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感染症のリスク解消!?新型の「リードレス心臓ペースメーカー」とは?

森本毅郎 スタンバイ!

ペースメーカーは、心臓の働きがうまくいかなくなった人が対象の医療機器ですが、今までは、ペースメーカー本体と、リード(電線)を身体に植え込む必要がありました。そこに先月登場したのが、リード線のないペースメーカー。患者さんの負担軽減や、合併症などの課題の解消も予想されます。どんなペースメーカーか?10月2日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★そもそも必要な人は?

心臓は大きな筋肉の塊で、正常な人では1日10万回収縮して、酸素や栄養を含んだ血液を、全身に送り出すポンプの役割を担っています。その収縮=脈を生み出すのが、心臓の中にある洞結節(どうけっせつ)という場所です。洞結節は、心臓の右側、右心房の上の方にあり、微弱な電気刺激を発信し、心臓を動かす命令を出します。正常な人であれば、1分間に60~100回、規則正しく心臓に刺激を伝えます。この洞結節そのものがうまく機能しなくなるか、刺激が心房から、心室までで、うまく伝わらない場合、心臓の働きが不規則になります。

★徐脈で心不全が疑われると?

そうしたことが原因で、脈が遅くなったり、間隔が長くなる不整脈の徐脈が起きます。徐脈になると、息切れ、だるさ、足のむくみ、めまいの症状が現れます。ひどい場合は、失神、心不全、突然死を招きます。すぐに命に関わらない人が大半ですが、1分間の脈拍数が40回以下になり、心不全が疑われる場合は、ペースメーカーが治療の選択肢に入ってきます。ちなみに世界で年間100万人がペースメーカーを植え込んでいます。日本では、6万人。そして、異物を体内に植え込むことから、8人に1人が、何らかの合併症があります。

★ポケットで感染症

大多数が、医療機器を体に植え込むときに必要な「ポケット」に関連するものです。ポケットを説明するうえで、従来のペースメーカーの形状を少し説明します。従来のペースメーカーは、主に本体とリード(電線)、先端の電極からなります。本体は、金属製で電気回路と電池が、内臓されていて、縦横の大きさは、5センチほど。重さは、およそ20グラム=百円玉4枚ぐらいの重さです。その本体を、左右どちらかの鎖骨の下側あたりの皮膚の下に植え込むために体のどこかにそのスペースを用意しないといけないですが、それが「ポケット」です。ポケットの合併症の中で大きな問題が、感染症です。皮膚を4~5センチ切って入れますが、術後5年間で11%ほどがそうした合併症に。また本体から血管を通して右心室に送り込むリード線についても、合併症が起きる人は、術後5年間で8%を超えます。

★リードレスペースメーカーの特徴

そんな課題の解決が予想されるのが、今回登場した新型のリードレスペースメーカーです。先月1日から日本で使えるようになったもので、保険も適用されます。簡単にどんなものかというと・・・リード=電線がなく=電源や電気回路も内臓されている、小さなカプセル型の機器です。まず特徴は、従来と比べ、とにかく小さい。直径7ミリの筒状のカプセル型で、長さは2・6センチほど(百円玉の直径と同じくらい)そして重さは、従来のものは、百円玉4枚くらいでしたが、リードレスペースメーカーは、およそ2グラム=1円玉2枚くらいの重さ。新型のペースメーカーの体積は、従来のモノに比べ、10分の1以下になりました。

★心臓に直接フックで固定

新型のペースメーカーは、鎖骨の下ではなく、心臓の右心室に、直接入れ固定します。足の付け根から、カテーテルを使って、直接心臓の右心室に送り込みます。また、1日10万回動く心臓の中で、しっかり固定するのが実は難しい部分です。どうやって固定するのかというと、新型のペースメーカーには、4つの釣り針みたいなフックがついています。そのフックを心臓の壁=筋肉にひっかけ、心臓内にとどまらせることができます。糸を引いてしっかり固定されているかどうか、強度のチェックもします。

★断線の恐れがない。

リードがないことで、植え込み後の、感染症以外の課題解決も、予想されます。例えば、患者さんはなるべく運動をして、と言われるが・・・同じ運動を繰り返す、筋トレやゴルフは同じ部分に負担がかかるので、リードが断線する恐れがあった。そうした課題も新型のペースメーカーで解消されます。

★1度入れたら取り出さない

従来のペースメーカーより長持ちします。従来は10年程で、植え込みの本体ごと交換していましたが、新型は12年くらいもちます。ただ心臓内にとどまったペースメーカーですが、一度入れたら、二度と取り出しません。心臓を切り開いて取り出すとなると、それこそ感染症の恐れも出てくるためです。小さいものなので、現時点では、あと2つ、リードレスペースメーカーが入れられます。つまり、12年のものが3回で、36年間はペースメーカーは、もちます。高齢になってからペースメーカーが必要になった人は、生涯リードレスで大丈夫です。一方、現時点では、ペースメーカーが必要なお子さんなどは対象外ですが、これまでの、ペースメーカーの進化を考えると、今2・6センチのものが、12年後には、1センチほどの小ささになっていると思います。

★対象ではないケースもあります。

ただ、今回の新型のペースメーカーですが、現時点では、ペースメーカーが必要な人の、すべてが対象ではありません。不整脈の徐脈には、様々なタイプがあります。直接フックで取り付け、1か所に働きかけることから、心房・心室いずれも、問題があるような人は、従来型のペースメーカーを使う必要があります。ご自身の症状に合わせて、お医者さんに相談をしてみてください。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171002080000

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