お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

放送中

放送中


  • 放送ログ
  • 音声あり

難病の貧血「再生不良性貧血」に新薬登場。輸血不要の時代に!

森本毅郎 スタンバイ!

難病指定の「再生不良性貧血」という血液の病気を、毎年1千人ほどが発症しています。重症の場合、命をつなぐのに輸血が必須で、かつて5割の人が、半年以内に命を落とす難病。しかし今では早めの治療で治る可能性も高まっています。その病気と最新の治療について。10月23日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★鉄不足と違う貧血

まず「貧血」で多いのが、鉄分が不足して起こる、鉄欠乏症貧血です。この貧血は、女性の月経や、ベジタリアンで鉄の摂取が足りないなどが、理由で起きます。鉄が足りないと、赤血球の材料となる、へモグロビンが不足してしまいます。そして、赤血球が体の中に不足すると、身体の中の、酸素が不足してしまいます。それに対して、今回の再生不良性貧血は、赤血球だけでなく、白血球や血小板という血液の重要な要素の多くが、減ってしまう病気です。

★血液の元となる細胞で問題!

こちらは単に鉄不足という事でなく、元の血液が生み出される場所で問題が起きています。まず、血液が元々、どこで作られるかというと、骨の中にある骨髄、という臓器です。骨髄の中には、血液の元なる「造血幹細胞」と呼ばれる細胞があります。造血幹細胞は、白血球、赤血球、血小板に分かれて、育っていきます。それらはまとめて血球と呼ばれますが、耐えず再生を繰り返して、血液は循環しています。再生不良性貧血は、その再生がうまくいかないため、貧血が起きる病気なのです。

★原因は免疫異常

再生がうまくいかないのは、免疫の異常が原因と、考えられています。再生不良性貧血の患者さんは、免疫として本来自分の身体を守るはずのTリンパ球が、自分の造血幹細胞を攻撃してしまっていて、血液の再生が邪魔されている状況です。また重症の人ほど、骨髄の細胞の大部分が脂肪に入れ替わる、という現象も起きます。

★血球不足で起こる辛い症状

そして、赤血球、白血球、血小板、それぞれ減ってしまうと、身体にどんな事が起きるのか。赤血球が減ると、鉄が不足したときと同じような症状が起きます。身体に十分酸素が送られなくなり、動悸、息切れ、あとは全身に倦怠感などが起きます。次に白血球。白血球は我々の体を細菌やウイルスから守るために重要な働きをします。白血球が減ると、感染症や発熱、肺炎が起こったり、増えるはずのない細菌が増え、それが動脈の中で詰まって、足先や手などの組織が死んでしまうことがあります。そして、血小板・・・これは傷口で固まり、出血を止める大事な血球です。血小板が減ると、ケガをしてなくても、皮膚に青あざが出来たり、出血しやすくなります。このようなことが、いつでも起こるのが「再生不良性貧血」です。

★輸血をしないために・・・

血液がうまく作れない、再生不良性貧血は、「輸血」と隣り合わせの病気です。この病気は、急にひどくなる急性型と、病気がゆっくり進行する慢性型があります。まず慢性型であれば、病気が起こっても、悪くなる前に発見すれば、輸血をせずに、血液を再生する能力を高める、治療をすることができます。中には、自然に治る人が、1割程いますが、何も治療をしないと、6割の人は重症化し、自ら血液を再生できなくなります。一方、急性や重症になった場合、自ら血液を再生するのが難しいので、輸血でなんとか命をつないでいく、ということになってしまいます。輸血に頼らないよう、1日でも早く、治療を始めることが大事です。

★免疫抑制療法      

そこで最近、新しくなった点を中心に、どんな治療があるのかみていくと、最も一般的な治療として「免疫抑制療法」と呼ばれる治療があります。「ATG」と「シクロスポリン」という薬を使った治療です。それらの薬は、誤って自分の細胞を攻撃するTリンパ球の働きを抑制し、血液の元となる造血管細胞を増やし、回復させるものです。特に「シクロスポリン」の方ですが、副作用などの観点から、これまでは重症化する前の患者さんに対しては、基本使われない、保険適用外の薬でした。それが今年8月から、保険適用で、重症になる前の患者さんにも使えるようになりました。まだ症例数は少ないのですが、4例中3例が、正常な方に向かう、効果を上げています。

★5年生存率は90%

再生不良性貧血では、50年くらい前までは、白血病より怖い病気と言われていました。それは、51歳以上では病気発見後、半年で50%の人が亡くなっていたからです。免疫抑制療法の改善などで、今では、5年経っても、90%割の患者さんは生きられます。とはいえ、3~4割の人は、「ATG」や「シクロスポリン」といった免疫抑制の薬が効かず、輸血が欠かせない状況は変わりません。

★さらに最近出てきた新しい薬も

しかしそうした人向けに、今年の8月新しく、保険適用になった薬に期待がかかっています。「エルトロンボパグ」、という名前の薬で、これは再生不良性貧血、25年ぶりの新薬です。もともと、血小板を増やす作用のある薬として知られていましたが、実は、赤血球や白血球などにもなる造血幹細胞自体を増やす作用もある事がわかりました。臨床試験では、およそ半数の人が、輸血する必要がなくなったという効果が出ています。ただし、海外では副作用として、染色体の異常が10%出ています。ですが、輸血を続けないといけない患者さんにとっては、有効な治療薬と期待されます。

★若い人に有効な骨髄移植

最後に1点、治療薬の改良で輸血が不要となる一方で、40歳未満の、若い患者さんの場合、第一選択治療は、骨髄移植です。血球の型の合うドナーから移植を受けると5年で9割の患者さんが良くなっています。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171023080000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)