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「泡沫候補」は民主主義のシンボルだ

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
10月14日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、フリーランスライターの畠山理仁(はたけやま・みちよし)さんをお迎えしました。早稲田大学在学中からライターとして活動している畠山さんのライフワークは「選挙取材」。特に、いわゆる「泡沫候補」と呼ばれる人たちの取材をもう20年にわたって続けています。

畠山理仁さん

メディアから「泡沫」扱いされ無視されても、独自の闘いを続ける候補者たちを、畠山さんは敬意を込めて「無頼系独立候補」と呼んでいます。密着取材で独立候補の実態と素顔を追いかけたルポ『黙殺~報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』が今年(2017年)7月、「第15回開高健ノンフィクション賞」を受賞しました。政党などの組織や支援団体のない中で、彼らはどんな選挙戦を展開しているのでしょうか。そして、なぜ落選してもまた選挙に出るのでしょうか。

開高健賞を受賞した「黙殺」

選挙に出るために高額な供託金を用意し(しかもだいたい一定以上の得票に満たずに没収される)、家族の反対も押し切って、大変な思いをして立候補をしてもキワモノとみられ、街頭演説をしても立ち止まる人もいない。罵声やお酒を浴びせかけられることもある。それでも選挙のたびに立候補する独立候補たち。その情熱はいったい何なのか。それは彼らが「なんとか世の中を変えたい。しかも自分でなければ変えられない」と考えているからだと、畠山さんは言います。

政治学者の岡田憲治・専修大学教授が「選挙は、よりマシな地獄の選択」と話すように、理想とする社会はそれぞれみんな違います。であれば、自分の理想を実現できるのは、自分しかいません。だから選挙に立候補するという選択をしているのが独立候補たちなのです。もちろん「有名になりたい」「目立ちたい」という気持ちがないわけではないでしょう。でもそれは、自分の理想を実現するためには選挙に当選しなければならないから。

スタジオ風景

「キワモノと言われますが、訴えている公約をよく聞いてみると、“大手”の候補者よりもよっぽど具体的で、アイデアもあります」と畠山さん。組織の支援を受けていると、一般ウケをよくするために、かえってあまり具体的な公約を掲げられなくなり、その結果、「社会を良くします」といったスローガンだけになってしまう。一方、頼る人がいなくても一人で立候補するような人は、やりたいことがとてもハッキリしています。

ユニークな政見放送でおなじみのマック赤坂さんは、2016年の東京都知事選に立候補した時に、今の日本には笑顔が足りないということで『スマイル体操』を小中学校に導入すると訴えました。その公約は、ナニそれ? と笑われましたが、都知事になった小池百合子さんは、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて都庁の職員全員でラジオ体操をやると発表しました(選挙期間中にはそんなことは言っていませんでした)。これはある意味、政策が「シェア」されたと言えなくもないですよね。

「立候補して、やりたいことを訴えた結果、それが社会に反映された。そう考えると、独立候補が立候補した意味は十分あります」(畠山さん)。

久米宏さん

「メディアでは“そのほかの候補”としてほとんど扱われない独立候補の存在は、実は民主主義のシンボルでもあるんだと思いますね」(久米さん)。

畠山さんが独立候補たちがすごいと思うのは、彼らが決して「逃げない」から。街頭演説をしていると、掲げた公約に文句をつけられることもあります。そんなとき独立候補たちは、その場を立ち去ることなく、ちゃんと話をしようとするのだそうです。フリーランスの畠山さんは、“大手”の候補者を取材しようとしても煙たがられ、演説の予定すら教えてもらえないという経験を何度もしているそうです。自分に都合の悪い人を避け、支援してくれる人たちに向けた演説しかしないような候補者は、当選してから「全体のための奉仕者」になってくれるでしょうか?

スタジオ風景

「だから、みなさんにお勧めしたいのが、選挙区の候補者全員の話を聞いてみること。その候補者が逃げずにきちんと説明しようとする人かどうか、事務所に電話をかけてみるだけでもとてもよく分かりますよ」(畠山さん)。

もうひとつ畠山さんが勧めるのが「選挙のお手伝い」。選挙ボランティアをやってみると、選挙に関わる人たちの熱気に触れることができて、とても面白いそうです。

「日本では、主権者がどう考え、どう行動するかという教育が十分行われていないので、選挙の熱気をダイレクトに感じられる場所に身を置くことは、民主主義を考えるうえでものすごく有益だと思います。選挙運動期間は5~17日間と短いので、その間は会社も休みにして、選挙ボランティアへの参加を義務付け手もいいと思います。そうすれば政治にも自然と興味が向くし、投票に行くことにもつながると思いますよ」(畠山さん)。

畠山理仁さんのご感想

畠山理仁さん

毎回、選挙を取材するたびに「今度の方はどんな人生を背負って立候補したのだろう」と出会いが楽しみで、すごく元気が出てくるんです。選挙がなくなると「選挙ロス」になりますね。そしてまた選挙があると取材に行って元気をもらっています。

今日はあっという間に時間が過ぎてしまいました。出版社の方からは本の話をしていくようにと言われていたんですけど、まったくしませんでしたね(笑)。僕がこんなにしゃべっていいのかなと思うぐらい、久米さんはうまく話を引き出してくださって。想定していた質問とは全然違っていましたけど、戸惑うことなく、思いの丈をお話しさせていただきました。ありがとうございました。

2017年10月14日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:畠山理仁さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171014140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

次回のゲストは、森重昭さん

10月21日、スペシャルウィークの「今週のスポットライト」には、去年、広島平和記念公園を訪れたアメリカのオバマ大統領(当時)とハグした姿が世界中に配信された、森重明さんをお迎えします。被爆者である森さんは、広島原爆の犠牲になったアメリカ兵捕虜がいたという事実を40年かけて調査してきました。

2017年10月21日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171021140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)