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SDGs(エスディージーズ)

森本毅郎 スタンバイ!

忙しい朝でもニュースがわかる「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)8時からは、話題のアンテナ「日本全国8時です」。全国ネットで、日替わりゲストとともに放送。毎週木曜日は、東京大学名誉教授、月尾嘉男さんの「賢くなれる雑学コラム」!

月尾嘉男

解説は東大名誉教授の月尾嘉男

10月5日(木)は「SDGs(エスディージーズ)


★「SDGs」

今日は世界規模で推進されている「SDGs(エスディージーズ)」という国際目標についてご紹介したいと思います。これは国連が2015年に提案した「サステイナブル・ディベロプメント・ゴールズ」、翻訳すると「持続可能な開発目標」ですが、世界が直面している様々な問題を17に要約して、2030年を当面の目標年として国際社会が協力して解決していこうという構想です。17の目標の代表的なものは「貧困の撲滅」「飢餓の撲滅」「福祉の推進」「安全な水の確保」「社会の不平等の解消」「気候変動対策」「海洋資源の保護」などですが、いくつかを具体的に説明していきたいと思います。9月中頃に国連の世界食糧計画という組織が、2016年の時点で、世界の8億1500万人が最低限の体重を維持するのに必要なカロリーを摂取できない状態にあるという発表をしました。2010年の10億2000万人から、2015年には7億9500万人にまで減少したのですが、また増加してしまったということです。これは世界の11%、9人に1人が飢餓状態にあるということですが、その影響で毎日4万人、1年にすると1500万人近くが餓死しているという状態です。飲料水についても、世界には安全な飲み水が手に入らなくて、汚れた川や湖の水を飲んだり、ヒ素が含まれている井戸水を仕方がなく飲んで病気になったりする人が7億6800万人にもなり、そのような水を飲んで毎年200万人近い子供が死んでいるという状態です。貧困については、1日に1・9ドル、およそ200円以下の収入しかない人が2015年で7億人以上いるという推計があります。寂しい話が続きますが、そのような貧困の影響で学校に行けない子供が世界に5800万人存在し、アフリカの最貧国では5人に1人が学校に行っていません。その結果、読み書きができない人間が7億8000万人もいるというのが現実です。このような問題の原因は様々ですが、共通する原因は格差です。飢餓状態で生活する人が8億人以上いるということですが、世界の穀物や畜肉や水産物の生産は人口の増加以上に増加しています。例えば、1950年から2015年までの65年間に世界の人口は26億人から71億人と2・7倍に増えていますが、穀物の生産は同じ期間にほぼ4倍も増え、漁獲量も8・7倍に増えていますから、十分に供給できるはずです。

配分方法

問題は配分にあるのです。最初に紹介したように世界には飢餓に直面している人が8億人以上いますが、その一方で食べ過ぎて肥満になり困っている人が11億人以上いるのです。アメリカでは1日に廃棄されている食料は金額にすると130億円になりますが、食べ過ぎて減量するためにアスレチッククラブなどに支払っている金額が、1日120億円、それでも肥満が治らないので治療を受ける人の医療費が260億円と矛盾した現象が発生しています。貧困についても同様に配分の問題があります。イギリスの本部を置く「オックスファム」という研究財団が発表している驚くべき数字があります。今年1月に発表された数字では、世界1の資産を持っているマイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツや、アマゾン ドットコムの創業者ジェフ・ベゾスなどから始まって上位8番までの富豪の資産を合計すると43兆円になり、世界の最も貧しい人から積み上げた36億人、すなわち世界の人口の下位半分の人の資産と同額だということです。2016年には、世界の上位1%、およそ7000万人の資産の合計は残り99%の70億3000万人の資産の合計と同額という数字も発表もしています。このような不平等を無くしていこうという目標がSDGsの背景にあるのですが、国連の提言に従って、最近、企業も動き始めました。経団連はSDGsに協力することを企業の基本理念とする「企業行動憲章」を来月発表する準備を進めていますし、日本証券業協会も傘下の企業がSDGsに対応することの検討を開始し、日本化学工業協会も化学産業の企業が率先してSDGs対応を実施するビジョンを今年5月に策定しています。個別の企業でもSDGsに対応することを目標にする経営方針を策定する企業が増えています。

ESG投資

それを促進しているのが「ESG投資」といわれる投資戦略です。ESGのEはエンバイロメント、環境保全を意識した経営をしているか、Sはソーシャル=社会、そしてサステナビリティ=社会を持続可能にする経営をしているか、Gはガバナンス、会社の経営方針が適切かという項目で、それらで企業の経営を判断し、機関投資家や投資ファンドがESGの評価が高い企業に投資をするという仕組みです。これまでのROE(自己資本利益率)やROA(純資産利益率)など、いかに利益を挙げるかという株主が関心をもつ数値で投資対象を判断するのではなく、社会全体にどれだけ貢献しているかというESGの評価で判断しようということです。欧米では企業のESG評価順位がいくつも発表されていますし、日本でも少しずつですが、始まってきました。残念ながら日本は出遅れており、2014年の集計ですが、ヨーロッパでは投資金額の60%弱がESGを基準にした投資、カナダは31%。アメリカは18%ですが、日本を含めたアジアは0・8%でしかありません。投資といえば、その見返りが多い方がいいと思いがちですが、なぜSDGsに努力している企業に投資するかというと、貧困や飢餓や水不足などが原因で発展途上国などが不安定な社会になれば、進出している企業が現地で活動を行うときに問題が発生するし、紛争が発生すれば世界の広い範囲にマイナスの影響も及ぶ、さらに環境が悪化すれば自分たちの生活も脅かされる、すなわち「情けは人の為ならず」ということなのです。投資をされる方だけではなく、商品を買う立場の方も、利益だけではない企業の活動に関心を持たれることが重要な時代になっているとご理解いただければと思います。

 

 

月尾嘉男の日本全国8時です(リンクは放送後1週間のみ有効ですhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=2017100580000

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