お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ

二人三脚でアカデミー賞! 篠原 有司男さん・乃り子さんご夫妻

コシノジュンコ MASACA

2017年10月15日(日)放送

ゲスト:篠原 有司男さん(part 2)

1932年東京・麹町生まれ。芸術家の両親のもとに生まれ、自らも東京芸術大学美術学部油絵科に入学するも、5年後に中退。1969年にロックフェラー三世基金の奨学金で渡米し、以後現在までNYを拠点に精力的に活動しています。代表作は、グローブに絵の具をつけてキャンバスを殴りつける「ボクシングペインティング」や、ダンボールの彫刻「モーターサイクル・ブルックリン」。2007年、毎日芸術賞を受賞。2013年には妻・乃り子さんとの日常をつづったドキュメンタリー「キューティー&ボクサー」がサンダンス映画祭で監督賞を受賞。翌年のアカデミー賞にもノミネートされ、日本でも注目を浴びました。
アート界での愛称は「ギューチャン」。

masaca_20171015a

JK:今日はギューチャンの奥様で、ご自身もアーティストでもいらっしゃる乃り子さんもご一緒です。夫婦ご一緒っていうのは、番組でも珍しいんですよ!

出水:2013年に「キューティー&ボクサー」が、サンダンス映画祭でドキュエンタリー部門監督賞を受賞。昨年はエミー賞も受賞したそうですね。

乃り子:なんか映画だけがどんどん有名になっちゃって(笑)

JK:映画になったきっかけを教えてください。すごく興味ある。

乃り子:私たちがグループ展に作品を出してたの。その展覧会を見たハンサムで長身の青年が訪問してきて、友達になって。そのうち彼がもう一人連れてきたの。それで2人で映画を撮り始めて。後から来たほうが監督だったのね。

JK:監督って貫禄があるような感じだけど?

乃り子:ぜんっぜん。ひょろひょろで子供みたい。

篠原:24歳のテキサス出身のボンボン。だから相手にしなかったのよ、最初は。

乃り子:それが毎週々々来るの。10年ぐらいかかりそうだと思ってたら、急にできちゃった。でも最初はフツーに撮ってたの。ギューチャンを中心にインタビューしたり、他の人にインタビューしたり、全然らちが明かなかったのね。それである日、私がずっと描きかけてた「キューティー&ブリー」というコミックブックを見せたら、急に頭かかえて帰っちゃったのよね。それから1か月後に、「アニメーション化したい」って言って、私の作品を全部写真に撮って、それで急にキューティーが主役になっちゃったわけ。撮影も方向チェンジになっちゃって、ギューチャンがぶん殴られる役になっちゃったの。

篠原:見せられたときはアタマに来たよね! 「すごいカッコいい映画ができたの」っていうから、そしたらラブストーリーなんだよ! しかも俺がブリーっていう一番悪い奴で、都鳥三兄弟みたいにイジめられて、最後はボカーン! でしょ。

乃り子:だからウケたのね。普通のドキュメンタリーはみんな飽き飽きしてるわけじゃない? みんなに共通する話題で、アートを描いた。

出水:日本でもかなり話題になったんですが、アメリカでの反応はいかがでした?

乃り子:道を歩いていてても、いろんな人が寄ってくる。若いカップルも「まるで私たちと同じだわ」って。

篠原:そうそう! 苦労してるから。アーティスト同士、そういうのはグッとくるよね。

JK:見た後はみんな泣くんだって?

篠原:うん。1500人ぐらい入るところで上映するでしょ、終わったところでウワーッてみんなスタンディングオベーション! 座っている人は何してるかっていうと、泣いてるんだよ。その時ビックリしたね。こっちのほうが絵よりもスゲェなあって(笑)

masaca_20171015b

出水:アカデミー賞にノミネートということは、授賞式にも行ってらっしゃるってことですよね?

篠原:モチロン

JK:その時のこと教えて! だって、そういうタイプじゃないじゃない?(笑)

乃り子:でもギューチャン、1968年に作ったタキシードを持ってたのよ。

篠原:そう。あの、へちめ・・・へちめ・・・

JK:ヘちま衿(笑)偶然持ってたの?

篠原:東京画廊というところで奨学金をもらったのよ。2000ドル。それで作ったのよ。それ以来ほってあったんだけど、体形が変わってないから、そのまま着れた。

乃り子:苦労してるからさ、太るヒマがなかった(笑)

篠原:赤じゅうたんだっていうんで、乃り子は十二単衣で行こうって言ったんだよね?

乃り子:なんだけど、十二単衣ってないじゃない? 結局はドレスを借りてきたんだけど。

JK:レッドカーペットを歩くっていうのはどうだった?

乃り子:前の日に下見にいったの。そしたらさ、一所懸命レッドカーペットを敷いてるの。終わったら、その日の夜中にまた剥がして。なんか、ハリボテの宮殿って感じ。

JK:でも来る人がすごいじゃない。大スターがずらーっ・・・

乃り子:いっぱいいたらしいんだけど、私たち近眼で誰も見えないの。

篠原:そう。誰が誰だかわかんないんだよね(笑)

出水:それはもったいなーい!

