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「ボディポジティブソング」特集

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによるボディポジティブソング特集!

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高橋芳朗のミュージックプレゼント ボディポジティブソング特集http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171020112639

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

※以下、番組内容書き起こし by みやーん(文字起こし職人)

【高橋芳朗】
今週のテーマはこちら! 「自分のありのままの体を愛そう! ボディポジティブソング特集」。「ボディポジティブ」という言葉、皆さんご存知でしょうか?

【ジェーン・スー】
みんな痩せすぎなんだよ!

【高橋芳朗】
フフフフフ……ボディポジティブ、盛り上がってきたのはここ2〜3年ですかね?

【ジェーン・スー】
昔からないわけじゃないけど、ググググッときたのはここ2〜3年ですね。

【高橋芳朗】
ボディポジティブは、主にヨーロッパやアメリカの女性たちのあいだでじわじわと盛り上がってきたムーブメントですね。自分のありのままの体型を受け入れよう、体型の多様性を受け入れようという社会運動。その名の通り、自分のボディに対してポジティブでいようってことですね。みんな違ってみんないい。

【ジェーン・スー】
痩せすぎていたとしてもその人がそういう体なんだったらそれでいいんだよね。均等に美しいところに近づけようとして気持ちが苦しくなったり、体に支障をきたしたりする必要はないんじゃない?と。そういうことを著名人が訴えているんですよね。

【高橋芳朗】
そう。ジェーン・スーさんのお話にもたびたび出てくるモデルのアシュリー・グラハムとかね。

【ジェーン・スー】
アシュリー・グラハムは日本で言うとたぶん19号とか20号サイズぐらいなんですけどね。この人は本当に魅力的で。

【高橋芳朗】
あとはイスクラ・ローレンスとか?

【ジェーン・スー】
そう。イスクラ・ローレンスも素敵ですね。

【高橋芳朗】
いわゆる「カービー」な体型、ぽっちゃり体型の女性モデルさんがここ数年脚光を浴びていますよね。彼女たちはボディポジティブムーブメントのシンボル的な存在と言っていいと思います。日本でいくと、渡辺直美さんのご活躍もこの文脈で話してもいいのかなと。

【ジェーン・スー】
うん。だってもう「おもしろデブ」とかじゃないもんね。かっこいいし、真似したい。「これはできないわー、オリジナリティーある!」って感じだから。

【堀井美香】
ねえ。ああいうキャンディーカラーのかわいい服なんてなかなか着れませんからね。

【ジェーン・スー】
『la farfa(ラ・ファルファ)』っていうぽっちゃり専門のファッション誌が出て結構売れていたりして。日本でもだいぶ状況が変わってきていますよね。

【高橋芳朗】
そんなボディポジティブのムーブメントが社会に与えたわかりやすい影響としては、去年2016年、バービー人形のラインナップに従来のものと異なる3つの体型のバービーが加わりました。バービー人形というと手足が長くて腰が細くてくびれていて、というスタイルでおなじみだと思うんですけど、そこに新たにカービー(ふくよか)、トール(長身)、プチ(小柄)、この3種類が加わったと。

【ジェーン・スー】
そもそもバービーのあのサイズって人間に置き換えると立てないらしいからね。直立できないっていう。ファンタジーとしてのバービーは本当に素敵だし最高だけど、あのスタイルを自分に完璧に当てはめようとなると無理も来るよって話ですよね。

【高橋芳朗】
ちょっと非現実的ですよね。で、こうしたボディポジティブの盛り上がりのなかでムーブメントを後押しするような曲がつくられたり、「ナチュラルな自分の姿に自信を持とう!」というメッセージを持った曲が再評価されたりしています。今日はそんなボディポジティブソングを3曲紹介しますね。

【ジェーン・スー】
よろしくお願いします。

【高橋芳朗】
まずはボディポジティブソングの代表曲、メーガン・トレーナーの「All About That Bass」。2014年の作品です。この曲は全米チャートで1位。アメリカだけでも900万枚を超える売り上げを記録しています。

【ジェーン・スー】
すっごいね!

