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行き場のない子どもの居場所作り▼人権TODAY(10月7日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時15分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…2017年10月7日放送「子どもの居場所支援する団体」です。

「ただいま」とやって来て、「おかえり」と迎えてくれる場所

NPO法人「青少年の居場所 Kiitos」は東京・調布市のとある建物の中に「子どもの居場所」を設けています。
Kiitos(キートス)とはフィンランド語でありがとうという意味です。
ここには、ひとり親、貧困、不登校、親が精神疾患、虐待やネグレクト、親の再婚相手から疎まれているなど、家庭の機能が弱く、学校に行ったり、社会で働くこともままならない10代前半から30歳までの青少年が集まってきます。

お昼から夜まで解放しているスペースには、子どもたちが「ただいま」と帰ってきます。
学校で起きた出来事を報告する子、パソコンでゲームを始める子、おやつを食べて漫画を読む子、昼寝をする子… 過ごし方は自由です。

自由に過ごす子どもたち

自由に過ごす子どもたち

NPO法人「青少年の居場所 Kiitos」代表の白旗眞生(しらはた・まき)さんは、児童館の相談員や民生委員を務めた経験から、8年前にこの場所を開設しました。
現在、把握している子どもたちは260人ほど。全員が常に利用しているわけではありませんが、20人前後が毎日のように通い、通っていない子どもからも相談を受けると言います。

NPO法人「青少年の居場所 Kiitos」代表の白旗真生さん
18歳以上が多くて。児童相談所、養護施設…18歳になると公的支援がなくなるんです。そういう子どもたちはアパートを借りることもできない。携帯電話を契約するのにも本人の名前ではできないんですね。18歳から20歳まで。そういうところも含めて私たちが支援していくんです。設立から8年経ってるので、12歳だった子たちが18歳以上になっているわけです。途中で『ここの支援は要りません』というようなことはほとんどないんです。ずっと継続していくわけですよ

18歳を超えると公的支援が切れます。生活保護にひっかからない、いわゆる『隙間』にいる子どもたちが相談に来るといいます。
また、たとえ生活保護を受給できたとしても、家庭の中で十分に育てられてこなかった子どもたちがいきなり独立することは困難です。
また、軽い発達障害があったりして、仕事を継続することができない子もいます。

Kiitos代表の白旗眞生さん

Kiitos代表の白旗眞生さん

温かい食事は人をオープンにさせる

そんな子どもたちにとって、最大の心配事は食事です。
Kiitosでは、食事も提供しています。毎日、昼と夜、ボランティアの方が台所に立ち、主菜・副菜・ご飯・汁物が揃った、暖かい食事を提供しています。
この日の夕食は炒めた肉と野菜の上に卵を乗せた「とん平焼き」と、ナスの味噌焼き、ご飯、お味噌汁でした。

この日の夕食は「とん平」焼き

この日の夕食は「とん平」焼き

肉や魚といった生モノはスーパーなどで購入しますが、賞味期限の迫った食品や包装の不備で市場に流通できなくなった食品についてはフードバンクが届けてくれます。また、野菜やお米は地元農家などから譲り受けたものを使います。
とはいえ、毎日最低20人分は用意するということで、限られた食材の中でメニューが被らないよう、やり繰りしています。

ボランティアの大人たちが目の前で作っている姿を見せ、家庭の味を再現してあげることは、子どもたち人とのつながりを確認する大切な作業です。スタッフは、いつも必ず子どもの存在を気にかけ、名前を呼んで、声をかけます。

食事を作るボランティアスタッフ

食事を作るボランティアスタッフ

白旗眞生さん
現実に食事ができていない子たちがいるということを知っていただきたい。
食事がいつも基本にあるということは大事なことだと思います。食事することによってオープンになっていきますね。食事中、子どもたち同士の会話で家族の話が出ますね。私たち大人が『そんなこと秘密にしなさい』なんて言うまでもなく、『そうか、お前の家も大変だな』みたいな
みんなで食卓を囲みます

みんなで食卓を囲みます

経験したことがないことを経験させてあげたい

私が取材に訪れた先月末、壁にはKiitosに通う9月生まれの仲間の名前とともに、「誕生日おめでとうと」書かれた手書きのポスターがありました。
誕生日は皆でお祝いをするのでしょうか?

白旗眞生さん
子どもたちに聞いたら、誰も誕生日をお祝いしてもらったことなんてないんです。小さいときに経験していないから、嬉しいという気持ちもない。でもね、最近、『この子たちが大人になって、結婚して、自分の子どもにこのことができればいいんだ」って思うようになってきたんです。そういうことがしてあげられる親にならないといけないと思って。この頃、楽しいのか楽しくないのかどうでもいいから『おめでとう!』ってお祝いするんです。電気消して、ロウソク立てて。でもそれを見る子たちもいるわけですよね?ゲームしてる子たちは『きょうは誰の誕生日?』なんて顔してますよ。でも、そういう経験が後々ね、『そういえばあんなことしてたな』と思い出す時が来ると思うんです

負の連鎖を断ち切るために

様々な事情があり、愛情をかけて育てられるという環境になかった子どもたちに「家族だったら普通に経験すること」をしてあげることが、次の世代への負の連鎖を断ち切る力になると白旗さんは言います。そして、そのためには「教育」が欠かせないと強調します。

白旗眞生さん
最近、8年目になって大学行った子が出たんですね。中学もまともに行ってないのに。でも彼がモデルなんです。いま高3の子たちの話題は大学進学についてです。遊んでもいいから、その経験をさせたいと思って。奨学金でもなんでもいいから。でも、その大学生の子が『俺、卒業したら480万円の借金抱えるんだ』って言うんです。でも、『まぁいいじゃん。4年間買ったと思えば』って言ってあげてるんです。その体験・経験って味わえないんですよね

「止まり木」のような場所を目指して

Kiitosでは、子どもたちからは利用料や食費は一切取っていません。
市からの支援金、企業からの助成金で賄えるのは、運営に必要な2割程度です。大半は寄付に頼らざるをえません。
行政の委託事業になる方がよいと考えた時期もありましたが、できるだけ制約のない現在の運営スタイルを選んだのだそうです。

子どもたちの連絡先が登録してある白旗さんの携帯電話には、ひっきりなしに子どもたちや支援者から電話がかかってきます。
常に受け入れ準備を整えておくことで、信じてもいい大人もいるんだと子どもたちに思ってもらえる。それが、支援の第一歩だと話す白旗さんの姿が印象的でした。

NPO法人「青少年の居場所 Kiitos」
住所:〒182-0007 東京都調布市菊野台1-52-4 三高家ビル2-C
TEL・FAX:042-444-0749
URL:http://kiitos.org/
E-Mail:info@kiitos.org

(担当:瀬尾崇信)