乃り子:すぐ前のほうに誰かスターが座ってる、っていうのはわかるのよ。でも、どれがその人かが分かんないわけ。

篠原:オスカーを30倍ぐらいでっかくして、金に塗ったのがボコボコ置いてあるしね。オスカーの林を抜けるっていう感じだよ。カメラマンも周りもみんなブラックタイ。不思議だよね。その日だけは、泊まってるホテルの奴らも全員緊張しちゃってるんだよね。

JK:そりゃ別格だもん。アカデミー賞の時なんて、ビバリーヒルズのホテルにみんな泊まるから。私もちょうどその時期に行ったことがあって、ウォーレン・ビーティに会ったの。それで3時ごろにホテルに戻ってきたら、みんなも打ち上げやって帰ってきたところで、ピシッとしてたネクタイがヨレヨレになってた(笑)

篠原:そうだね、セレモニーが終わって一席もうけるところがあると、みんな酔っぱらってるからさ、オスカーもその辺に放り投げてあるから、つまづいて転びそうになってね。翌日はもっとおもしれぇんだよな?

乃り子:ホテルで食事してたら、急にケーキがくるわけ。「どうしたの?」って聞いたら、ショートドキュメンタリー部門で賞をもらった人が「デザートをどうぞ」って。だから私もお返しに「コニャックを一杯どうぞ」って渡したわけ。そしたら彼らがどどっと来て、友達になって・・・

篠原:それで彼ら、オスカーを俺にくれるっていうんだよ!っていうのはね、前にもオスカー獲ったんだって。2個あるから1個くれるっていうから、俺そのときドキーンとしてさ!もらわなくても、借りてくればよかったんだよねぇ。でもあれって金属だからさ・・・

乃り子:賞をもらった証明がないのに、そういうものを持ってると通関で捕まっちゃうでしょ?

出水:なるほど~!

JK:それで逮捕されたら、何にもならないわよねぇ(笑)

出水:映画を撮ってから、夫婦関係とか変わったことはありますか?

乃り子:少しイイ子になりました(笑)昔はオレオレオレ、Me Me Meだったけど、少し私を立てなきゃいけない立場になっちゃった。

JK:でもそれが夫婦円満。いい感じよ。

乃り子:でもさ、昔ジュンコさんも19歳の時にギューチャンに会ったでしょ? 私も19歳の時に会ったのよ。ジュンコさんは300円取られたけど、私が初めて会った時は、会ったその日に「銀行口座もってる?」って聞かれたのよ! 私は中産階級のまっとうな育ちだから、銀行口座を持ってない大人なんているの? 何この人? って思ったけど、きっとウソのない人なんだなって思いました(笑)

出水:ハハハハハ(^^;)そういう出会いだったんですねぇー。

JK:やっぱり映画になるくらいだから、面白いよね。

masaca_20171015e
電子コミック「Cutie & B…」
ドキュメンタリー映画の原作となった、奥様・乃り子さん作画のコミック。運命的な出会いから愛にあふれた極貧生活まで、NYアーティスト生活を赤裸々に大公開! Amazon Kindleショップからご購入いただけます。
 

masaca_20171015f
愛知県刈谷市美術館
「篠原有司男展 ギュウちゃん”前衛の道” 60年」

生ける伝説となった85歳の現役前衛アーティストの半生を納めた、11年ぶりの日本個展。NYをケムに巻いたダンボールのオートバイも! 11月5日まで開催中です。

 
 
 
 
 
出水:85歳とはとても信じられないですが、若さの秘訣というか、創作意欲が枯渇しない秘訣は何ですか?

篠原:よく聞かれるんだよねー。秘訣なんてないよ、全然。コシノさんもわかると思うけど、アーティストってオーディエンス=相手がいるわけよ。相手を感動させなきゃいけない。ひいては、自分が感動的な人間でなきゃいけない。自分がショボくれたら、絶対に相手は感動しないしさ。地下鉄でショボくれてるヤツがいると、「ヨゥ、どうしたんだ? 仕事がないなら、ここに連絡しろ」って名刺わたすやつがいるんだよね。そのくらいアメリカは懐が深い。ショボくれたら絶対ダメだよ。しかもアートで感動を与えようっていうんだからさ。

JK:私も若いころに会った感動は、一生忘れない。衝撃的だったもの! 子供に見せたほうがいい。私が若いころに思ったように、「これでアートなんだ」「自分にも何かできるかもしれない」って感じてほしい。ピカソでもなんでもそうじゃない、無邪気っていうか。私、子供はみんな芸術家だって思うのよ。最初に見たもので将来が変わるもの。

masaca_20171015b

JK:ギューチャンのMASACAって経験は?

篠原:そうだね、宝くじが当たった経験もないし(笑) 昨日コシノさんと東京のイタメシで偶然再会したのだって、そりゃMASACAだよね!

出水:乃り子さんの人生のMASACAは?

乃り子:映画ができた時、「これ絶対アカデミーにいくわよ」って言ってたの。だから、アカデミーに行ったときはMASACAとは思わなかった。でもね、自分の作品ができてきたときはMASACAという気持ちになった。映画のなかでも私たちの作品が中心になってるじゃない? それがMASACAですね。

出水:今後お二人でやってみたいことはあるんですか?

乃り子:私はやっぱり、もっと作品を作ってみたい。今のところはMASACAできるかなっていう感じだけど。

篠原:俺はね、バスキアっているでしょ? あいつを俺の写実画でもってネジ伏せてやろうかと思ってね! 彼、ものすごくいい感覚持ってて、短期間で売れて、自分で死んじゃったでしょう? でも絵はすごいんだよ。それを俺の写実画でね、ヴェニスの写実画で、鳥獣戯画のウサギとカエルをぶちこんで、速くリズミカルな絵でやっつけてやりたい。

JK:未来の鳥獣戯画ね!

=OA楽曲=
M1.  COURANTE / Yasuaki Shimizu & Saxophonettes

M1.  Walk On The Wild Side / Lou Reed