば、マドンナの1994年リリースのアルバム『Bedtime Stories』はそれまでのダンスミュージック路線からぐっとブラックミュージック寄りになってるんですよね。90年代半ばごろから、明らかに潮目が変わってきている。

【ジェーン・スー】
いろんなアーティストがブラックミュージック的なアプローチをして、悲喜こもごもの結果を出した時代ではありますよね。

【高橋芳朗】
そうそう。で、なぜこういう事態になっていたかというと、それはやはりヒップホップの台頭によるところが大きいわけです。厳密には、ヒップホップとその影響を受けたR&Bの台頭、という感じですかね。ヒップホップとその影響を受けた音楽がポップスの主流になってきたと。

【ジェーン・スー】
「ヒップホップ・ソウル」なんて言われてましよね。

【高橋芳朗】
そうですね。で、実際に安室さんは1995年の暮れ、「Chase the Chance」リリース後にプロデューサーの小室哲哉さんと今後の方向性について話し合ったみたいですね。そこで具体的にどんなことが話されたかはわかりませんけど、その内容は容易に想像がつくかと思います。「もうこの音じゃない! 時代はヒップホップでありR&Bなんだ!」ということだったと思うんですよ。

【ジェーン・スー】
うんうん。

【高橋芳朗】
で、こういう当時のポップミュージックの方向性を決定づけたのがアトランタ出身の女の子3人からなるR&Bグループ、TLCであり、彼女たちが1994年10月にリリースしたセカンドアルバム『Crazysexycool』であると。90年代最も影響力をもったアルバムの一枚といっていいと思います。

【ジェーン・スー】
そうですね。ちょうど先週も聴いてました。

【高橋芳朗】
なにかノスタルジーに浸りたいようなことがあった?

【ジェーン・スー】
そうですね。「Creep」したくなったんです。

【高橋芳朗】
フフフフフ……じゃあその曲を聴いてみましょうか。のちのポップミュージックの方向性や在り方を変えた曲ですね。

M2 Creep / TLC

【ジェーン・スー】
名曲ですね。

【高橋芳朗】
TLCは1992年にデビューしたんですけど、そのころはもっと賑やかなサウンドだったんです。

【ジェーン・スー】
おもちゃ箱をひっくり返したようなね。

【高橋芳朗】
「Creep」がリリースされた当時のことって覚えてる?

【ジェーン・スー】
覚えてますよ。だってメンバーのT・ボズと同じ髪型にしたくて、彼女の写真を持って美容院に行ったぐらい。

【高橋芳朗】
フフフフフ……僕がしたいのは音楽的な話なんですけどね。「Creep」を初めて聴いたとき、テンポの遅さとサウンドの地味さに驚いた記憶があります。

【ジェーン・スー】
あと、女性シンガーが歌う曲にしてはキーがすごく低いんですよね。。張り上げて歌うようなところがひとつもない。

【高橋芳朗】
そのボーカルスタイルはジャネット・ジャクソンが「If」で取り入れていましたよね。TLCは佇まいこそキュートでポップだけど、やってる音楽自体はめちゃくちゃ先鋭的だったんです。

【ジェーン・スー】
うんうん。

【高橋芳朗】
安室奈美恵さんに話を戻すと、彼女は「Don’t wanna cry」以降徐々にR&B色を強めていくことになるわけなんですけど、そういうなかでこのTLCの影響も確実に受けていると思います。というのも、安室さんは1999年9月にいま聴いてもらったTLCの「Creep」を手掛けたダラス・オースティンをプロデューサーに迎えてシングル「SOMETHING ‘BOUT THE KISS」をリリースしてるんです。

【ジェーン・スー】
あー、やってたやってた! 新聞にも載ってたもん。あのころ、日本のレコード会社はまだお金があったんですよ。

【高橋芳朗】
確かに。ダラス・オースティンは当時アメリカのR&Bシーンきっての売れっ子だったから、ギャラは相当高かったと思います。

【ジェーン・スー】
海外の有名プロデューサーを使うの流行ってたんだよね。

【高橋芳朗】
うん。だから、ここで一旦TK体制が途切れてるわけなんですよ。安室さんがこの2年後の2001年に小室哲哉さんのパートナーシップを解消して、さらにR&B/ヒップホップ路線を推し進めていくことを考えると、やっぱりR&Bの要素を最初に取り入れた「Don’t wanna cry」、そしてTLCのプロデューサーであるダラス・オースティンを起用した「SOMETHING ‘BOUT THE KISS」に至る流れが現在の安室奈美恵さんのスタイルの布石になっていると思うんですよね。

