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伝統の「木桶仕込み醤油」を守る!若手職人の挑戦

森本毅郎 スタンバイ!

10月1日は「醤油の日」。昔ながらの醤油造りではこの時期に醤油の原料となる大豆を収穫して仕込んでいたことに由来します。10月3日(火)は、レポーター中矢邦子がTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で『老舗醤油屋さんの「木桶」を使った醤油造り』について取材報告しました。

★50年ぶり!職人の手で木桶を新調

埼玉県の小江戸・川越に店舗を構える笛木醤油。その若き社長、笛木正司さん(37歳)は、醤油造りの伝統を守るための新たな取り組みを始めています。

笛木醤油社長 笛木正司さん
笛木醤油は、1789年創業で、今年で228年目。私で12代目になります。昔ながらの木桶仕込みの醤油を残したいと思ってて、なおかつ木桶を作る職人さんも全国的に非常に数が少なくなっている中で、木桶職人さんも育てながら、木桶仕込みを未来に残していきたいと思って、今取り組みを行ってます。昨年約50年ぶりに新桶を新調して、今年も桶を作りました。
自然の環境で醤油造りを行う「麹室」38の木桶がぎっしり!

自然環境で醤油造りを行う「麹室」38の木桶がぎっしり!

今、醤油はステンレスやコンクリートのタンクで造るケースがほとんどで、昔ながらの木の桶で作る醤油屋さんは少ないです(埼玉県内でも10店舗くらい)そんな中笛木醤油には38個、木の桶があるのですが、150年も前から使われているものなんです。桶の寿命は100年といわれる中、社員の皆さん自ら修繕しながら使ってきましたが、いつかは限界が来ます。しかもこの桶がものすごく大きいんです。直径2.7m、深さ2.2m。およそ9000ℓのもろみが入る大きさで、そう簡単に作れるものではありません。

醤油の原料「もろみ」をかき混ぜる笛木さん。かなり体力を使います。

醤油の原料「もろみ」をかき混ぜる笛木さん。かなり体力を使います。

そんな中、木桶を作る職人さんの減少…今全国で60人位しかいなくて、高齢化も進んでいるため、このままだと桶の技術が途絶えてしまいます。そこで笛木醤油では若手の桶職人を呼び寄せ、去年と今年の9月に、まず少し小さめの新しい桶を作り、ゆくゆくは今ある38の木桶を全て新調したいということです。

★2年間の熟成でまろやかで芳醇な味に!

ところで、木の樽で作ったこだわりの醤油、どんな味なのか?笛木醤油の商品「金笛醤油」を使ったメニューを出している直営のうどん屋さん「うんとん処 春夏秋冬」の店長、村田梨華さんに聞きました

「うんとん処 春夏秋冬」店長、村田梨華さん
うんとん処春夏秋冬では、醤油の味をうどんのつゆで味わって頂くために、すべてのメニューで金笛醤油でベースになっています。一番人気のメニューは具沢山のかきあげがついたおうどん。あとは金笛醤油でじっくり煮込んだ豚の角煮がついたうどんも人気です。色はほかのお醤油より濃いんですけども、塩の強みが無くて、コクがあってとってもまろやかです。

今主流のステンレスやコンクリートのタンクで作る醤油は温度調整が可能なので半年位で出来ますが、木の桶で作る醤油は、完全な自然発酵で2年も寝かせてじっくり作るのでまろやかな味になります。

店頭やインターネットで購入できる「金笛醤油」減塩タイプもあります

店頭やインターネットで購入できる「金笛醤油」減塩タイプもあります

★木桶職人は「正直」ができて一人前!

さて、金笛醤油の味を守るために重要なのが、桶の職人さん。今回笛木醤油の桶を作ったのは全国から集まった4人の精鋭です。皆さんとても若く、最年少は25歳!桶づくりにどんなこだわりがあるのか、徳島県で桶と樽の職人をしている、33歳の原田啓司さんに伺いました。

司製樽 原田啓司さん
まず材木の性質を見抜くという所に一番心を砕きます。ものすごく個体差があるものなので、こういう木を使っていると50年後100年後こうなるんだっていうのを自分の中に経験として貯めて、材料買うときに「これはこういう所に使おう」としていく作業。あとは、何枚かの板を貼り合わせて作るものなので、1枚1枚の板に、光が漏れるか漏れないか位の角度をつけていく作業。それを先人たちが「正直」という名前の作業にしているくらい、形にしたときに正直に出てきてしまうので、本当に神経を使います、6年は最低修業期間必要じゃないかなと思います。

「正直」の作業をする専用の鉋「正直台」で、板の側面を削る。これが上手くいかないと板と板がピッタリくっつかないので、これができて一人前。そんな原田さんは21歳の時、たまたま桶と樽を作る会社の求人を見てこの世界に飛び込み、当時70代半ばのお師匠さんから指導を受けて独立。今はその技術をさらに受け継いでいくために、33歳の埼玉出身の女性を弟子にとり育成中。今後は、47都道府県すべてから弟子をとることが目標だと言っていました。

原田さん達が今年作った木桶

原田さん達が今年作った木桶

★12代目「吉五郎」襲名に向けて

さて若い桶職人が奮闘する中、笛木醤油の笛木社長も原田さん達が作ってくれた新しい樽で、ある挑戦をしようとしています。

笛木醤油社長 笛木正司さん
実は、新しい新桶で来年の9月にお醤油ができたら「12代目吉五郎作」という形で、笛木家は代々吉五郎という名前を襲名していたので、社長になることじゃなくて、自分が納得のいく、丹精込めてお醤油ができたら襲名できると聞いていたので。非常にプレッシャーもあって、吉五郎を襲名することが、自分にとっての新しいスタート。代々受け継がれてきた思いを僕で途絶えさせる訳にいかない、それをちゃんと13代目につなげるのが僕の役割だと思ってるので、しっかり守りたいと思ってます

原田さんはまず、来年作られる醤油で評価を得て12代目吉五郎を襲名し、今10歳の息子さんが13代目を継ぎたいと思う会社にすることが目標だそうです。

中矢邦子

中矢邦子が「現場にアタック」でリポートしました!