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「夜盲」を助ける画期的めがねが誕生!見えないものが見える!

森本毅郎 スタンバイ!

駅のホームからの転落事故が後を絶ちませんが、中でも視覚障害のある方が転落するケースが目立ちます。きょうは、そんな事故を減らせるかもしれない画期的な機器「MW10」について、10月9日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。

昨年、銀座線青山一丁目駅で、盲導犬を連れた55歳の男性が線路に転落し電車にはねられる事故がありました。そして今月は大阪で、視覚障害のある男性がホームから線路に転落して亡くなるという事故も…。視覚障害のある方が関わる事故は、7年間で約550件報告されています。

事故を減らすための対策として、鉄道各社はホームドアの設置などを行っていますが、そうした中、視覚障害者の事故を減らせるかもしれないメガネ型の機器が、先月発表されました。どんなものなのか?光学機器メーカーHOYAの石塚隆之さんのお話です。

★見た目はまるで近未来?!暗闇でも見えるメガネ「MW10」

HOYA株式会社 石塚隆之さん
私たちが作ったのは『夜盲』の方向けの、メガネ型のウェアラブル。夜盲の方の症状は、例えば日の短い秋だと、だいたい午後3時半以降は暗くなります。色も分からなければ、目の前に何があるかも分からない。
そこで、暗くて見えないという方が、暗闇でもカラーで明るく見える“暗所歩行機器”を作りました。暗視カメラは赤外線を飛ばすので、白黒だったり遠くの物が見えなかったりするが、これだと、カラーで遠くの物も見える。

「夜盲症」は、暗いところで物が見えづらくなる状態のことで、今回開発されたのは、こうした症状のある方を補助するメガネ型の機器です。

森本毅郎スタンバイ!

暗所視支援機器「MW10」。重さ130グラム。ケーブルで繋がったバッテリーを腰に装着して使用します

暗いところでも明るく見える仕組みは、メガネの真ん中に内蔵されている「小型のカメラ」が、写したものを瞬時に画像処理して明るくし、その映像を、左右の目線の先に見えるモニターに投影するというものです。

森本毅郎スタンバイ!

試しに、暗いところを見てみます…

森本毅郎スタンバイ!

暗幕で覆われたボックスの中には、「HOYA」の看板やミニカーがいくつか置かれていますが、暗くてよく見えない状態。赤丸で囲った部分にある、「白いミニカー」に注目です

森本毅郎スタンバイ!

メガネを通して見るとこの通り!特殊な画像処理技術で、「白いミニカー」がくっきりと浮かび上がって見えました

★「夜盲症で苦しむ人の助けになりたい!」HOYA石塚さんの覚悟

この画期的な機器を、今回開発した経緯について、再びHOYAの石塚さんに伺いました。

HOYA株式会社 石塚隆之さん
夜盲の方が困っているにも関わらず、解決策が全くなく、企業も行政も意外と手付かずな状況がわかりました。“見え方”を提案しているメーカーとして、私たちがやらいといけないと思った。このような製品は世界的にも前例は少なく、特に暗所で見える機器としてはかなり前例は少ないと思いますが、そこは私たちの仕事。そういう意味では、覚悟して出していきたいと思っています。

これまでは、小型のカメラやモニターが高価だったこともあり、なかなか開発に至りませんでした。また、国内で「夜盲症」に苦しむ人は推計5万人とされてきましたが、実際にはもっと多くの人が苦しんでいるという現状をある大学の先生から相談されたことで、「なんとか製品化にこぎつけたい!」と、試行錯誤を重ねたということでした。

★「夜桜を見られる日が来るなんて!」メガネで変わる生活

では、実際に夜盲症の方はどう感じたのか?先月の製品発表会に来ていた、東京都網膜色素変性症協会の会長、土井健太郎さんに感想を伺いました。

東京都網膜色素変性症協会・会長 土井健太郎さん
例えば5時半ぐらいになると真っ暗で、車のヘッドライトや街灯、コンビニの光などの“光を発してる光源”は見えるが、それ以外はほぼ何も見えない状態になってしまう。でも、あれをかけると『全く見えない』という状態から『キレイにカラーで見える』状態に変わるので、これはとても大きな変化です。かけたからといって健常者になれる訳ではないですが、学校のクラブ活動や、仕事に就いたり、自分から参加するように向かっていける、という気持ちになれるだけでも、障害を克服できるのかなぁと思います。意義は大きいです。

土井さんは他にも、「夜このメガネをかけて神社に行った際、夜桜を見ることが出来て感動した」と仰っていたのが印象的でした。夜盲症の方の中には、夕方以降はもう真っ暗で、怖くて外出を控える方も多いそうなので、「とても意義のあるものになるのではないか」と期待を膨らませていました。

★価格の壁を、どう乗り越えるか

ただ、一方で、土井さんはこんなことを指摘しています。

東京都網膜色素変性症協会・会長 土井健太郎さん
そのままの値段では、なかなか手が出せない。行政のサポートが必要不可欠。一番良い形は“補装具”というくくりになれば、厚労省の管轄で全国的一律に手に入れることが可能になる。まずは売ってもらって、患者から『これはいいね』という声が上がれば、やっと“補装具”にしてあげてもいいよ、となるので、そのハードルは越えてほしい。
森本毅郎スタンバイ!

販売価格40万円(予定)。12月の発売に向け、更なる軽量化を目指しているということです

12月に発売予定のこの機器は、販売価格40万円を予定しています。しかし現状、福祉機器として認められていないため、国や自治体からの補助は出ないそうです。

★“補装具”として認められるかが鍵

認められれば、金額的には大幅に補助されるということで、HOYAの石塚さんもこのように仰っていました。

HOYA株式会社 石塚隆之さん
まずこのウェアラブルを夜盲で困っている人に使ってもらって、試してもらいたい。そして良さを実感して欲しい。患者さんの声が一番だと思う。使ってみていいものだと声が集まったところで、最終的には、厚労省に“補装具”として認めてもらいたい。補装具として認定されることが、患者さんにとって良いことに繋がる。

今回の機器について厚生労働省に取材したところ、「まだ発売されていない機器に関して個別にコメントをすることは差し控えたい」とした上で、「これまでになかった新しい機器なので、患者の方の声を聞いて判断することになると思う」ということでした。

田中ひとみ

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!