M3 SOMETHING ‘BOUT THE KISS / 安室奈美恵

【高橋芳朗】
安室奈美恵さんとTLCの関係性ということでは、TLCのメンバーのチリが当時この「SOMETHING ‘BOUT THE KISS」を手掛けたダラス・オースティンと付き合っていたことから交流が生まれて、2013年にTLCが結成20周年を迎えたときには「TLC with Namie Amuro」の名義でTLCのヒット曲「Waterfalls」のニューバージョンをリリースしています。

【ジェーン・スー】
うんうん。

【高橋芳朗】
では、最後にまとめとして再びTLCの曲をご紹介したいと思います。安室奈美恵さんの「SOMETHING ‘BOUT THE KISS」よりひと足先、1999年2月にリリースされたアルバム『Fanmail』から、これも全米1位になった「No Scrubs」です。

【ジェーン・スー】
名曲!

【高橋芳朗】
TLCがのちの音楽シーンに及ぼした影響は本当にすさまじいものがあるんですよ。いまのアメリカのポップミュージックでは、ただ売れているだけじゃダメ、売れてなおかつ先鋭的であること、トレンドセッターであることを美徳とするような風潮が完全に定着しているんですけど、そういう流れをつくったのがTLCだったんじゃないかと思います。

【ジェーン・スー】
ものすごくわかります。体感として非常にわかります。とにかく新しかったんですよ、TLCみたいなことはほかに誰もやったことがなかった。

【高橋芳朗】
うん。だからもしかしたら、安室奈美恵さんがTLCから最も影響を受けた部分は彼女たちのそういうイズムなのかもしれないですね。売れて、なおかつ最先端の音楽をやっている者こそが最強なんだ、と。安室さんのR&B路線以降の攻めた作品からはそういう美意識を感じるんですよ。

【ジェーン・スー】
なるほど。

【高橋芳朗】
では、まさにトレンドセッターとしてポップミュージックを引っ張っていたころのTLCのヒット曲を聴いてみましょう。

M4 No Scrubs / TLC

【高橋芳朗】
ジェーン・スーさん、思わず立ち上がって踊っていました。

【ジェーン・スー】
踊って歌っていました。

【高橋芳朗】
というわけで、TLCが音楽のモードを変えて安室さんがそういう流れに敏感に反応を示して、そんななかで自分の音楽スタイルを築いていったという話でした。このTLCの「Fanmail」がリリースされたころのことはめちゃくちゃ覚えているんですけど、SHIBUYA 109の正面の筒状の部分、あそこの壁面広告として『Fanmail』のジャケットがバーンと貼り出されたんですよね。そのとき、いよいよ時代が変わるっmだなってしみじみ感じた思い出があります。

【ジェーン・スー】
この年のハロウィン、TLCのコスプレをやりました……黒歴史!

【高橋芳朗】
フフフフフ……まあ、いまにつながるポップ・ミュージックのパラダイムシフトが起こった時期だったのはまちがいないでしょうね。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア(稀にかかる邦楽はディレクター選曲)。最新1週間のリストは以下です。

9/18(月)

(11:04) Africa / TOTO
(11:43) Gypsy / Fleetwood Mac
(12:23) Somebody’s Baby / Jackson Browne
(12:50) Valerie / Steve Winwood

 9/19(火)

(11:03) Blue jean / David Bowie
(11:17) I won’t let the sun go down on me / Nik Kershaw
(11:43) Overkill / Men At Work
(12:16) Our house / Madness
(12:50) I want to break free / Queen

 9/20(水)

(11:04) (Your Love Keeps Lifting Me) Higher and Higher / Jackie Wilson
(12:15) I Second That Emotion / Smokey Robinson & The Miracles
(12:24) Love Makes a Woman / Barbara Acklin
(12:50) If I Could Build My Whole World Around You 〜君との愛に生きて〜 / Marvin Gaye & Tammi Terrell

9/21(木)

(11:03) Only Love Is Real / Carole King
(12:15) I Wanna Stay With You / Gallagher & Lyle
(12:43) Mixed-Up Guy / Jimmy Webb
(12:17) Never Let Her Slip Away / Andrew Gold

9/22(金)

(11:03) Tripping Out / Curtis Mayfield
(11:15) Say You Will / The Isley Brothers
(12:13) Give it Up / Bobby Womack
(12:51) Inside Your Love / Leon Ware