【高橋芳朗】
うん。日本でも結構話題になりましたね。この曲、日本ではボディポジティブに倣って「わたしのぽちゃティブ宣言!」という副題がついているんだけど、そこからもわかる通りぽっちゃり体型にコンプレックスを抱いている女性に対して「ありのままのあなたでいいんだよ」と勇気づける歌詞になっています。当のメーガン・トレーナーもぽっちゃり系の女の子ですね。

【ジェーン・スー】
うん。

【高橋芳朗】
で、タイトルの「All About That Bass」の「Bass」は「低音」のこと。要は「私の体を音にたとえるとどっしりとした低音みたいなもの」ということです。歌詞の大意を紹介しますね。「私の体を音にたとえるなら、どっしりとしたベース。Sサイズとは言えないけど、男子が夢中になるような大きなお尻があるの。雑誌のモデルがフォトショップで加工していることなんて誰だって知ってる。もういい加減、そういうのは止めようよ。自分の体のサイズなんて気にしちゃダメだってママが言ってた。男の子たちが夜になったら抱き締めたくなるのはぽっちゃりした体なんだって。バービー人形みたいな体がいいのなら、とっとと私の前から消えてくれる?」。

【ジェーン・スー】
なるほど。

【高橋芳朗】
ファッション誌の『VOGUE』は当時この曲の登場と大ヒットの衝撃を「We’re officially in the era of the big booty」(私たちは公式に大きなお尻の時代に突入しました)と評していました。

M1 All About That Bass / Meghan Trainor

【高橋芳朗】
歌詞に「バービー人形みたいな体がいいなら、とっとと私の前から消えてくれる?」って一節がありましたけど、ボディポジティブは別にぽっちゃり系の人だけを対象にしているわけじゃなくて。

【ジェーン・スー】
そうそうそう。

【高橋芳朗】
たとえば、先日マンチェスターのテロ被害にあったアリアナ・グランデ。彼女は「棒みたいな体型だ」って批判されたりしているんですよ。それを受けてアリアナは「多様性を受け入れること、自分を愛することこそがセクシーなんです。人と違うことが私たちを美しく見せているんです」と反論しています。

【ジェーン・スー】
素晴らしい!

【高橋芳朗】
続いては女性R&Bシンガー、インディア・アリーの「Video」を紹介したいと思います。2001年の作品。この曲はリリース当時からグラミー賞のレコードオブジイヤーやソングオブジイヤーにノミネートされたりして、非常に高い評価を受けていました。それがここ数年、「ありのままの自分を愛そう」という歌詞がボディポジティブの盛り上がりとともに再評価されています。

【ジェーン・スー】
うん。

【高橋芳朗】
歌詞の大意を紹介します。「ムダ毛を剃るときもあれば、剃らないときもある。髪をとかすときもあれば、そうしないときもある。大切なのは自分が心地よく感じるかどうか。この顔のそばかすは、どれもあるべきところにある。神様はまちがったものなんてなにひとつつくっていない。この足、この太もも、この唇、この瞳、すべてが大好き。私はあなたがよく見ているビデオに出てくるような美人でもないし、スーパーモデルのような体型でもない。でも、自分を無条件に愛することを知っている。なぜなら、私のなかでは私こそがクイーンなんだから」ーーかっこいい!

【ジェーン・スー】
かっこいいですね。インディア・アリーってシンガーは決して……こういう言い方が適切かどうかはわかりませんが、「男好き」する感じではないんですよ。すごく自立心があって素敵な女性なんですけどね。ただ私、2001年のころにはまだボディポジティブの考え方が自分のなかに根づいてなかったし、やっぱりどこか異性から受ける評価で自分の価値を測るようなところがあったから、あまり彼女が魅力的に見えなかったんだよね。

【高橋芳朗】
うんうん。

【ジェーン・スー】
「まあ言いたいことはわかるけど、でももうちょっと女っぽく……」みたいな。その「女っぽく」は誰が定義した女っぽさかもわからないままにそう思っていたんですけどね。でも、徐々に「あ、ぜんぜんこっちの方がナチュラルだし生きやすいな」という感じにはなりました。

【高橋芳朗】
うんうん。これはTLCの「Unpretty」(1999年)など共にボディポジティブの先駆的な曲と言っていいでしょうね。

M2 Video / India.Arie

【高橋芳朗】
最後は男性視点から、レバノン出身のミーカのヒット曲「Big Girl (You Are Beautiful)」を。

【ジェーン・スー】
サンキュー!

【高橋芳朗】
フフフフフ……こちらは2007年の作品です。ミーカはこの曲を書いたきっかけをふたつ挙げています。まずひとつは、カリフォルニアに世界初の太った女性のためにつくられた『Butterfly Lounge』というナイトクラブがあって。

【ジェーン・スー】
へー、行ってみたい!

【高橋芳朗】
どうやらいまは閉鎖されちゃっているみたいなんですけどね。

【ジェーン・スー】
ガーン!

【高橋芳朗】
その『Butterfly Lounge』のドキュメンタリーに強い感銘を受けたそうです。もうひとつはミーカのお母さんが体の大きな女性だったみたいで、周囲からの偏見にとても苦しんでいたと。で、彼はそんなお母さんの助けになるような曲をつくりたかったということです。歌詞はタイトルの「ビッグガール、君たちはとても素敵だよ」というフレーズを連呼していく感じなんですけど、実はこの曲はミュージックビデオがとても楽しくて。ミーカが太った大柄な女性たちを引き連れてロンドンの街を練り歩いていくんですよ。

【ジェーン・スー】
すごくカラフルなんだよね。

【高橋芳朗】
そう。このビデオを見てもらったほうが曲のメッセージは伝わりやすいかなと思います。

M3 Big Girl (You Are Beautiful) / MIKA

【ジェーン・スー】
メールをいただいています。埼玉県加須市の「南国ペンギン」さん、26歳男性の方。「ありがとうございます。よいことを教えてもらいました。私の女友達で『バービー人形みたいな体型になりたい!』とダイエットをがんばってる人がいます。がんばるのはいいのですが、最近顔色が悪くなってきました。心配なので、はっきり彼女に伝えたいと思います」と。

【高橋芳朗】
うーん、不健康になっちゃうのはよくないよね。

【ジェーン・スー】
そうなのよ。デブだろうがガリだろうが不健康じゃない範囲だったらいいんじゃないって話で。でも南国ペンギンさん、ここで怒ったりしないでね。「君はそのままできれいなんだよ。十分きれいで魅力的だよ。こういうところが好きだよ」って……これだと告白みたいになっちゃうな。でもそこは大事だよね。「ダメ!」って怒られない方がいいよね。

【堀井美香】
そうですね。

【高橋芳朗】
で、今年に入ってからもボディポジティブのメッセージを含んだ曲が結構リリースされています。なかでも話題になっているのが、いまいちばんイケてるラッパーですね、ケンドリック・ラマーの全米チャートで1位になった「HUMBLE.」。この曲にこんな一節があります。「フォトショップで加工された写真にはうんざり。ストレッチマークのあるお尻だとか、もっとナチュラルな姿を見せてくれよ。そうすれば、靴下を脱ぐのも忘れて君をソファーに連れて行くぜ」と。この歌詞が女性たちから賞賛されました。

【ジェーン・スー】
うん、ヒューヒュー言われてましたね。

【高橋芳朗】
「HUMBLE.」のミュージックビデオにはこの歌詞を映像化したシーンがあるのでぜひチェックしてみてください。フォトショップの加工ということでは、最近フランスである法律が施行されました。商業写真のモデルの体型に修正を施した場合、それが加工写真であることの明記を義務化すると。違反者には約500万円の罰金が課せられる場合もあるそうです。

【堀井美香】
気をつけなきゃ……。

【ジェーン・スー】
なに言ってんの?

【高橋芳朗】
フフフフフ。

【ジェーン・スー】
「この写真は加工されています」って?

【堀井美香】
だって、私が一枚撮るとスーちゃん30分ぐらい加工しますから。

【ジェーン・スー】
それは嘘、それは嘘。

【高橋芳朗】
じゃあそれはちゃんと修正した旨を明記するようにしないとね。それはともかく、この法律の施行に向けて動いていたフランスの政府関係者のコメントを紹介しておきますね。「美に関する実現不可能な理想の追求を促すことや、若者の間における拒食症の広がりを防ぐため、社会におけるボディイメージの問題に対応する必要があるだろう」。

【ジェーン・スー】
それは本当にそう思います。私は痩せたり太ったりをずっと繰り返しているんですけど、おもしろいのはいつの時代を振り返っても絶対に自分のことをデブだと思っているの。もう自分のなかで「デブ」って記憶しかないわけ。それに対して幸せだったり不幸せだったりっていうのはそのとき次第なんだけど、でもいまから振り返ってみるとぜんぜん痩せてるんだよね。「常にデブと思ってると『思考は実現化する』みたいになってるぞ!」って。だから自分のセルフイメージをどう捉えるか、なるべく若いうちに受け入れられるといいですね。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア(稀にかかる邦楽はディレクター選曲)。最新1週間のリストは以下です。

10/16(月)

(11:09) Tighten Up / Archie Bell & The Drells
(11:43) Soul Man / Sam & Dave
(12:16) Papa’s Got a Brand New Bag /James Brown

10/17(火)

(11:09) Walk Like an Egyptian / Bangles
(11:43) Method of Modern Love / Daryl Hall & John Oates
(12:16) I Can Dream About You /Dan Hartman

10/18(水)

(11:11) Get Ready / The Temptations
(12:17) Stop! In The Name of Love / The Supremes

10/19(木)

(11:10) Church The Poison Mind / Culture Club
(12:18) I’m Your Man / Wham!

10/20(金)

(11:10) Roam / The B-52’s
(12:13) Devil Inside / INXS
(12:24) Simply Irresistible / Robert Palmer